◯◯◯からの手紙。法科大学院に入学された方へ。 | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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法科大学院に入学された方へ

ご入学おめでとうございます。

みなさんがまずやらなければならないことは、
法科大学院での勉強だけで新司法試験に合格できる、
というテーゼを否定すること
です。

ここでいう「法科大学院での勉強」というのは、試験範囲を
網羅したものでは絶対にないので、自学自習が絶対に必
です。

その自学自習の時間を、法科大学院の勉強と別に、きっちり
とっておくことが重要です。
合格した人は、意識的にか無意識的にかはともかく、それが
できているはずです。

法科大学院の授業は、ゼミ形式で行われることが多いので、
先生に当てられた時に答えられないと恥ずかしいと思います。
その恥ずかしさから逃れるために、予習に多大な時間をか
ける人がいます。
しかし、このようなことは、絶対にやめてください

このような「授業のための勉強」に時間を費やしても、まっ
たく力は付きません。授業は、その時点での実力で臨んで
ください。

そして、万一、恥ずかしい思いをしたら、それが自分の実力で
す。そして、
・そこが試験に関係ある箇所なら、必死こいて頭にたたき
 こんでください。恥ずかしい思いをしたところは一生忘れ
 ないでしょう。
・試験に関係ない箇所なら、スルーしてください。どうでも
 いいです。

あと、ものすごい膨大な資料を配る法科大学院もあります。
しかし、所詮、試験で聞かれることには限りがあります。
ですから、情報を集約してください。
具体的に言うなら、
試験直前1カ月にこれだけを見ておく!という資料を作ること。
そこにすべてを凝縮すること。

それ以上の資料はどうせ見ません。
授業でもらった資料は、必要な箇所だけピックアップして、残
はどんどんゴミ箱に放り込むこと。
ゴミは残せば残すほどストレスになり、受験直前に混乱する
因となりえます。
法科大学院では、資料を野放図には渡してくれるでしょうが、資料
とのつきあいかたは教えてくれません。当然、資料が皆さんのスト
レスの原因となるゴミになり得ることや、資料の棄て方までは教え
てくれません。
資料のピックアップ→集約の作業フローをしっかり確立しておい
てください。

基本書か予備校本か?とよく聞かれますが
どっちでもいいです。
本はツールだから、正しく理解できればどっちでもいい。
ただ、最初は予備校本のほうがわかりやすいと思います。
でも、基本書も、捨てがたいものがあります。
使い分けです。
よく「予備校本はダメだ」という学者さんがいますが、学者さんは試
験に受かる意識がなく、一科目を極めてれば食っていけるので、そ
もそもの立場が違います。立場によってツールも変わります。基本
書を書いている先生もおられます。
そのへんを意識したほうがいいと思います。

とにかく、
試験との関係で今やってることが本当に役立つのか?
という観点で、法科大学院の授業とはお付き合いしていってください。
ヘンなことに時間を取られすぎても、何の意味もありません。

なぜなら。
皆さんは、法曹になるために入学されたのですから。

既修なら2年、未修なら3年あります。
最後に、この期間の意味について、述べさせてもらいます。
冒頭でも書きましたが、法科大学院の授業「だけでは受からない」
のです。
一方で、皆さんは、2~3年後に憲法民法刑法行政法商法会社
民事訴訟法刑事訴訟法法律選択科目を合格レベルまで持って
いかなければ
ならないのです。
旧試験でいえば、2~3年での合格はとても優秀な受験生とされてい
ました。その期間で合格した人は、私の知る範囲では、本当に妥協
を許さない、中身の濃い勉強をしていたように記憶しています。

要するに、皆さんは、旧試験における「優秀な受験生」レベルになるに
足る勉強に加えて、
「だけでは受からない」ことしかやらない法科大学院の授業にお
付き合い
しなきゃならないのです。

そう考えると、2~3年というのは、あっという間だと思います。

2~3年後の栄冠に向けて、ご健闘を心から祈念申し上げます。