2016年 日本経済・政治の見通し(高橋洋一) | ながめせしまに@無為

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2016年の政治・経済見通しについては今年も高橋洋一先生の見解です。
参考リンク
選挙後の年後半に景気改善 カギ握る消費再増税中止と27兆円還元 (1/2ページ)

2016年、日本の景気が悪くなる要素が見当たらない~「国債不足」に「追加緩和」そして「埋蔵金バズー

( )部分は私の補足

【経済の行方】
  ①景気の基調
  ②マクロ経済政策

 上記2つの指針が主たる判断要素である。

   ・2014年4月の消費増税の影響はようやく緩和され影響は軽微となる(+要因) 
     (経済へのインパクトは2年近くあり、当初財務省やメディアがいっていた3か月でV字回復は
      まったくのデタラメであったことは決して忘れてはいけない。いかに御用学者やメディアが
      財務省のいいように使われているか)


   ・GDPギャップが2015年12月時点において10兆円存在することで足を引っ張っている状態   
     →金融緩和が継続するので大きな悪化はしないが、雇用状態は現状から改善はせず
      足踏みもしくは一時後退へのマイナス材料となっている。 
      (GDPギャップ解消の手段たる補正予算を早急に打つ必要性を以前から指摘しているが
       政局との兼ね合いもあり、おそらく7月の参院選前に大きな補正予算の可能性があると
       分析している。)


   ・海外要因
    中国経済のメッキが剥がれて日本経済へマイナス効果として働く可能性がある。
    (高橋先生は改竄ができない輸入統計を用いGDPと輸入統計の相関性を根拠に中国経済の
     成長率がマイナスになっている可能性がある点を指摘している。他の有力な経済学者が
     李克強指数といわれる経済指標を用いて分析する人が多い中、この指標すら怪しいと指摘
     している点で他の経済論客とは分析のアプローチが異なっています)


【消費増税10%は実行されるか】
   (2014年4月の消費増税の影響は本当に甚大であった。三か月でV字回復とか嘘乙もいいところ。
  個人消費を大きく冷え込ませ、それまでの金融緩和のプラス効果を帳消しにするほどのインパクトを
  2年近く与えたました。2014年12月に行われた衆議院解散で先送りするための民意を問わなければ
  2015年10月には消費税10%となり今頃はさらに消費の落ち込みに伴う景気の悪化が深刻化している
  状況が濃厚でした。それゆえ消費増税はこの先も何としても先送りしてもらわないと困るというのが
  政府に対する期待となります。)

  今年7月の参議院選挙(衆議院選とのダブルの可能性も)は2017年4月からの消費税10%への
  再増税を行うかどうかの大事な選挙となる。
先の軽減税率騒動から判断して、<官邸 VS 財務省>
  は官邸が圧勝し掌握。このことから、

   →消費税増税はスキップとなる公算が現在は高い
  
    ・安倍首相時新が2014年4月の消費増税の失敗を痛感している。
    ・リーマンショック級のことがない限り増税する
      ↓
     12月には『国民の理解を得なければ、できない』 というようにニュアンスが弱くハードルが
     下がっている。 
     (※甘利大臣も増税でデフレに戻らないのが条件と援護射撃している)
 
   ⇒要するに経済判断ではなく、政治判断として国民の信を問うという方向へと転換したと
    みなすことができる。公明党との連携も十分である。



  (2014年4月当時、消費増税が日本経済へ与える影響は軽微3か月もあればV字回復とうたって
   いたものは日銀黒田総裁を筆頭に、経済学者・エコノミスト・大手メディア・経済評論家などが
   大半であった。一方、影響は甚大であると主張していた高橋先生やリフレ派といわれる勢力との
   比率は9:1程でいかんせん多勢に無勢であった。
   2016年となった現在消費増税のインパクトが実際にどうであったかは結果が出ており検証できる。
   勢力としては少数派あった1のグループが主張していた影響は甚大という主張が正解であった。
   これは日本では少数派ではあるが、世界では日本の少数派が世界の多数派という少し歪んだ
   特徴がある点も注目しなければならない。財務省の力はそれほど大きいという事。)

   
【大型経済対策実施+消費税スキップで2016年後半は景気改善の
 シナリオになる可能性も】

  
 ・アベノミクス→円安→失業率の低下→外為特会20兆、労働保険特別会計7兆円の含み益
 これらを選挙前に国民へ還元し、消費税増税スキップとあわせて参院選(ダブル選)で圧勝する
 ようなシナリオになれば2016年後半は景気が大きく改善し良くなると考える。

 (法律的には消費税増税は規定路線ではありますが、政治的には実はまったく白紙であるという
  のが高橋先生の見解です。それゆえ2015年12月の衆議院解散消費税増税スキップもメディア 
  は予想していなかったようですが、高橋先生は選挙により白紙に戻す可能性が十分にあることも
  以前より指摘おりました。今後主要メディアは財務省の”ふくみ”により財源や社会福祉、財政破綻
  など様々な理由をつけて消費税増税の必要性を国民に植え付けてくることでしょうが騙されては
  いけません。また衆参同時選挙のシナリオも政治的には可能性十分であるがそれを口にすれば
  財務省に潰されることから、首相および官邸からそうしたことを臭わす発言は直前まで出ない
  ことも考慮しなければならないようです。)


 (また、外為特会に代表される埋蔵金については、大阪ローカル番組正義のミカタでは高橋先生が
  しばしば解説されたりしますが、全国放送では話してもon airでは使われなかったり、大手メディア
  はこのような重要な指摘を記事にもしないというのが現状です。この認識が広く知れ渡れば、
  増税で将来世代に負担を残さないという綺麗事がいかに詭弁であるか理解できます。
  今生きてる私たちが一部のエゴのためにしなくても済む負担をだいぶ負っています。)


【2016年財政再建達成も】
 「『日本の借金1000兆円』はやっぱりウソでした~それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう!この国のバランスシートを徹底分析」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156 )

この分析の要旨は三つ。


①財政論から見て国債の負担は財務省のいうほどにはないこと。


②金融政策論の観点から、量的緩和によるシニョレッジ(通貨発行益)は国債負担を解消するとともに

  物価上昇圧力になること(結果として実質金利を低めて需要創出になる)。


③統合政府のバランスシートを見れば、政府資産の大きさをはかれること、そしてその資産明細から
  官僚の天下り先を浮き彫りにすることができる、ということだ

  (財政再建のために増税が必要 というロジックはここ数年経済を中心に報道を見てきた人で
   あれば本当に嫌になるほど見てきたことと思います。これに対する考え方として財政再建は
   経済成長で賄えというのが高橋先生を始め、まともな経済学者や評論家が示す考え方です。
   増税は国民を圧迫しますが、経済成長はむしろその逆です。国民が豊になることで税収を増やし
   その増えた税収の財源から社会保障や財政再建にあてろというロジックですから、どちらが
   国民に負担なく現実的か一目瞭然です。増税はしかも消費性向を落としかえって減収につながる
   というこれまでの統計から明かになっており本末転倒なのです。なのに何故?という素朴な
   疑問に対しては、財務省の差配増大による権限拡大と天下り先の確保ということにつきます。
   カラクリを知ると本当ふざけるなという仕組みに言葉を失います。)



【国債の品不足は量的緩和の効果を支援する】
 預金取扱金融機関と保険・年金基金の保有国債490兆円の1割程度は減少せざるを得ないわけだ。
これは、それらの金融機関の保有する国債の償還分に ついてロールオーバーができないので、
このカネは他に投資せざるを得ないことになる。資金の出し手の金融機関側の事情で、企業融資など
をせざるを得ないわけだ。

もちろん、外債などに流れることもある。フローでの円安要因にも短期的になり、アメリカの利上げなど
日米金融政策の差による基本的な円安傾向を押す。もっとも、短期的にはいろいろなストーリーで
為替相場は上下するだろうが。


こう考えると、国債が品不足になるほどの量的緩和の効果が効いてくるので、経済の基調は悪くない。

国債のロールオーバーからあぶれた資金は、株式市場にも向かうので、株式市場も需給関係は悪く

ない。もし、日銀が追加金融緩和などすれば、設備投資増の援軍になるはずだ。


日銀当座預金のかなりの部分に0.1%の金利がついている。これをゼロまたはマイナス金利にすれば、

一気に設備投資の後押しになるはずだ。本来懲罰的な意味をもっていた超低金利だが、今では単に

金融機関への 支援になっている。日銀にはまだこの手(当座預金の金利をゼロまたはマイナスに

すること)が残されているのを忘れてはいけない。



人物補足

 高橋先生は財務省出身で官僚の行動原理や思惑に非常に詳しいです。また小泉政権下では

政策アドバイザーとして官邸にいたこともあり、政治家・官僚どちらにも精通していることから、

幅広い視点をもっています。加えて東大数学科を卒業しており、数時に基づいた分析を行うことから

主張の根拠がしっかりしています。読みが外れる時も、こういう状況になれば予想が外れる可能性

を示唆するなど、場あたりてきなことは言わず、同じ事を何度も繰り返し主張しています。

(正しい事は完結に繰り返す。いつも同じこと言ってるという批判を目にしたことがありますが、 

 状況に変化がなければむしろそれが自然なのです。TPOで主張がコロコロと変わるような人も

 見ますが信用に値しません。また簡潔に述べるからこそ伝わるのです)


最も頼りになる点は財務省が出す第一次資料を自分で読む力があり全部目を通している

いう点です。メディアは第一次資料を財務省が都合の良いようにまとめた簡易バージョンをもとに

情報を得るため財務省のいいように子飼いにされてしまっているのが現在の日本のまずい点である

と指摘しています。この第一次資料を全部読む力がそもそもメディアにないというのが原因だそうです。

それゆえ高橋先生の見解は他の評論家とは一線を画しています。


経済学については財務省時代にプリンストン大学へ留学した際に前FRB議長ベン・バーナンキ

のもとで学び、徹底的に議論を重ねることでデフレ下にける経済の再生方法としてインフレターゲット

の重要性を学び、この頃長年疑問に感じていた財務省時代の歪んだ教えに対する疑問が解消した

ということである。また同大学にてノーベル経済学賞を受賞しているポール・クルーグマンとも交流を

もっている。最近ポール・クルーグマンが変説したなどというデマが流れた際には、翻訳した記者や

インタゲ否定論者などの批判に対しては英文読めないんだねと一蹴している。


私の見る限り、高橋先生の見解や予想が外れているのを見た記憶はほとんど皆無ですが、

高橋先生自身は予想の6~7割当たればいい打率だというくらいの認識でいるようです。