アインシュタインが倒れ、命が危うくなった時が、この小説の最大のクライマックスです。
トラヴィスとノーラは、動揺し、犬を助けようと奔走します。
いよいよ危ないとなった夜、ノーラは一人、意識のないアインシュタインに語りかけます。
少し長いですが、引用します。
『あなたはわたしに、わたしがあなたの守護者でもあるんだと、そうしてわたしもトラヴィスの守護者で、彼はわたしの守護者なんだっておしえてくれた。わたしたちにはみんなおたがいをずっと見守っていく責任があるの、そう、見張りなのよ、わたしたちはみんな、だれかが暗闇に落ちこまないように見張らなくてはならないの。わたしたちはみんなだれかに必要とされてる、たとえ自分がなんの値打ちもない、つまらない、退屈な人間だと思えたとしても。それをあなたはおしえてくれた。わたしたちがだれかを愛し、愛を受けいれることができるなら……そう、だれかを愛することが世界でいちばん大切な、どんな宝よりも価値のあることなのよ。あなたがそう教えてくれた、そしてあなたがいてくれたから、わたしはもう二度と、昔のわたしにもどったりはしないわ』
章のタイトルにもなった“守護者”という言葉が入っています。重要なシーンなのですね。
でも注目すべきは、本のタイトルにもなった“ウォッチャーズ”という言葉が、ここに入っているということです。
“見張り”。
『わたしたちにはみんなおたがいをずっと見守っていく責任があるの(We have a responsibility to stand watch over one another,)、そう、見張りなのよ(We are watchers, )、わたしたちはみんな、だれかが暗闇に落ちこまないように見張らなくてはならないの。』
ここにwatchersという単語が使われています。
この本で、著者の言いたいのは、ここなのですね。
(閑話休題。
翻訳では、
watch over=見守る、watchers=見張り、watch=見張る、と訳されています。
わたし個人の意見としては、watchers=見守る人、見守り人、でいいのではないかと考えています。見張りではなにか監視されているようで、日本語として強すぎるのではないかなと。)
――わたしたちは、みんなお互いを見守っている。暗闇に落ちこまないように――
これは真理だろうと思います。
日本語で「気にかける」という言葉があります。
念とかそういう世界は、目に見えないので、なんとも言えないのですが。
誰かを思う、愛する気持ちというものは、その相手を守るのではないでしょうか。
お母さんが
「行ってらっしゃい。気をつけてね」
と声をかけて子供を見送ったら、その子が外で事故にあいそうになったけど無事だった、という話をたまに耳にします。お母さんの言葉が守ってくれた、日本は言霊の国だから、と。
言葉だけでなく、気持ちを向けるだけでも、相手を守ることになるのかな、と思います。
わたし達はたがいを見守り、それによって、たがいを守護し合っているのでしょう……
また、これは家族だけでなく、知人、友人にも当てはまるのかもしれません。家族ほど絆は強くはないかもしれませんけれど。
気持ちを向けていることで、自分はその人のウォッチャーズになり、ガーディアンになっているのかもしれません。
そしてだれかも、自分のウォッチャーズであり、ガーディアンであったなら。
みんなが、互いのウォッチャーズで、ガーディアンなら。
その世界はとても素敵だと思います。
あくまでも憶測で、ファンタジーですけれども。
たまに、そんなことを夢想したりしています。
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米国のモダン・ホラー作家といえばスティーブン・キングと、ディーン・R・クーンツ。
キングのホラー作品は、恐怖がひたひたと押し寄せるのが多い。主人公に肩入れしながら読んでいても、「これは無理なのでは?」という絶望感や無力感にさいなまれます(『呪われた町』は、読み返そうと思いつつ、本棚に20年以上そのまま)。ま、そこがホラーの醍醐味といえば、その通りなのですが。
一方クーンツのホラー作品は、恐怖はあるけど、悪役にも同情の余地があり(残虐非道っぷりに、わずかな同情は消し飛びますが)、たぶん善が勝つという安心感がある。そのためホラー小説としてはやや甘いのかもしれないけど……
そこが好きです、クーンツ。
もともとクーンツは色々なペンネームで書いていた職業作家で、ロマンスものから冒険ものまで、幅広く作品を出していました。
次第に知名度を上げていき、1980年に『ウィスパーズ』を発表して人気に。以降はディーン・R・クーンツ名義でコンスタントに作品を発表し、ベストセラーリストにランクインすることもしばしばあるそうです(Wikipediaによる)。
クーンツの作品はどれも魅力的。ハラハラドキドキして、日常から別世界へトリップさせてくれます。
中でも私がいちばん好きなのは、『ウォッチャーズ』。
『ウィスパーズ』の後に書かれたこの作品は、ホラーでありながら、古典的なボーイ・ミーツ・ガールの話でもあり、とても魅力的です。
孤独な男、トラヴィスの前に現れた、1匹の迷い犬ゴールデン・レトリーバー。その犬には、不思議な知性が感じられた。トラヴィスは、犬に“アインシュタイン”と名前をつけて飼うことにする。
夜になると、犬は窓の外をながめ、おびえるようなそぶりを見せる。追手がいるのか? 次第に表れてくる敵の姿。
捜査官も犬を追い、しだいに話はクライマックスへ――
犬がとてもかわいく、声やシッポで会話をするのが、読んでいて楽しい。
主人公たち(とうがたっていますが)の恋愛も、中年ならではのじれったさがあり、読んでいて応援したくなります。
『ウォッチャーズ』、機会があったら、ぜひ読んでみて下さいね。
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➀ モノローグについて
映画の最後のモノローグ、
――最初から原稿もメモもなかった――
ここのくだりは、『心の指針126 勇気と自信』(月刊誌2015年6月)にありました。
当初は、「自分が本当に“仏陀”であるならば」となっていましたが、
映画では、「自分が“救世主であり仏陀”であるならば」と変更されていました。
(“”は原文にはなし)
現在は『心の指針 第11集 信仰と人間』に収録されているそうです。
(情報をくださった編集局副局長さま、小田原支部さま、ありがとうございました)
② 心の指針125の、赤いバラの花束とは?
『心の指針 125 愛と追憶の中で』(月刊誌2015年5月)
の最後のあたりの、
――赤い小さなバラの花束を、小川の岸辺から流す――
ここのくだりは、もしかしたらあの恋の、あの人への思いではないか……
なんて、映画を見た後だと考えてしまいます(*^^*)
③ 会の名前と、主人公の名前について
講演会の名前(激誠会って合ってる?)と、主人公の名前(真一)は、
『心の指針 132 真実の人となれ』
――赤心を洗い、“激誠”の人となりまさい。
“真”実“一”路の人として生きなさい――
(“”は原文にはなし)
から来ているのかなあと思いました。
違ったらすみません。あくまで私見です……
幸福の科学の12作目の映画で、大川隆法総裁の自伝的な内容。
見てきました。
主人公は中道真一(という名前になってます)。東京の大学に受かって、上京するところから始まります。
都会の人の多さに驚き、友人を得、初恋に落ち……けっこう青春してます。でも基本、勉強ばかりしていたのだろうと思いました。季節の移り変わりを描く描写がかなり多い(^^;
かなり早くから霊界からのコンタクトがあるも、「まだ自分には早い。きちんと社会勉強をしてから」と断り、商社に入ります。
仕事をしながら本を書くという、二足のワラジをしつつ、仕事をとるか救世事業をとるかで悩みます。そして……という話。
思った以上にストイックというか、不器用なまでに真面目でひたむきな人だったんだな、と感じました。
こういう方でも、自分の人生にたいして、ぜんぶまっすぐで安全な道が用意されているわけではないんですね。天使たちが「こっちがいいよ」と教えてくれるわけではない。恋とか恋とか恋とか……(*^^*)
ちょっとビックリしたのが、頭に後光が差すところ。霊感がある人は実際こう見えるのでしょうか。
西洋の宗教画のイエス様とかマリア様などの光背も、ただの飾り(失礼)ではなくて、本当に見えたものかもしれない。そんなことを考えたりもしました。
清水富美加さん改め、千眼美子さんはかわいかったです。もう少し髪が長ければもっと“高嶺の花”っぽさが出たかな?とは感じましたが。(ラストの髪型との対比も出したい)
でも無言の演技がとてもすばらしかったです。
他の俳優さんも良かったです。前作『君のまなざし』でメインだった人が、今回は脇役に徹したりしていて、えらいなと思いました。
朝、栗栖さんを車で、会社まで送ることがあります。
車から見える景色は毎日同じようでいて、気がつくと、季節が移り変わっているのが分かります。
梅、桜、藤、ツツジ。
富士山の雪は、もう頂きにわずかに残すだけとなりました。
栗栖さんと、車の中で花の話をします。
「バラが咲いてるよ」
「見事だね」
「あの木は何?」
「ヤマボウシじゃないかな」
今年の春は水仙が咲くのが遅かったり、フキの出がいまいちだったり、番狂わせがありましたが、梅雨は順調に来たようです。昨日、関東が梅雨入りしたとのニュースが流れました。
ツツジが色褪せ、かわりにアジサイが、日ごとに濃くなっています。
赤信号です。車を止めました。
横断歩道を、たまに見かける男の子が渡っていきました。
ランドセル姿だったのが、いつの間にか中学生の制服です。背もすこし伸びたようです。
手に傘をもち、友達とチャンバラごっこをしています。
「スターウォーズみたい」
「制服が新しいな。1年生だね」
渡った先の歩道を、バイトやサラリーマンの人たちが歩いていきます。
信号が青に変わりました。アクセルを踏みます。
季節が、ゆっくりと変わっていきます。
もう20年あまり前。(おっと、年がバレちゃいますね)
旅行先で、よい香りに出会ったことがあります。
ビジネスホテルに泊まった翌朝のこと。わたしは家族へのお土産をなにか買おうと、ロビーに足をはこびました。
まだ時間が早かったようで、売店は人気がなく、1人の店員さんがレジに鍵をさしこんでいるところでした。
彼女が商品を並べなおしている横で、わたしは邪魔にならないよう、店内をゆっくり歩いていきました。
その土地の宝飾品や雑貨、お菓子がいろいろ並んでいます。このブローチは母に似合うだろうか、このしおりは父が使ってくれるかな。お茶に合うお菓子はどれだろう……。
ふと、よい香りが鼻をくすぐりました。
まるで、やわらかく明るい風のような。水のように透きとっていて、でも優しさのかたまりのような。早朝、あたらしい今日の光が生まれてくるところのような。
その場をキラキラした空気に変える香りに、わたしはうっとりしました。
なにが香っているんだろう? 匂い袋でも売っているのかな?
商品を見回しましたが、それらしい物はありません。店員さんにたずねようと思いましたが、開店の準備で忙しそうで、声をかけるのをためらってしまいます。
結局聞けないまま、お菓子だけ買って帰りました。
旅行から帰ってからも、その香りが気になって仕方ありません。
ある日、ふと思いつきました。
「もしかしたら、あれは店員さんがつけていた、香水なのかもしれない」
次の日から、わたしは仕事帰りにデパートに寄って、片端から香水を試していきました。当時は甘めや重厚な香りが流行っていたので(バブル期でした)、なかなか見つかりません。あまり何種類も試すと鼻がきかなくなるので、1日2種類くらいにとどめ、翌日また試す、ということを繰り返しました。
ついに、見つけました。
「あった……」
たぶん、あの香りです。静かに輝く朝日の香り。
わたしが手にしていたのは、
KENZOの“エテ”でした。
当時はアルデヒド系などの強く甘い香りが流行っていたのですが、その反動でオゾン系といわれる香りが出始めていました。“ロードゥイッセイ”なども同じ仲間で、とても流行っていました。
葉っぱに水滴が1つぶ付いたボトルの形もかわいい。
次の月の給料が出たときに買いました。大好きで、ボトルが空になったら2本目も買いました。
その後“エテ”はモデルチェンジをし、わたしは別の香水を使いはじめ……やがて数年前に、“エテ”が廃盤とのニュースを目にしました。
もう合えない香水は、わたしの記憶の中で幸せな風になって、気まぐれに鼻をかすめていきます。
エリザベス・アーデンの“5thアベニュー”(“No. 1”もアーデンでしたっけ?)、ブルガリの“プール・ファム”、サンローランの“イグレック”、クリニークの“エリジウム”、資生堂の“沙棗”……
その中でもケンゾーの“エテ”は、出会いの感動も含め、わたしにとって忘れがたい香りの1本です。
昔、セレブが雑誌で、
「一番疲れをいやすのは、香りです」
というのを読んだことがあります。
本当に疲れたとき、一番効果があるのは、豪華で栄養のある食事やマッサージなどではなく、良い香りなのだそうです。
だからその家では、お風呂に、高級なボディシャンプーを置いているとか。
なるほど、と思いました。
我が家ではドラッグストアで手に入る、ごく安いものしか置いていませんが、香りによって気分が変わったりします。
LUXのボディソープは、「LUX, super rich !」とウィンクする女優さん気分に。
植物物語だったら、郊外の庭いっぱいのハーブを連想してリラックス。
資生堂のオリーブの石鹸がエレガントな香りで大好きでしたが、あれはまだ売っているのでしょうか。(“摘みたて工房”というのがそう?)
よい香りの石鹸で体を洗うと、1日の最後にごほうびをもらったような気分になりますね。疲れが甘い香りに変えられて、シャワーで洗い流されて。気分も一新。
残り香がただよう中、温かいバスタブに体を沈めると、ほうっと息がもれます。うーん幸せ!
西洋の人は香水と同じシリーズの石鹸やクリームなどをそろえて、統一感と香り深みを出したりすることもあるそうです。
わたしはまだそれはしていませんが、あこがれます。
いろんな香りを試して、いつか本当に好きな香りができたら、やってみたいと思います。
おや、そろそろ我が家のボディソープがなくなってきました。今度は何の香りにしましょうか。自然派のパックスナチュロンにするか、夏らしくシーブリーズにするか。
選ぶのも、楽しみの1つですね。
(写真はPhoto AC より)













