SAPIX算数は本質的に「数値替え」である。
ある問題を一題習うとする。
ミドルクラスに在籍していれば、デイリーサポートの授業解説で1問。
授業内で理解しているか、確認のため1問。
デイリーチェック・基礎力定着テストでそれぞれ2問。
さらにクラス昇降をかけたマンスリーテストで1問。
そして、2か月後にやってくる基礎トレで一週間また同じ問題がでるので最低6問。
とにかくウンザリとするほど解く。
真面目な生徒だと、四谷大塚「予習シリーズ」で学習している生徒の3倍は解いていることになる。このちょっと異常なまでのしつこさがSAPIXの特徴だ。
別に批判はしてはいない。現在のように算数の解法技術が研究しつくされ、洗練された中学受験の世界では、反復練習をしてきた生徒はある程度強い。
しかし、もうワンランク上を目指そうとすると、完璧に計算されたサピのカリキュラムでも、少し俯瞰して見なければいけない。
集団指導を卒業してからのこの10年間、個別指導でサピ生をみてきていて「賢いのに成績が上がらない」の子の特徴のひとつを書きたい。
それは、こちらが驚くほど彼らは「問題を読んでいない」ということである。大急ぎでつけくわえると、基礎力が十分にあって努力もきちんとしているタイプに、こういう生徒が多い。
反復練習の弊害である。
文章題を見たとき、このタイプの生徒の目は、すぐに数字のほうに行く。いまは「速さ」をやっているから、距離÷時間=速さをやればいいんだと気づき、文章をほとんど読まずに、答えを出してしまう。「食塩水」なら、混ぜ合わせるパターンはてんびんだから・・・と考えて、また文章題の「数字」だけを拾って正解を出そうとする。
このクセは厄介である。
なぜかというと入試問題になったときに、情報整理の必要な文章題がお手上げになるからだ。例えば、今年の開成中は過去10年で最も難しかったが、全4問中3問が、条件整理の能力しか問われていない問題だった。そのため解法パターン型の生徒には苦しい試験となり、圧倒的な差が開いてしまった。

開成2020年 ■2より。
一見すると「点の移動」の問題のように思えるが、出題者の意図はまったく異なる。
さて、もしも、小3~4で問題文を読まずに解いていることがわかったら、何をするか?
そういう解き方では解けない問題を与えればいい。
そう、きちんと読まなければ解けない文章題だ。
おすすめは、四谷大塚の応用演習問題集から、一問だけをコピーして、ノートかルーズリーフに張り付けて渡すこと。応用演習問題集には良質な過去問が載っている。一問一問が楽しい。4年生でも入試問題ができるんだ、と自信がつく。長い文章題がずらりと並んでいると意欲が減退するが、一問ならやってみようとなる子は多い。
ただし、熱心な保護者ほど我が子が文章題が苦手とわかると長い文章題ばかりを与えてしまって、返って子どものやる気を失くしてしまうことが多いので注意が必要だ。
ほとんどの生徒にとっては、文章題は3年生では4行、4年生では5行、5年生では6行が限界である。文章題の条件整理には、ある程度の経験が要るため、あまりに条件の多いものを与えるのもよくない。

プーさんをもらったパピヨンくん。

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