南座で玉三郎の口上がおもしろい | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

ブログの説明を入力します。

南座の、坂東玉三郎特別公演に行ってきました。

幕がすっと開くと、金屏風を背景に、緋毛氈の上に、女方の口上姿で、玉三郎。

 

ご挨拶のあと、いつもの朴訥とした口調で、語り始めます。

5年前の特別公演でも、同じような話をしたかもしれませんが、皆さまお忘れでしょうから。

 

とは、つかみのジョーク。 初めて南座に出たのは、21歳のときの顔見世興行。

南座にほとんど出ない養父(十四世・守田勘彌)に励まされたのに、びっくりのアクシデント。

 

夜の部は23時で強制的にお開きとなるので、準備していた舞踊ができなくなったとか。

それでも、娘道成寺、藤娘と、南座が初演となった縁があるそう。 確かに、玉三郎は南座に似合います。

 

今回の演目は、「檀浦兜軍記」から「阿古屋」。

六世・歌右衛門の教えを受けての国立劇場は通し狂言で、先代・團十郎の景清の思い出が深い。

 

「阿古屋」には景清は出てきませんが、景清の存在感があるからこそ、舞台が充実する。

三種の楽器を演じ分ける音楽性、五条大橋の出会いの文学性などが、熱をおびて語られます。

 

解釈が分かれるのが、恋人の景清の行方。 玉三郎は、全く知らない身で拷問される演技。 なるほど。

 

そうして、演目の解説と岩永を演じる千次郎の紹介。 重忠を演じる吉之丞には、尊敬の念が溢れている。

ほのぼのしながら、わくわくする、ひと時の口上でした。

 

 

舞台が代わると、「阿古屋」の解説。 舞台中央に、いつもにこにこ明るい千次郎です。

老若男女、動物から妖怪、何でもできて、主役を引き立てる貴重な役者。 

 

声がクリア。 3階でもはっきりと聞き取れる、あーうーのないNHKが推薦しそうな、言葉遣い。

ぎゅっと濃縮した筋、責めのみどころ、役者の特徴、もちろん自分の人形振りまで、いい解説でした。