住宅編 第1回 購入か賃貸か | 「不動産リテラシーの向上で老後の安心生活を」シリーズ投稿始めます

「不動産リテラシーの向上で老後の安心生活を」シリーズ投稿始めます

中小企業診断士 桑岡伸治のブログです。このたび、「老後の安心生活」実現を目的に、不動産に関する様々な情報を提供するシリーズ投稿をはじめます。
はじめにプロローグをお読み下さい。
ひとりでも多くの方が、Happyになりますように!

 テレビ番組で定期的に取り上げられるテーマに「購入か賃貸か」がある。何度見たって結論が出たためしがない。それはそうだ、それぞれにメリット・デメリットがあり、住む人の置かれた事情によっても答えは変わるのだから…。オシマイ‼

 アハハ、それでは身も蓋もないので、少し真面目に考えてみましょう。

 

 たとえば、今人気の湾岸エリア、「豊洲駅徒歩12分、築10年の中古マンション、3LDK」で比較してみます。(分譲マンションですが、賃貸中の部屋もあり比較が容易な物件です。)

 この物件を購入する場合は、価格約6,300万円。賃貸で住む場合の賃料相場は、月額24万円です。仮に10年間住むと仮定して、必要なコストは【購入・賃貸コスト比較】の通りとなります。

 

 購入の場合、10年間に支払う総額は3,853万円、対する賃貸は3,208万円、その差は645万円(賃貸の方が少ない)。

購入した人は、今まで住んできたマンションを所有し、住宅ローンの債務が3,778万円残っています。仮に6000万円で売却できれば、6,000−3,778−204(仲介手数料)=2,018万円が手元に残ります。

 つまり売却した時点で、645万円の差をとりかえし、「賃貸するよりも1373万円も安上りだったとなります。住宅ローン控除で所得税の還付が受けられる人はもっと有利になるでしょう。もちろん、10年後の売却価格はもっと高くなっているかもしれないし、安くなっているかもしれません。4,578万円を下回るようなら、軍配は賃貸派に上がります。

 

【購入・賃貸のコスト比較】

 

 

 この試算では、「賃貸より購入がお得」という結果になりました。とはいえ、このことをもって、単純に「マイホームをもちなさい」とはならないことも事実です。

 

 「家賃の半分は会社が負担してくれる」というサラリーマンもいます。そもそも、「ひと所に長く住むよりも気軽に住み替えるのが好き」という考えの人もいるでしょう。実際、渡り鳥のように好きな場所に好きな期間だけ住めるというサブスクモデルも、リモートワークをしながら、田舎生活を楽しみたいような人たちの間で人気となっています。要はその人のライフスタイルや価値観によって答えは違うということになります。

 

 他にも答えを左右する要素はあります。住宅ローン金利は1%を用いて計算しましたが、金利が大きく上昇すれば負担が大きくなる可能性がありますし、大規模災害で建物や敷地が大きな損傷を受けて、マンションの資産価値が下落する可能性もゼロではありません(保険である程度カバー可能ですが)。運悪く失職しローン返済が滞るような事態になれば、競売でせっかくのマイホームを失うということすらあり得ます。

 

 不動産を購入するということは、大なり小なりリスクを背負っているということの証左といえます。

 ちなみに、私自身は購入派です。もちろん「物件選びは細心の注意を払って失敗しないこと」が前提になりますが…。

 

 90年代バブル崩壊から、日本では長くデフレ経済が続き、様々なモノの値段が下がってきました。不動産の場合は、二極化という形で現れ、人口が流出した市町村、商業施設が移転した商店街等、今も下落が続いてます。

 一方で、需要が強い地域、強い物件であれば価格は上昇します。物件選びを間違わなければ、ということが大前提になりますが、購入価格以上に売れる可能性は十分にあります。また、マイホームを持つことは税制や融資でとても優遇されています。そして、昭和・平成的な価値観で個人差はあると思いますが、一国一城の主であることの満足感も少なからずあります。

 

 いずれにしても、マイホームを取得、保有することはいろいろな意味で煩わしい。それが嫌な人は、住み替えがより簡単な賃貸派になるでしょう。テレビ番組で結論が出ないのも当然のことと思います。