離乳早期の卵摂取で卵アレルギー予防!? | アレルギーで家族をつなぐ~実践っ!岡夫婦の食物アレルギー体験レポート~

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実践っ!岡夫婦の食物アレルギー体験レポート
written by パパ
※Facebookページ→食物アレルギー体験レポーター岡夫婦

 

 

先日、ピーナッツアレルギーを持つ患者さんに対して
経皮免疫療法パッチ剤を貼ることによる

治療効果が確認できた研究結果をご紹介しました。

 

ピーナッツアレルギーをパッチ剤で治療した記事はこちらから

 

こちらの治療研究結果では、

副反応も少なく治療効果も期待できる

という嬉しい面だけでなく、

11歳以上の患者さんに対しては治療効果が

確認できなかったという結果もあり、
何もかもすべて上手くいくようにはいかないものだと
改めて感じました。

 

 

そもそも、食物アレルギーになることを予防することが出来れば、
アレルゲンの誤食に日々神経を使うことも、
長い期間をかけて行う治療もしなくてよくなります。

 

そんな食物アレルギーの予防法について、
予防効果が確認できたと発表された研究がありました。

 

国立成育医療研究センターアレルギー科の
大矢幸弘氏らの研究グループが、
生後6か月から固ゆで卵を少量ずつ摂取させることにより、
8割の卵アレルギーを予防することができると発表しました。

 


●過去のガイドラインとは真逆の対応

 

今までの食物アレルギーについての予防の見解では、
卵やピーナッツなどの食物アレルギーの原因となりやすい食品は、
離乳食早期からの摂取は避けることが望ましい
と考えられてきました。

 

実際に、米国小児科学会が2000年に発表したガイドラインでは、
「幼児期にピーナッツを食べさせると深刻なアレルギーに

繋がる恐れがある」とされていました。

 

しかし、乳児期からピーナッツを食べさせる習慣のあるイスラエルでは、
離乳期にピーナッツを食べさせない国に比べて、

ピーナッツアレルギーの患者さんが少ないという疫学調査から
「離乳早期にアレルギーを起こしやすい食品を

食べさせると食物アレルギーを予防できるかもしれない」
という仮説が生まれました。

 

この仮説を検証すべく、多くの施設でピーナッツや卵といった
代表的なアレルゲンを離乳早期に与える研究がされました。

 


●ただ食べさせるだけでいいの?

 

近年解明されてきた食物アレルギー発症のメカニズムのひとつに
「口から入ったアレルゲンに対しては免疫・耐性を作るのに対し、
 皮膚から侵入したアレルゲンに対しては炎症を促進し、
 アレルギー疾患の発症と増悪を起こす」
ことが分かってきました。

 

離乳早期にアレルゲンを摂取させて予防効果があるかどうかを
確認する研究をする上で、皮膚からのアレルゲン侵入が無いように
徹底したアトピー性皮膚炎治療が行われました。

 

上記の条件のもと、今回の調査では、
生後4か月までにアトピー性皮膚炎を発症した乳児121人を対象として、
卵(加熱全卵粉末50mg:ゆで全卵0.2g相当)を摂取するグループと、
摂取しない(同量のカボチャ粉末)グループに分けて、
生後6か月から試験を実施しました。

 


●予防効果は?

 

調査に協力してくれた乳児が1歳になった試験終了時に、
加熱全卵粉末7g(ゆで全卵32g相当)を与え、
卵アレルギーの発症率を調査しました。

 

すると、

生後6カ月から卵を摂取したグループでは60人中5人
卵を摂取しないグループでは61人中23人

卵アレルギーが見られました。

 

解析の結果、

卵を摂取したグループでは

約80%卵アレルギーの発症が減少し、
顕著にリスクが低下していたということです。


条件によっては、

卵を摂取したグループでは約90%のリスク低下が見られた

ということです。

 

また、今回の研究は、

少量の固ゆで卵粉末とカボチャ粉末を使ったことにより、
全身にアレルギー症状が拡がるような重い副作用が無く、
安全な試験を実施することができた
ということです。

 

以前は、生卵乾燥粉末を使用して同様の研究をしたことも

あったようですが、
アナフィラキシーなどを発症したケースもあったようです。

 

食物アレルギーを予防する方法で

安全性が向上しているというのも
大きな特徴と言えると思います。



●まだ研究段階であり、自分で行うのは危険!

 

今回の研究は、専門医の指導のもと

アトピー性皮膚炎の治療も同時に行っており、

厳格な管理の下行われたからこその結果とも言えます。

 

また、「食物アレルギーの発症予防」を研究したものであり、
既に食物アレルギー症状を発症した乳児の

治療を目的としたものではありません。

 

専門医の指導を受けずに、自己流で行うことは大変危険なため、
やめてください。

 


●食物アレルギーの予防という新たな光

 

乳幼児に離乳食を食べさせるのは、

ただでさえ神経を使います。


その上、突然食物アレルギー症状を発症してしまったら、
保護者の方は大慌てです。

 

しかし、今回の研究がさらに進み、
代表的なアレルゲンを、いつ頃からどのくらいの量を

摂取するようにすれば予防効果が期待できる

ということが分かってくれば、
食物アレルギーの発症率を少なくすることが出来るかもしれません。

 

将来的には、代表的なアレルゲンを規定定量含む

ボーロの様な物が開発されて、
「〇ヵ月になったら、1日1回食べ始めましょう!」
なんてことになるかもしれませんね。

 

記事参照元:あなたの健康百科はこちらから