百条委員会@豊洲編 都民ファーストの責任回避の姿勢鮮明に | ながめせしまに@無為

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これ知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり。

 豊洲についての報道を見るたびに先の都知事選で小池百合子氏に投票してしまった事に

罪悪感を覚えているわけですが・・・、そういう後ろ暗い気持ちもあり百条委員会のライブ中継

を昨日・今日と見ました。

 

 そもそも今回の百条委員会は特段興味がない人の多くは何を問い質しているのかさえおそ

らく分かってないのではないかと。

 

ざっくりいうと

①土壌汚染が確認されている豊洲の土地について、汚染された土壌を綺麗にしてから東京ガスは都へと売る

 

②その後経緯不明で土壌の汚染を綺麗にするのに税金が投入されている事が分かった。

 

③税金使われてるけどなんで? 何か法的に問題があることあったんじゃないの?怪しいよ?

 

本題はこんな感じです。他にも豊洲以外の候補地はなかったのか?などと派生議題はありま

すが、中心となっているのは上の三つの流れです。

 

で、ライブ中継で見ていわけですが、都議の質問の下手さが目立ち聞くに堪えないものばか

り。心折れそうになりながらもなんとか見ましたが普段からこんなお粗末な質疑してるのかと

本当に驚くばかりです。

 

  ・質問自体が長い → 本題は何で何を聞きたいのかが不明瞭

  ・本題とは関係ないことが大半を占める

  ・舌足らずというか、話慣れていない。よく選挙通ったなと感じる人も

  ・独自のシナリオを作りだし、相手の責任になるように結論を帰結させ追及していく

  ・相手に反論の機会をろくに設けない

 

事実を一つづつ確認し積み上げた上で問題点を検証し明らかにしていくといった感じではな

かったです。質問者にたった都議については個別に批判を加えたいぐらいのイライラさを感じ

ましたが逸れるのでやめます。

 

 

 この百条委員会が懸案の築地から豊洲への移転に何か重要な判断に資するのかといえば

一般人の感覚からするとこれは過去の契約に問題がなかったかを検証するものであり

完成した豊洲の施設を使わずにキャッシュが出ていく現状を考える上で参考になるものでは

ありません

 

しかし、小池知事はこの百条委員会を移転の判断材料にする上で重要という考えを示した

め非常にややこしい事に。それゆえ石原氏を吊るし上げるためだけのショーと揶揄されてい

たりもします。こうした揶揄も正直分からないこともない。

 

 

で、百条委員会を整理すると 歴史的経緯は自民都議の川松氏のブログを見ると詳細に触れられているのでざっくり流れのみ

 ・築地が老朽化 衛生的にも施設の耐震性にも限界を迎えだいぶ前から移転が模索される

  ↓

 ・すったもんだの末、豊洲が候補地としてあがる。しかしこの地で事業を拡大したい東京ガ

  スはこの土地を売りたくない。東京都は買いたい。交渉は不信を持たれるほどにこじれた

  関係に

  ↓

 ・石原都知事時代となり、この交渉を浜渦氏に一任することに。浜渦氏の尽力の甲斐もあり

  ようやく東京ガスに首を縦にふらすことに成功する

  ※この際、浜渦氏は東京ガスに土壌の汚染を東京ガス側に綺麗にして貰うことで合意

  ↓

 ・しかし後日、新たな汚染が見つかり、東京都が税金を投入して土壌を綺麗にすることに

   ※百条委員会での疑義の内容

  ↓

 ・リーマンショックの後に政権が民主党に移る。この頃共産党員が地下水について問題が

  あると提起し始め、時の民主党の農水大臣赤松氏が現地視察に訪れ地下水を飲み水と

  して飲めるレベルである環境基準でないと認可しないと強硬な姿勢にでる

  ↓

 ・石原氏は都の職員がこれをクリアしてみせるということで、いわば民主党に乗せられる形

  ではあるが環境基準を努力目標として打ち出す

  東京都はこれを努力目標とはしているが環境基準まで下げることを絶対の条件としている

  わけではなく、かつそれを宣言したことは一度もない

  ↓

  土壌汚染対策法の施行

  ↓

 ・舛添都政化において土壌汚染対策工事が全街区で対策されたことを確認し安全宣言

       ※2016年11月開場  

  ↓ 

  ・小池都政スタート  都議会へ諮る事無く独断で豊洲移転を凍結

  ・盛り土問題→結局地下ピットということでより安全な方法であったと判明          

  ・9回目のモニタリングで業者が不適切な方法での採取を都に指示されたと回答

  ・知事の説明責任や都性の透明化などに疑問符

  ↓

 ・築地で様々な問題が露見 → 築地はコンクリートで覆われているので安全

 そのロジックなら豊洲はもっと安全では?と知識人からダブルスタンダードを指摘される始末

  ↓

 ・豊洲は安全ではあるが安心ではない

   ←風評を撒いてるのは小池知事では?と批判が起こる

   ←科学的に安全が保障されるているのに、安心は個々の心の問題で解決は不可能 

    安心させるのがあなたの役目でしょうなどと批判されることに

   ←結局小池知事の胸先三寸で安心は決まる 政局に利用するな、などの批判

 

 などと当初の小池旋風の潮目は変わりつつあります。確かに豊洲については最近の小池

 知事の対応は支持のしようがないものと私も考えます。

 

 

百条委員会での主張を端的にまとめると

 ・浜渦副知事は東京ガスとの契約までは尽力したがその後は関与していない

  そのため税金の追加投入などは預かり知らぬことである

 

 ・石原氏は豊洲移転の最終決定は自らにあると、これまでの主張に変わりがないことを宣言

 

 ・石原知事は東京ガスが売りたくないといってるならもっと内地や他ではできないかと

 担当者に質問するも無理だと一笑に付され豊洲でやることを決意し責任者として決定した

 

 ・瑕疵担保責任など細かいことは専門家たる職員があげてきたものを信用しており 

  当時は震災などで忙しかったこともあり詳細に覚えてはいない

 

 ・石原氏は土壌汚染の撤去そのものについては重要性を認識していたが、豊洲は水

 道水を使うこともあって地下水については排水して海に流すという認識でありあまり重

 要性については問題としていなかった。

 また部下が環境基準でやれるという姿勢を信頼したともいえる。この点環境基準につ

 いては現在視点で振り返ってみるとややハードルが高すぎたかもしれないとも認めている

 

 ・地下水は排出し既に専門家会議の間でも法的にも安全といえる基準を満たしているので

 あるから速やかに豊洲に移転すべきである。移転しないことで毎日生じている税金の支出

 は小池知事の不作為責任であると主張。

 都民ファーストを代表して質問していた都議はXデイなるメモが発見されたと明かしこれは

メディアでも大きく取り扱われたが、結局Xデイが豊洲土地価格下落に繋がる裏付けがまった

く見つからず、また誰も知らないと証言。浜渦氏は東京ガス内部での作業予定日ではないか

と指摘し、予めストーリーを作ってそこに結論をもっていくのはやめていただきたいと厳しく糾弾。

 

また同都議は、石原氏の責任を追及するにあたっても枡添知事の安全宣言については言及

することなく石原知事への責任を追及する姿勢。石原氏が取り決めた環境基準たる安心基

準が小池都政の足枷となっているかのような物言いであった。あくまで舛添都政の安全宣言

をひっくり返したのは小池知事である。

 

見ている側からするとひどい印象操作であり責任回避論である。石原都政化では民主党政

権下ということで赤松農政大臣から極めて酷な基準を求められたという背景があったが、小

池知事の時には舛添氏の安全宣言もありこのような状況は既に解消して粛々と移転できる

状況が整っていたにも関わらずそれを都議会に諮らず独断で現在のこのような状況を生み

だしたのはまさしく小池知事なのである。これはいくら小池知事に投票し支持していたとはい

え看過できるほどのささいな問題とは言い難い。手続き無視もさることながら、責任回避を鮮

明に打ち出しているかのようにしか見えない。

  

 また、本来都の資料を入念にチェックすれば百条委員会のようなものは開かずとも分かる

ことであると指摘されているように、百条委員会が小池知事の政局に利用されている印象は

否めず、過去の都政=悪という構図を成り立たせ、それを粛清する小池都政といった具合に

見世物にするかのような演出にも甚だ残念である。

税金が正しく適法に使われていたかを検証するのは大事なことであるがこれと豊洲移転の可

否に結びつけるやり方は筋が通っているとは思えません。