「そろばん」は習わせてはならない。 | 中学受験算数「やまもと算数・数学塾」

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完全マンツーマン指導。JR御茶ノ水駅前にある算数・数学塾。

【低学年向け記事】

 

私はなるべくフェアで、リベラルな立場でいたいのですが、この件に関してはもう今後も考え方は変わらないだろうな、ということで。

うーん。賛否がわかれそうだなあ。でも一応、そろばんの仕組み、歴史的背景などを一通り勉強したうえで書いていますからね。


「くもん」が、いいのか。それとも「そろばん」がいいのか。


何度も、何度も、何度も中学受験をあつかう雑誌で目にする話題ですね。

もう、はっきりと言います。
 

結論は「くもん」です。

いま低学年で中学受験をお考えだったら、そろばんだけはやめた方がいいです。そろばんを習うにはもうすでに小1くらいでも遅いです。
 

大手集団塾での指導経験、そして開業14年間の経験から考えて、統計的なエビデンスはありませんが、そろばんと中学受験算数は相性がかなり悪いです。
 

なぜ、そう言えるのか?集団指導時代もこの塾を立ち上げてからも、そろばんベース思考の子で、計算力が高い生徒にわたしは「ただのひとりも」出会ったことがないからです。
 

筆算とそろばんはアルゴリズムが異なります。(例:そろばん経験者は虫食い算が苦手)

 

中途半端に「習い事」としてやっていても、コマがずれる計算ミスが増えるだけです。
 

そんなことをやっているくらいだったら、計算のくふう(結合法則&分配法則、素因数分解(=数感覚のもと)、割合の初歩・・・など)を早い段階で身につけて数学につながる勉強をするべきです。

例:113-87=13×2=26 

  真ん中に100があるという感覚


  300÷4=3×100÷4=3×25=75  

  25×4=100の利用


  400×0.125=400×1/8=50 

  中学受験生おなじみ


  14×15=7×30=210 

  無理やり「九九」にしてしまう


中学受験算数そのものは、「つるかめ算」に代表されるように江戸時代の和算からつづく伝統性がありますから、その指導者自らそろばんを否定するのは勇気がいります。


しかし、「先生、うちの子、計算ミスが多いんですよね~。やっぱりそろばんをやらせたほうが良かったのかな?」と毎年相談される現状をみるに「もう立場をはっきりとさせよう!」と思いました。


予想される反論1:「北陸地方では、そろばん教室がたくさんあり統計的なエビデンスがありますよ」という意見


わたしは「中学受験算数」と「そろばん」の相関について書いているのであって、「算数」と「そろばん」については主張していません。また、福井などでたしかに計算力はそろばん派の子のほうが強いというデータはでているのですが、それはスパルタ的な教え方をする先生がまだ残っているからです。都内では滅多に聞きません。最低でも週3回、ほんとうに中学受験の武器として考えるなら週4回のそろばん教室への通塾。正直、コスパ悪すぎます。ほかのスポーツなどの習い事をやるべきです。

予想される反論2:「脳科学的には、手を動かすことで頭が刺激されるというデータもありますよ」
それは、たしかに日常的感覚からは理解できます。しかし、そもそも脳科学の論文自体が母体の少ない、限定された実験結果にもとづくものであり、中学受験生を対象として研究データは存在しません。さらに、いま中学受験の自己啓発本でも流行っている大衆向けの脳科学やポピュラー心理学をわたしはほぼ信用していないのです。(物理や数学などの純粋にロジックだけで成立するような因果律が認められないからです。)


ところで、くもんに大賛成ということでもありません。

 

計算の工夫を教えないで、機械的に処理する算数はつまらないとも感じます。


このあたりは、子どもの感じ方や性格、くもんの教室の指導力によります。

 

(わたし自身は、6歳くらいなので記憶にありませんが3回ほどくもんに行って、なぜか怒って『あんなところにいっても、馬鹿になるだけ!!!ぼくは行かないから!』と自ら退会したらしいです。昔から、面倒くさがり屋💦。母談)

 

くもん、そろばんについては、ほかの記事でも何度か書いてきているので遡って是非読んでくださいね。計算力を効率よく身につけさせる市販の良書も何冊も紹介してきました。

 

それでは~。夏期講習後半がんばります!!!

 

枕をつかうパピヨンくん

 

・・・高学年の子へ:今そろばんが好きで好きでたまらないなら、つづけたほうがいいよ。