【36】これからの経営者へ 斎藤一人・悪魔の欲には気をつける
前回は「人の欲には二つある」というお話をしました。
「正当な欲」については説明をしたので、もうひとつ、「悪魔の欲」について話をしましょう。
「悪魔の欲」とは、「人を押しのけてでもお金がほしい」という自分本位の気持ちで持つ欲です。
また、「たくさんの人からすごい!と言われたい」 とか、「人から、ちやほやされたい!」という「名誉欲」のことでもあります。
この「悪魔の欲」を持ったとたん、その人のところからお金はだんだんとなくなっていきます。
だって、よく考えてみてください。
いくらすごい偉業を成し遂げたとしても、「人を押しのけてでも幸せになりたい」と思っている人のことを、周りの人は応援するでしょうか?
成功とは「人から押し上げられるもの」です。
周りの人から、「あの人だったら、自分のすべてをかけても応援したい」と思われる人に、人も、お金も集まるようになっているのです。
さらに「人から、すごいと思われたい!」という「名誉欲」に、実に多くの人がひっかかってしまいます。
例えばお金持ちになって、長者番付にのるようになると、いままでは来なかったような「お誘い」が、いろいろ来るようになります。
それは、「ゴルフの会員権を買いませんか?」というものであったり、「自社ビルを建てませんか?」というものであったりします。
こういう「お誘い」に、ひっかかってはいけません。
人は、「名誉」というものを目の前にちらつかせられたとき、名誉がほしくて、必要のないものまで買ってしまうのです。
要するに、「見栄」なのです。
「自分を、すごいものだと思ってほしい」という思いが、それをさせるのです。
「お金持ち」というのは、お金を持っている人のことを言うのです。
それなのに、だんだんお金が手に入るようになると、「名誉もほしい!」「お金も、もっとほしい!」というふうに、心が傾きだします。
せっかくお金を手に入れたのに、自分に必要もないような土地を買ったり、ビルを建てたりするから、お金がなくなってしまうのです。
さらに、「地位」や「名誉」をほしがって、選挙に出たりすると、いいようにやられてしまいます。
「地位」や「名誉」がほしければ、政治家になればいいのです。
その代わり、政治家がお金を求めたら、逮捕されてしまいます。
そのことを、よく心得てください。
人間には、一人ひとり、「立場」というものがあります。その自分の「立場」を貫き通せるかどうかで、本当の成功をつかめるかどうかがかかっているのです。
私は、商人です。
商人というのは、ひたすらお客さまに喜ばれるものを売るのが仕事です。
商人が、 必要もないビルのオーナーになることはありません。
ゴルフがしたければ、その都度、お金を払ってプレーをすればいいのであって、名誉のために、わざわざ高い 「会員権」などを買うこともないのです。
また、「テレビに出ませんか?」なんて言われて、いい気になっているうちに、本業のほうがおろそかになってしまうでしょう。
自分の「立場」を忘れてしまって、「地位」や「名誉」を求めたとき、その様子を神さまはじっと見ています。
そのことを忘れてはいけません。
「この人には、やっぱりお金を持たせないほうがいい……」と思われないような行動をとっていくことが、ずっとお金に愛されるコツなのです。