公益って、何かね。 | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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日常の法律問題や、弁護士業界のネタ、その他をつらつらと書こうと思います。

本日も仕事です(;´Д`)休みの予定でしたが。

弁護士の仕事ってのは、よく公益扱いされますが、
本当に公益なのか?

ちょっと考えてしまうところですね。

本当に公益だと思ってもらえているなら、きっと、給費制だって理解されて残存しただろうし、就職難ということはなかったはずですよね。
あるどこかの民事訴訟法学者(名前を覚えるリソースを費やす気がないので失念したことにしました)が、要旨、以下のようなことを言ってました。

「世の中の人々のお役に立つ仕事をしている限り、世の中の人々の方が自分達を飢えさせることをしない、と。人々のお役に立つ仕事をしていれば、法律家も飢え死にすることはないであろう。飢え死にさえしなければ、人間、まずはそれでよいのではないか。その上に、人々から感謝されることがあるのであれば、人間、喜んで成仏できるというものであろう」

今の制度だと、ローで340万(平均)→司法修習で300万の債務を抱えることになるうえ(実際にはもっと多いと見ている)、弁護士登録に最低20万、弁護士会費を毎月3~10万払うことになります。
弁護士には国保しかないので、国保料も自腹です。(僕達の時代は弁護士登録後2年は裁判所共済組合加入の任意継続をしてもらえたから助かった)
国民健康保険にも加入しないと病院にすら行けません。今の修習生は、修習中、国から借りるしかないけれど、その借りたお金でこれらの費用も取られます。

生活保護以下といってよいでしょう。
司法試験に合格すると、生活保護にも劣る待遇が待っているということになります。
そして、修習が明けたら、楽しくない債務の返済生活&弁護士会費支払生活。
これが払いきれなければ、上記学者の発言に反して「成仏」できませんね。

640万の借金って、結構勇気要ります。
無利息と考えても、月3万返すとして、200ヶ月以上、つまり15年以上の返済期間。
普通の事業者ローンで15年返済って、これ金融機関からみたら「要注意先」です。利息まで考慮したら完全に「破綻懸念先」に該当するでしょう。
すると、月5万の返済として、128ヶ月、まあぎりぎりかなと。

月5万の返済を、弁護士会費と別に行うわけです。

修習生の方からすれば、「別にここまで深刻に考えてねーよ。むしろ生活保護以下とか言われて迷惑だ」と言われるかもしれず、こういうことを言うのは心苦しい面があります(だから本音を聞いてみたい気がしますし、苦言については粛々とお聞きしたいと思っています。ここに書いてるのは僕の偏った考えに基づく意見なので)。

ただ、僕が同じ立場だったら、たぶんこう言います。
「弁護士は公益じゃないから自腹でやれ、借金して開業しろと言われたのでしょう。その考えに則らせていただきますと、僕たちが公益的に動く必要はない。弁護士は単なる一商売として考えさせてもらいます」

そうしないと、借金返せませんからね。
というか、借金を返す責任がある以上、そうするのが、社会人としては当然だと思っています。

どうですか。借金だらけの人が、借金も返そうとせずに、ボランティア活動に奔走していると聞いたら。
債権者は激怒すると思いますよ。

借金を返しきれなくて不祥事に走りまくる弁護士が多すぎる実情からすると、弁護士が経営に失敗するということは、公益どころか、反社会性を帯びてしまう危険が非常に高いといわざるをえないでしょう。

それによってもたらされる反社会性は、弁護士会がやってる「公益」活動ごときで打ち消せるようなものではまったくありません。ヘタしたら被害者が発生するのだから。

弁護士の仕事は、公益的な面もあると思っていますが、ときどきこうやって悩むこともあるのです(;´Д`)