1974日記最終回 | 塩田泰造オフィシャルブログ「塩田泰造のムギムギデイズ」Powered by Ameba

1974日記最終回

千穐楽後の中島早貴さんのひと言あいさつが
「あぁー、なっきぃさん、お久しぶりー」
だったということは、すなわち
「さようなら。さようなら。古見りつ子さん。」
だったわけで

十分間の打ち上げが終わって、ステージに向かうと
もうセットはすっかりバラされた素舞台になってて
ラストシーンに添えた¨桜の花びら¨が、あしもとに
散っていました

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以下は『1974』の演出を担当した者としてでなく、
ただ一人の、舞台を客席から視た者としての個人的
感想ブログととらえていただければとおもいますが


中島早貴さんには、もの凄いものを視せてもらった
と思わずにはいられません

岡井千聖さんが演じる『翼くん』は最高に凛々しい
格好のいい男の子だったけれど、冒頭のシーンから
客席で観ている人は、当然、全員が「翼は、女の子」
という事実を知っていて、
『りつ子』ひとりだけが、翼を男子だと信じている。
そんな「一人 VS 全員」みたいな孤軍奮闘状態の中、
その恋心に、リアリティと求心力を抱かせてしまう

クライマックスのシーン「女の子だってわかったの」
という、全員が最初から知っていたことを告白して、
こころを激しく揺さぶってしまう。

どうしてこんな信じられないことができるんだろう?

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「もう逢えないのかなっていうのは、
 もう逢えないのかなっていう意味」

「もうショックはショックはショックはショックで」

我ながら、脚本家養成講座に通ったら最初の授業で
赤字添削されそうな、日本語になってないセリフを
今この瞬間、自分の中から生まれて来た言葉として
新鮮に言い切って、風を吹かせる

こんこんと泉のように涌き続けるリリカルな感情と、
大き過ぎる感情に負けないで打ち返す力強い発信に、
絶え間なく身を任せている

その奇跡のような秘密の一部を、中島早貴さんが
『1974』期間限定ブログに書かれた最終回記事に
垣間見ることができました

http://www.gekidan-online.com/blog/1974/?p=972

『よく共演者の方とかSTAFFさんに「どんな感じ?」
って言われること多いんですけど、いつも
「やってみないとわかんないです」って答えてました。
そっけないかもしれないんですけど自分なりに考えた
正論なんですよっ?ってここで本音を言ってみる件。
笑』
ですって。


・・凄ぇー・・


「はじめて聴いて、はじめて答える」

演劇をやっていれば、誰もが必ず一度は耳にする言葉、
その言葉の意味を、実践する凄みを
あらためて(いや、はじめて)教えてもらったような、
冷水を浴びるゾクッとする心地がしました

稽古中から、
「うわ!もう、それ、本番までとっておいてくださいっ」
ってびびるほど鮮度の高い芝居を繰り返し、本番10ステ、
さらに新鮮な『やってみないとわからない』それでいて
脚本の、物語の求めるところに必ず連れていってくれる
『りつ子』を渾身の惜しみない全力で演じてくれたこと、
とてつもなく有り難くおもいます

私事ですが、塩田「大人の麦茶」旗揚げから足掛け十年、
これまでに数十本以上、芝居の脚本を書いてきましたが
「ラストシーンがひとり」っていう芝居は今回、初めて
書きました

それを演じてくれたのが、中島早貴さんでよかったって
本番10ステージ、10回ぜんぶ、こころから感謝しました



そして中島さんがそんな『りつ子』を魅せてくれたのは、
相手役が、全部を信じて預けきれる岡井千聖さんだった
こと、貴い信頼関係の相乗効果から生まれたものだった
ことを、あらためて有り難くおもいます

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カーテン・コールが終わってから、また芝居の世界観に
戻るかのような、禁じ手の大ラス

翼  「りつ子。りつ子。帰ろう。送ってく・・おいで」

というシーンは、忘れもしない今年の三月十二日の朝方、
待てども待てども来ないダイヤの乱れた電車を待ってて、
思いついた追加のシーンでした

実現(公演)できないのかも知れないなーと思った瞬間、
胸のおくから浮かんだ¨幻の翼くん¨に涙が噴き出ました。
翼=岡井さんが書かせてくれたシーンとしか思えません

そのあたり『1974』を何度も何度も観劇してくださった
あるささんのブログ

http://ameblo.jp/ashitanokaze-dd/

自分の知らないこと、綴ってくれていてわくわくします。
つづきが超たのしみ!

五年前、初めてご一緒した『寝る子は℃-ute』のころの
スナップ発見したのでアーップ

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もしも願いがかなうなら、
あのころの翼くんとりつ子に
もう一度、逢いたい



その願いは、ひとまず DVDの完成を待つことにします

夜中とか朝方に少しずつ書きためたブログなので
千穐楽から一週間もたっちゃって、すみませんー


千穐楽のカーテンコール
いちばん「おもてなし」をこころがけなければならない
主宰(塩)と座長(池田)が、主演のお二人からお花を
いただいてしまうという、ありえないようなサプライズ、
あたたかく見守ってくださってありがとうございました。
もったいないくらい嬉しかったです

「八百の人間の八百の夢が、一つも叶わないこともある。
 オレの夢は、九ヶ月の時を経て、叶った。(意味不明)」

この夢を叶えてくださった、ご来場のすべてのお客さま、
1974組 表方裏方 一同に言葉に出来ない感謝をしています

どうもありがとうございます!(はい。現在形で述べてみます)

毎日、水をかえながら、先を明るく視て、たのばります!


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