ハイリスク・ハイリターン | 特撮PROP COLLECTION

特撮PROP COLLECTION

特撮ヒーローのマスクや小道具などについて呟いて行きます。




今回は "アマゾンライダー" のマスクにまつわる話です、、。

しばらく師匠のK氏とマスクを借りては考証を続け、
何年か経過した そんなある日、、、。
突然K氏から電話があって、呼び出されました。

開口一発!!「俺が調達したマスク、誰かに売った!?」

突然の事に驚いて、頭の中をぐるぐると色々な思考が駆け巡ります。
(あれは違うし、、。あれは人に譲っても良いって言ってたし、、。)
(あの友達にあげたマスクかな? それとも、、、。)
考えてもラチがあかないので、
思いきって聞いてみると返って来た答えが、

「アマゾンライダーのマスク」



一瞬頭の中が真っ白になりましたが、アマゾンのマスクは
アメリカ帰りのOW田氏にしか渡していません。
今までのお礼も兼ねて、彼にプレゼントしていたのです。
どんなマスクなのかと、そのマスクの特徴を聞くと、、、。
目のパーツを塗装して、
マスク本体にラフに赤の模様を描いたもの、、。
それはまさしく、彼にあげたマスクです!!

K氏の話だとこう言う事です、、。

たまたまT映の人間が "まんだらけ" に寄った。
その時ちょうどそのアマゾンライダーのマスクが
ショーケース内で売られていた。
どう見てもオリジナルからのレプリカで、
作り起こしでは無いと判断。
即時購入して、T映のお偉方に見せた。
それを見たお偉方は、すぐに対策会議をすると各部署に告知!!
数日中に主要なメンバーが招集され、その会議にK氏も呼ばれた。

そういう経緯でした。

自分はそれを聞いて青ざめました。
自分が取った軽卒な行動で、K氏にまで迷惑がかかるかも、、。
出所を追求されたら、当然自宅の方に追求の手が伸びるし、
自分のコレクションなどたちまち回収されてしまうでしょう。

気を取り直して、確認のためOW田氏に電話を掛けました。
まず、マスクを売ったのか確認をとらなければなりません。

自分 「もしもし、"まんだらけ"にマスクとか売りました?」
OW田「うん、売りましたよ。」
自分 「自分があげたアマゾンも売りました?」
OW田「ああ、売ったよ。もう要らないんで、、。」

(もう要らないって何だよ!!と思いましたが話を続けます )

自分 「そのアマゾンが今、T映で問題になって
   大変な事になってんですよ!!」
OW田 「大変って? どうせ出所なんて分かんないでしょ。」
自分 「出所は自分なんだから調べれば分かっちゃうでしょ!!」
     借りた人にまで迷惑掛かるじゃないですか!!」
OW田 「(笑)大丈夫ですよ。オレの所で止まりますから、、。」
自分 「・・・・・・・・。」
OW田 「オレが言わなければ、大丈夫ですから、、。」
    (あんたがホントに言わなければね、、、、。)
自分 「取りあえず、近々会議があるらしいんで、
     問題が発生したらまた電話します、、。」
OW田「はい、どうも。」

全く悪びれた様子も無かったですね、、、。
本来だったら、自分があげたマスクを売られたり、
共通財産のマスクとかも処分されたりで落ち込む所なのですが、
逆にポカーンとさせられてしまいました。

数日後、T映本社で会議が行われました、、。

T映の重役たちと、版権部の面々、ショー関係の代表。
レインボー造型の前沢氏、特撮研究所のK氏を交えての
対策会議です。
(恐らく倉庫管理の中村さん(故人)も同席したと思います)

まずマスクの真贋を前沢氏とK氏が確認して"ホンモノ"と断定。
次にマスクの出所に関しての調査から始めます。
アトラク用マスクの倉庫の管理状態、レインボーの型の管理の状態
全て確認して、盗難では無いとの判断、、。
そして今後の対策等、話し合ったようです、、。
詳細はあまり詳しく聞いていませんが、
管理体制を強めると言う事で意見は一致して、
「とりあえず今回の件に関してはこれ以上追求しない。」
ということになりました。

その時K氏が版権部の方に聞いたらしいのです、
「もし、こういうマスクを売った人に版権侵害、著作権侵害で
 訴えた場合どのぐらいの損害賠償になるの?」

回答は、

"マスクひとつに付き、50万円"  、、、、です。


その後、アメリカ帰りの彼とは殆ど連絡を取っていません。
まあ、連絡を取る理由もありませんけど、、。

下の3点は、撮影用アマゾンからの精巧なレプリカ。








この件があってから、
見ず知らずのコレクターにマスクを譲って下さいと言われたら。

「譲ってもいいけど、50万だよ!!」

と言うようにしています。
まあ、大抵これで諦めてくれます。(笑)
見ず知らずの人にマスクを譲って、足元を掬われたく無いですし。

レプリカマスクはマスターさえあれば、複製してお金を生んでくれる
"金の卵"のような側面もあります。
あくせく働くより、何時間かの労働で大金を稼ぐ事が出来ます。

これって「株」と一緒なんですよね。一種のバクチです。
"ハイリターン" の裏に必ず "ハイリスク" が有ると言う事を理解して
いなければならないのです。

Yahooオークションで軽い気持ちでマスクを出している出品者には
色々と思う所があります。
怖い事をしていると言う認識が低いと感じていますね。
数万の収益の陰には、恐ろしい賠償金が付いて回っているのです。
どこからマスクを手に入れようが、表立って売った人に
賠償請求が来ます。
誰も助けてはくれないのです。全て自己責任で、、。

最近は、T映もオークションはしっかり監視しているようです。
抜き損じのマスクでも、売れば小銭になるだろうなんて思って
出品しないほうが身のためです。

気をつけるに越した事はないですよね。