歌舞伎座で仁左衛門と玉三郎の神田祭 | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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歌舞伎座の4月大歌舞伎、夜の部の続きは、仁左衛門と玉三郎による「神田祭」です。

何回も拝見した、名コンビ。 しかも、「於染久松色読販」に続き、3年前の再演の既視感。

 

いやいや、既視感どころか、これが斬新。 春らしい、浮き浮きする清元舞踊でした。

 

「飾る桟敷の毛氈も 色に出にけり酒機嫌 神田囃子も勢いよく」

幕が開くと、若い者をあしらう鳶頭。 80歳でもしゅっとした、ほれぼれする仁左衛門。

 

おや、ほろ酔い加減を過ぎて、ちょっとふら付き気味か。 それでも、すっきりした鯔背な踊りっぷり。

そこに、艶やかな芸者。 若々しくて、粋で可愛い玉三郎。 これで、世界は二人の神田祭に。

 

「常から主の仇な気を 知っていながら女房に なってみたいの欲が出て」

恋しい相手を口説く芸者、そこに無頓着を装う鳶頭。 付かず離れずの距離が、突然縮まる。

 

寄せあう頬が近い、近い。 ぐっと寄せる肩が、熱い、熱い。 ああ、このどぎまぎするお色気。

もちろん、長年演じてきた、二人の技。 自然な興奮と清潔感に、うっとりするばかりです。

 

「ヤァやんれ引け引け 良い声かけて、エンヤラサ やっと抱き締め」

クリアな高音が良く伸びる清元が、またこの色気を盛り上げる。 二人の連れ舞がたのしい。

 

なんだか、いつも以上に二人の距離が近いかも。 ここに、お約束の大勢の若い者。

若い者の、きびきびしたとんぼが見どころ。 それを軽くあしらう仁左衛門と玉三郎が、若い者以上に若い。 

 

てきぱきと捌く後見には、玉雪と孝志。 それぞれの師匠と息がぴったりなので、いいテンポがずっと続く。

ますます、賑やかな神田祭。 花道で客席にご挨拶のあと、仲いい二人が町に繰り出していきました。