映画・旅するカジの木「倭文」 | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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むかし、むかしのこと、大和の神々が地上を平定したあと、唯一征伐できなかったのが、星の神。

その、星の神を征伐したのが、天上界から使わされた、織物の神、倭文神。

 

なぜ、織物の神なのか。 そこには、古代人が衣服に秘めた力が。 

謎を解く鍵は、衣服の始原を担った、「カジの木」。 それで織られた、幻の織物、「倭文」(しづり)とは。

 

真面目で地味なドキュメンタリーながら、神話から始まるミステリー仕立てに、もう興味津々。

カメラは、中国南部を原産とする、カジの木を追って、海上の道へと進みます。

 

台湾、インドネシア、スラウェシ島、パプアニューギニアなどを回ると、カジの木を使う文化が今でも残る。

そうして、日本に戻ると、そこには海の道から伝わった、織物の文化が。

 

ここから、京都の山口源兵衛(帯匠)が、荒ぶる神を鎮圧する、倭文の再現を目指す場面に。

カジの木を育てる人、それで糸を作る人、そこから紙を作る人、それを使って織物を作る人。

 

全国各地での別々の活動が、やがて一つの織物に繋がる。 このおもしろさ。

そこに、石川文江(楮布織)、西川はるえ(染織家)、妹尾直子(紙布・樹皮布)などの、職人さん。

 

この活き活きとした技、美を愛するこころ、そうして、挑戦するワクワク感。

各地で、ゆかりの神社が紹介されるのがうれしい。 できあがった織物は、厳かに奉納。

 

おお、倭文は光、暗い世界の邪気を祓う。 語りの冨永愛の、日本語がうつくしい。

麿赤児とコムアイが、倭文神と星の神一族の争いを再現する、舞踏が印象的。

 

倭文の力で滅ぼされた星の神一族は、やがて倭文神によってよみがえる。

壮大なドラマの監督は、北村皆雄。 あちらこちらで見かけるカジの木を、慈しみたくなる映画でした。

 

(公式サイトはこちら)

映画「倭文ー旅するカジの木」公式サイト (shizuri-movie.com)