新水滸伝は澤瀉屋のチームワーク | 宗方玲・詩人が語る京都と歌舞伎

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南座の「新・水滸伝」の続きです。 中車や團子などが、ていねいな演技ながら、緊張気味。

そんな中でも、役に慣れた澤瀉屋の3人が、舞台を引き締めます。

 

まずは、圧倒的な存在感で、一党を取りまとめる女親分の笑三郎。 背筋が伸びた、凛々しさよ。

野太い声で林冲をどやしつけたり、情たっぷりで励ましたり。 留守がちの頭領の「別班」が、頼もしい。

 

女戦士の笑也は、国宝級の双剣さばきと、その反面の傷ついた心。 相変わらずの、瑞々しい声。

それに惚れる無骨な武将は、いつもの大らかさと純朴さの猿弥。 がんばれっ、と応援したくなるんです。

 

猿弥の一途さに、笑也がほだされて、二人で夕日を見つめる、ちょっともどかしいシーンにほろり。

 

春猿(当時)が演じていたお夜叉には、ゲストで壱太郎。 これが、全ての人物に絡む、重要なお役。

「美貌の殺し屋」でも、怖くない。 おきゃんでも、プチ色気。 コミカルでも崩れずに、舞台を引き締めます。

 

一方の、青虎と團子は、ずっと肩の力が入っているよう。 まあ、そういうお役なんですが。

そこに、寿猿、欣弥、猿三郎、猿四郎、段之、笑野、猿紫、喜猿などが、ああこの人と、すぐわかる演技。

 

澤瀉屋に囲まれて、段々と熱くなってくるのが主人公の隼人。 罠にはめられた頭領を救いに、宙を飛ぶ。

出ました、宙乗り。 この飛竜が、ネバー○○ストーリー。 ここから、スーパー歌舞伎ならではの、大スペクタクル。

 

血で染まった、「替天行道」の旗のもと、悪を沖した梁山泊の豪傑たちは、未来に向かうのでした。

この後は、恒例のカーテンコールで大拍手。 陰陽が見え隠れしながら、澤瀉屋の将来を感じた3時間でした。