(はじめに:2010年の話なので、「今年=2010年」「今日=12/24」です。)
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病院以外は遠出をしなかった今年1年。最後の月に入るころ、友人から「みんなで飲みませんか?」と飲み会のお誘いメールが届きました。
これは外出のリハビリにもってこい(?)。夫婦で、銀座まで行くことにしました。
栗栖さんは飲むと眠くなってしまう人なので、「長時間、電車に揺られていたくない」と近場の宿泊を希望。都内のホテルを予約しました。これで帰りも一安心です。
久しぶりの電車は、週末だからか空いていて、乗客たちもなごやかな顔を見せています。昔通勤に使っていた頃はいつも混んでいて、乗り降りするたびにもみくちゃにされたっけなあ、なんてことを思い出します。
栗栖さんは「足は大丈夫かい?」と座りっぱなしの私を心配しつつ、DSで英語の勉強に熱中。だいぶ単語を覚えたそうです。
ホテルにチェックインしたら、朝食のクーポンといっしょに、東京タワーのチケットを渡されました。そうそう、たしか料金が変わらないからと、そんなプランを申し込んだんでした。
飲み会までまだ時間があるし、ちょっと見てきますか、と2人で意見が一致。重い荷物は部屋に置いて、出かけました。
浜松町。結婚してすぐの頃、来たことがあります。
今日の浜松町も、あの時と同じ夕方でした。夜の気配が濃厚で、夕焼けが最後の明るさを消しつつあるところ。街灯がともり始めているのも同じです。
それでも前と違うのは、クリスマスのイルミネーションが加わっているからでしょう。街ぜんたいが明るく、道行く人もカップルも多いようです。
それを栗栖さんに言うと、
「俺たちもカップルだよ」
と笑われました。
「カップルって、恋人同士のことを指すんじゃないの?」
「夫婦だって男女なんだから、カップルさ」
それでは、と私たちもカップルらしく、腕を組んで歩きはじめました。
「いかがですか」
急に声をかけられました。
「どこへでもお連れしますよ」
脇を、若いお兄さんが立っていました。タクシーの運転手にしてはスポーティな格好です。タクシーもありません。
代わりに、背後に楕円というか三角形というか、妙な形の幌のついた自転車が停まっていました。
あ、これ見たことある! 最初はJAFの雑誌で、日本でも導入したという記事。それから六本木では、ちょうど降りるお客さんがお金を払っているところ。
「ベロタクシー!」
思わず声をあげました。
「ベロタクシーだね」
栗栖さんもうなずきます。
「間近で見るのは初めてだわ」
「乗ってみる?」
「値段はどのくらいかしら?」
たずねると、大人1人300円×人数分、0.5kmを越えたら、0.1km毎に+50円だそうです。2人で東京タワーだと、坂道なので途中まで、料金は1500円位(記憶によると)。
「うーん……」
悩んでいると、
「試しに乗ってみない?」と栗栖さん。
「クリスマスの記念にいかがですか」お兄さんが上手にたたみかけます。
乗ることにしました。