アニメ CLAYMORE感想 ※最終26話 | ながめせしまに@無為

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これ知るを知るとなし、知らざるを知らざるとなす。これ知るなり。

 テレサ編が終わるまではこれは名作になると思っていましたが、物語終盤はひどいもので終始ストレスを感じていました。ここまで減速してしまうとは思わなかった。ストレスの原因はラキと、あまりに御都合主義のパワーインフレ。一気に崩壊したバランスについていけなかった。丁寧に作られていただけに、どうしてこうなった感が半端なかった。理由は原作が終わってない時期でのアニメ化にあり、その中で区切りをつける必要があり無理が生じ破綻したのだと思う。


ラキにはまったく共感できず、しまいには腹立たしくなり最終回残り10分を残して視聴をやめようかとさえ迷ったほどでした。こんな事はかつてなかった。その理由をまとめると、

 ①主人公クレアがこれまでの生涯で背負ってきてるもの知らない
 ②クレアの行動原理とその目標を知らない
 ③妖魔を放置すればどのような災いが起こるか身を持ってしっているはず

 ④深淵のものプリシラが実際に人を襲って内臓をむしゃむしゃ食べてるのを目にしてるのにも関わら

   ず、謎の感情を抱きそれを見ぬふりをして一緒に行動している点
 ⑤わずかな時間一緒に過ごしただけのプリシラを不可解な理屈・感情から、クレアの①②を

  『そんなのだめだー(棒)』で全否定し守っている点

①②を聞くタイミングや時間は一緒に過ごしていた時間を考えればいくらでもありそうなものでした。クレアが教えてくれなかったとしても、それを聞き出す(描写)がなかったために、ラキの主張が非常にすっぺらいものに聞こえてきます。

 プリシラは現在進行形で人を襲ってむしゃむしゃと内臓を食べている。彼女の辛い過去や境遇を知ったからといって、それを看過しプリシラに自分やクレア重ねて同情するのは共感できない。過ごした時間の短さから考えても、理由付けとしてはあまりに弱く説得力がないといえる。

クレアがプリシラを斬り捨てた後にクレアに妖魔化しないでーというのならまだわかるが、プリシラを斬ったらもう戻れなくなるという理屈が意味不明すぎる。ラキはクレアの仲間エレナが妖魔化する前に、介錯を頼んでいる姿をみている。③の経験があるなら妖魔化してるプリシラをなぜ斬ってはいけないという結論になるのか頭を抱えてしまいます。

 そして最終回で話をまとめるために、決着をつける必要があったのでしょうがクレアのインフレ度合いがこれまでのクレイモアの世界観をぶち壊しています。アニメ版クレイモアでは、クレアはまだまだ未熟でありクレアが強くなっていく過程やきっかけが丁寧に描かれていました。深淵のものリフレとの一戦をみれば分かりますが、深淵のものクラスの相手ではほぼ妖魔化したクレアでも現状はまだまだ差がありどうにかできるような差ではありません。

銀眼の獅子王リガルド戦で、半殺しにされかけ大ダメージを負っているにも関わらず、リガルドよりはるかに強いプリシラに勝ってしまうというのは、今まで積み上げたものをなかったことにするような暴挙です。

妖魔化したクレアが超サイヤ人なみの強さを発揮するという描写はこれまでなかっただけに、妖魔化したとはいえこの逆転劇は”このクレイモアという世界”では起こり得ないはずです。それをたいした説明もなく、テレサを思い出したから強くなった!みたいな理屈で最後は瞬殺してしまうのだから、見てて辛いものがあります。

その作品の中で筋が通っている、あるいは理由や複線があるインフレなら納得できますが、世界観を完全にぶち壊すだけの脈絡のないインフレは見ていて苦痛すら感じます。

この辟易してしまうようなアニメクレイモアですが、原作では辟易してしまうような御都合主義はなく、とても楽しめる作品でした。原作を読みなさいという声が多いのも納得できます。ラキも原作ではまともに描かれています。