團子のヤマトタケルが天翔ける | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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新橋演舞場での2ヶ月公演、スーパー歌舞伎の「ヤマトタケル」に行きました。

原作の梅原猛と三世・猿之助が練りに練って、初演されたのが1986年。

 

それから、48年の時を経て、ヤマトタケルを演じるのは、孫の團子です。

「タケル=猿之助」の作品を演じる、後進たちを見届けたいとは、春秋座の解説でお馴染みの石川耕士。

 

さあ、團子はどうだ。

すっと背筋が伸びて、スーパー歌舞伎の衣装が似合う。 長身痩躯というより、まだまだ華奢な体型。

 

凛々しさよりも、20歳になったばかりの若者の、等身大の悩み。 これが、痛い程に伝わってくる。

どうして父はわたしを遠ざけるのだ。 わたしは生まれてきてはいけなかったのだ。

 

人としての弱さを見せながら、きりっとした目張りと、引き締まった口に、まっすぐな思いを感じる。

しなやかな身体が、きびきびと動く。 怪我をしそうではらはらする場面も、柔軟にこなす。

 

これが、今の團子。 祖父の映像や書物で研究しながら、台本の台詞の横に役の感情を書き留めているとか。

ルーチンになりそうなアクションに、感情を大切にする姿勢がいい。 先輩方にも、色々教わってほしい。

 

何かよくわからぬ、途方もない大きなものを追い求めていくのだ。 わたしは勝った、勝ったのだ。

どんなに貴いものでも、古い因習を変えないのはだめだ。 わたしはひとり、ここで死ぬのだ。

 

「のだぁ」が多く、やや古典的になってきた台詞を、感情をこめて語るのは難しい。 そこが、團子の工夫と特長。

自分が素直な性格なのを、自覚する團子。 祖父が言っていた、「感動を届ける仕事」を目指す覚悟に共感。

 

隼人の團子評は、律儀で真面目。 米吉の評は、まっすぐなひたむきさがヤマトタケルそのまま。

そうして、動物に例えると二人とも、「大型犬」。 まだまだ背が伸びて、スケールが大きな役者になってほしい。