けものフレンズ11話その2 かばんちゃん衝撃の余波を考える | ながめせしまに@無為

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これ知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり。

 

 

 けものフレンズ11話ラストシーンに、何故これほど衝撃を受けたのだろうか。シチュエーションとしては他の作品でもしばしば見かけるものである。にも関わらず、かばんちゃんの自己犠牲は、他のどんな作品とも一線を画す印象的なシーンとして、衝撃とともに目に焼きついた。

 

 

この作品において、かばんちゃんは、ジャパリパークという舞台で、新しく生を受けたばかりの本当に無垢な存在なのである。何故自分が今ここにいるのか、自分が誰なのかさえ分からないままに、サバンナの草原を一日彷徨っており、おそらくその心理は、非常に不安で恐怖に満ちたものではないかと思う。

 

 

そんなおり、どこまでも純真で子供ぽく、そして優しさと思いやりがあるサーバルちゃんと出会う事になる。出会った際の最初に発した言葉、”食べないで下さい”は、かばんちゃんが置かれた状況で、どんな心理状態にあったかを端的に表しているとも考えられる。もちろん現11話において、その言葉がフレンズ化前の記憶に由来してる可能性もあり、その意味も含まれているかもしれない。

 

 

サーバルちゃんとの出会いで、かばんちゃんはようやく心に安定を取り戻す。旅する先々で出会うフレンズとの交流を通し、フレンズ達が持つ個性に触れていくことになる。そこで様々な経験をし、フレンズの純粋な気持ちや優しさ触れたことは、無垢な存在であったかばんちゃんの人格形成に、非常に良い影響を与えたのではないかと思う。

 

 

無垢な存在というのは、関わる者次第では、正にも負にもなってしまう可能性がある。パークにいるフレンズは、個性に違いはあるものの、どのフレンズも性根の部分は屈託なくそして純粋である。そうしたフレンズとの交流はかばんちゃんにも良い影響をもたらした。

 

 

 サーバルちゃんと旅をするなかで、かばんちゃんは徐々に自分の存在を理解し、人間らしい個性を伸ばし始める。この物語は、そんなかばんちゃんがパークにいるフレンズの優しさに触れ成長し、パークの穏やかでゆったりとした時間の中で、サーバルちゃんらとの旅を温かい気持ちで見守るようなそんな物語としてみる向きがあった。

 

 

それゆえ、まだ誕生して間もないかばんちゃんは、無意識に「死とは一番縁遠い存在」として位置づけ、認識していた。またサーバルちゃんについても同様に、こんなに純粋で思いやりがある子が死ぬはずがない、そうした緊急事態は起こるはずがないと、知らず知らずに「死」から遠ざけていたようにおもう。

 

 

そんな死とは最も遠い場所にいるべきはずであったかばんちゃんが、まさかの死の危機に瀕したラストのシーンは、このパークの現実を目の前に突き付けられる異常事態であった。

 

 

これまでの旅の中でも、何度か危ない目にはあっていても、どこかで、この二人は絶対に死ぬことはないと安心させられてしまっていたのである。 

 

 

 しかし、この潜在意識に刷り込まれたともいうべき偽りの安心感は、見事なまでにひっくり返され、かばんちゃんの死という、最悪の状況を想起させる展開になってしまったのだから、死ぬ事が当たり前の世界観でキャラが死んでいくのとはワケが違っていた。

 

ジャパリパークという、一見のんびりとした優しい世界観の中で、思いがけず突き付けられた”死”であったため、動揺を隠せないほどの衝撃を受けたのではないかと思う。

 

 

 

 

オ○ガとかいう、50話近く見ていてもろくな成長の様子も見せず、何をしたかさえよく思い出せないようなメインキャラが、見たこともないモブキャラに拳銃で暗殺されてしまった死とは次元が違う。

 

 

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