出会い系サイトやらせ事件から、法律事務所HPのあり方とその評価について感じたこと | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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弁護士によるやらせが業界内で話題になっている。
やらせというのは、当該弁護士が、TVの取材における、出会い系サイト被害の相談に乗っているシーンで出てきた被害者とされる人が、実際は当該弁護士の知り合いだったというものである。

今回の「やらせ」事件は、この問題に真摯に取り組んでいる弁護士にとっては非常に許しがたい出来事だろうと思う。
視聴者に、被害の深刻さを伝えようとの一心だったのかもしれない。もしかしたら、うちはこの件の專門ですよとのアピール(集客)のつもりだったのかもしれない。
いずれにせよ、虚偽は許されない。もっとも、前者なら、フライングだな・・・と、宥恕できないわけではない。
しかしながら、仮に後者であったならば、前述の「真摯に取り組んでいる弁護士」にとっては、さらに許しがたい問題であろう。もし怒っている「真摯に取り組んでいる弁護士」がいるとしたら、まず、この点を切り分けたほうがいいように思う。

一方で、違ったアプローチもある。
当該弁護士のHPを拝見すると、「出会い系詐欺」に特化したHPで、「被害を回復します」という趣旨の文字が踊る。
その見た目は情報商材販売的な感じであり、このこと自体を問題視する向きもあるようだ。特に、真摯にこの問題に取り組んできた弁護士にとっては、このようなHPで集客して、詐欺被害者をいわば「お客さん」にしていることは、許しがたい気持ちになるのかもしれない。

しかし、それは、いけないことなのだろうか。
個人的には、それは問題ではないと思う。
HPの見た目は、見る側である顧客が判断すればいいからである。HPを見てうさんくさいと思えば、顧客は、その事務所を選択しなければいいだけのことである。

仮に当該HPに、誇大であるとか虚偽であるとか、顧客側の判断に錯誤を生ぜしめるような問題なり、広告規定上の問題があるのであれば、具体的に、その箇所を指摘するべきであろう。

ゆめゆめ、上記の「やらせ」事件と、HPの問題は、混同されてはならないと思われる。

この点は、この手のHPに対する批判全体についていえることといえるであろう。
司法改革とやらのおかげさまで、弁護士がその職業を維持する上で、「いかに集客するか」が絶対的に不可欠な能力として求められていることは間違いない。HPについて虚偽誇大等の問題がない限り、これを否定し排除することは、むずかしいのではないか。