羽田雄一郎国土交通相は29日、整備新幹線の未着工3区間(北海道、北陸、九州・長崎ルート)の着工を正式に認可し、発表した。順次、着工し、開業は九州が着工から10年後、北陸は14年後、北海道が24年後の見通しだ。新幹線の新区間の認可は4年ぶりで、民主党政権では初めてとなる。
認可したのは、北海道新幹線の新函館―札幌(約211キロ)、北陸新幹線の金沢―敦賀(約113キロ)、九州新幹線・長崎ルートの諫早―長崎(約21キロ)の3区間。総事業費は3兆400億円で、7割程度を国と沿線自治体が負担し、残りはJRが払う線路などの使用料をあてる。
整備新幹線は1973年に5路線(北海道、東北、北陸、九州・鹿児島、九州・長崎)の整備計画が決まり、工事が進んできた。今回の3区間着工で、未着工の区間は敦賀―大阪間だけとなる。
整備新幹線の未着工3区間の着工が国土交通省より正式に認可されました。
今回正式に認可されたのは、N041 : 整備新幹線着工認可間近!?のエントリで取り上げました、下記の3区間になります。
路線名 | 区間 | 開業キロ | 予定年度 |
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北海道新幹線 | 新函館駅~札幌駅 | 211km | 2035年度 |
北陸新幹線 | 金沢駅~敦賀駅 | 113km | 2025年度 |
九州新幹線・長崎ルート | 諫早駅~長崎駅 | 21km | 2022年度 |
これにより、主要区間の所要時間は以下となる予定です。
路線名 | 区間 | 所要時間(開業後) | 所要時間(開業前) |
---|---|---|---|
東北新幹線・北海道新幹線 | 東京駅~札幌駅 | 5時間1分 | 9時間17分 |
北陸新幹線 | 大阪駅~金沢駅 | 2時間1分 | 2時間51分 |
九州新幹線 | 博多駅~長崎駅 | 1時間20分 | 1時間52分 |
今回の3区間の工事費は合わせて約3兆円かかる予定となっており、その工事費に見合った効果が出るかどうかは微妙なラインとされています。
特に、九州新幹線長崎ルートに関してはその効果が疑問視されており、下記のような記事も散見することができます。
九州新幹線・長崎ルート(長崎新幹線)が10年後に全線開業する見通しになった。国にお金がないなかで、便利になるのは大都市間のみ。わずかな時間短縮のために新たな新幹線が本当に必要なのか。取り残される形の並行在来線の沿線住民からは、うらみ節も聞かれた。
九州新幹線・長崎ルートは途中在来線区間を走ることから、フリーゲージトレインでの運行を前提としているため、上記の結果にもありますように新幹線を走らせたからといって劇的に所要時間が短くなるわけでもありません。
それどころか、新幹線を利用する場合は料金が値上げになりますので、利用しないお客様が続出し、ひいては新幹線が赤字を産むことになりかねないと懸念しています。
個人的にも並行在来線や、並行在来線と接続している在来線の動向は非常に気にしているところです。
現時点では並行在来線を第三セクター化しないでJR九州が引き続き運営する方針で進められていますが、この方針がいつまで続くのかも正直わかりません。
とはいえ、正式に工事着工が決定しましたので、まずはこの区間が無事に開業することを祈りながら見守るしかないかなと思っています。
なお、この着工認可により、整備新幹線として規定された区間の中で未着工となっている区間は、北陸新幹線の敦賀駅~大阪駅のみとなります。
この区間はN114 : JR西日本も北陸新幹線にフリーゲージトレイン導入意向表明で取り上げていますように、既存の在来線にフリーゲージトレインを走らせる予定となっていますので、整備新幹線としての工事着工は事実上今回が最後になるのではないかと考えています。