扇雀と虎之介の連獅子が魅力 | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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大阪松竹座での立春歌舞伎特別公演の続きは、扇雀と虎之介による「連獅子」です。

昼と夜の通しで、8時間超を拝見した今回の公演。 ここでちょっと、周辺情報を。

 

玉三郎の初春舞踊公演でもなく、7月の関西歌舞伎を愛する会の公演とも違った、今回の公演。

2017年に始まった「大阪文化芸術フェス」。 コロナ禍中の2020年の3日間、3部公演にはうるうるしました。

 

それを引き継いだのが、「大阪文化芸術創出事業」。 昨年の9月、4日間限定での大阪松竹座です。

上方ゆかりの俳優たちによる、「傾城反魂香」、「神霊矢口渡」、「夏祭浪花鑑」には、浪花の粋を感じました。

 

そうして、2023年に立ち上がった「大阪国際文化芸術プロジェクト」。 今回の公演は、その一環です。

と、(長すぎる)経緯はともかく、いいもんはいい。 知事さん、市長さん、松竹さん、ありがとさーん。

 

で、「連獅子」。 一門、親子、師匠と弟子などが、門出を祝って舞うことが多い獅子物。

今回は、本興行では初めてとなる、扇雀と虎之介の親子共演です。

 

狂言師右近と親獅子は、扇雀。 ゆったりした動きで、前ノリ気味になりがちな舞踊をコントロールする。

女方を立ち位置にしながら、立役でもはずれのない扇雀。 大きく肚で踊るのが大切とは、役者の自負。

 

その父を信じて、自由自在に踊るのが虎之介。 演技を綺麗に見せる型の感覚の踊り、とは独特の解釈。

首が傾く癖はあっても、とにかく動きがきびきびして気持ちがいい。 前動作なしの跳びは、虎之介の特徴です。

 

アイは、成駒家中堅の、渋いかなめ。 そこに、江戸からアク強めの荒五郎。 「ちょいのせ」の人形遣いの二人です。

微妙な距離感とノリながら、そこにある二人の緊張感が舞台を引き締めます。 これもいいかも。

 

後見は、ベテランの雁乃助と扇乃丞で、これはもう安心。 てきぱき捌く、素顔の俳優を拝見する楽しみ。

他にも、鴈洋、鴈大、扇五朗、扇十郎などがきびきび。 成駒家+αのチームワークが気持ちいい、舞踊でした。