そりゃ誰もやらんやろ。笑 | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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福岡の中心部・天神駅真上の場所にある法律事務所の弁護士です!
日常の法律問題や、弁護士業界のネタ、その他をつらつらと書こうと思います。

適性試験実受験者数がついに5000人を切りました。
http://www.jlf.or.jp/jlsat/pdf/20130708_kekka.pdf

製造業が、先行き不安とのことです。
http://news.ameba.jp/20130708-525/

これ、問題の所在が一緒だと思っています。

私は町工場のセガレなんですが、実家の町工場を継がずに、のうのうと弁護士をさせていただいています。
どうしてかというと
1 円高以降、輸出産業は不況業種。
2 (主に仕事のあった)某家電メーカーが、海外に仕事を委託するようになって、周辺の町工場に仕事を委託しなくなった。この傾向は将来も変わる見込みが無い。
3 大きな設備投資が必要である。昔ならば回収(償却)できたが、今ではもう無理だろう。機械の修理がやっとで、更新は経営判断として考えられない。
 つまり、無理して設備投資してリターンが戻ってくる見通しがない。
と考えたからです。

逆に、弁護士は、私が受験はじめた当初は、それなりに儲かると踏んでいたからです。
飯食うには困らんだろう、と。
大きな設備投資も要らないと思えたし、です。

ところが、今の弁護士には、以下の投資が必要です。
・ロースクール(年間学費だけで80~150万、一人暮らしならプラス年200万、3年で1000万の借金も)
・修習の貸与金債務(大体300万円程度とみられる)
新人時点でこれだけの投資を強いられる。

一方で、ここまでの設備投資をしても、リターンとなるべき部分は以下にとどまります。
・就職については、相当状況が悪い。しかも年々悪化している。
・就職できても、いつまでもいられる人はいない。
・自分で稼ぐには、さらに設備投資が必要(事務所を借りたりする費用)
・福利厚生など一切ない。
・弁護士会費の支払いが大変。

それ以外に、弁護士になるためには、古今、下記の「投資」も必要です。
それは、
・勉強時間
・新卒資格の放棄
です。

要するに、これらの「投資」に見合ったリターンが得られないと判断されれば、それは

やっとれんがな。

ということになるのは、経済学的に見て当然です。
もっといえば、わざわざ就職できる道が残されているのに、楽しい大学時代を勉強で塗りつぶしたら、却って儲からない、リターンのない、しかもしんどい仕事に突入させられるとわかったら、誰も努力してまでこんな道を目指さなくなるのは当然です。

こう考えると、ニッポンの製造業がどんどん退潮しているのも、適性試験受験者すなわち法曹志願者が激減の一途をたどっているのは、経済学的に見れば、当然のことだと思うんですよね。

この流れを変えるには、道はひとつしかありません。

頑張った分、設備投資した分のリターンが確保できる「蓋然性」を確保すること

これにつきます。

しかし、未だにロー関係者は「司法試験の合格者数を増やせば解決!」とか言ってますね。
世迷言にしか見えませんけどね。こう考えている間に、どんどん志願者はいなくなるでしょう。