<伊勢神宮>
先日伊勢神宮を訪れました。
伊勢神宮には、内宮と外宮がありますが、どちらを先に参拝すればいいのかわからなかったので、外宮から参拝しました。
いろいろなところにパワースポットがあるのか、若い男女が大木に手を当てていました。
次に内宮へ。その日が「新嘗祭」が挙行されていたため、参拝者で参道があふれかえっており、正宮までの道のりが長かった。
無事参拝が終わったあとは、おかげ横丁をぶらぶら。伊勢名物“赤福餅”そして“伊勢うどん”、“手こね寿司”を食べました。美味しかった!
やはり人生1度は“お伊勢参り”ですね。
<相続こぼれ話>「遺言 子なし夫婦編3」
ある日男性の声で遺言について相談したいというお電話が入りました。概要はこうでした。
自分の弟は、末期がんで昨日まで病院に入院していたが、最後は自宅で過ごしたいという本人の希望で今日家に戻ってきた。医者からは長くて余命1か月と言われている。
そこで、本人のこれからと万一の時について、弟本人と弟の奥さんの3人で相談した。
弟夫婦には子供がいないので、万一の時、相続人は奥さんと兄弟姉妹3人となる。自分は長男なので、弟の相続で兄弟ケンカはしたくないのと、これからの奥さんのことを考えると、やはり本人の財産は奥さんにすべて遺していくことが一番だと思っている。
そうなると遺言が必要であることを本で読んだことがあるので電話したと。
電話では本人の意思や詳しいことを聞けないので自宅を訪問することにしました。
家の中に迎えられ入りますと、和室に置いてあるベッドの上に、男性が横になっていらっしゃいました。正直言いまして一瞬息をのみました。と言いますのはその男性は痩せこけて、目も顔に食い込んでいるような、骸骨のような風貌でした。
これでは遺言を作ることはできないなと思いました。なぜなら、話もできないように見えまし、したがって本人の判断能力も不十分なのではと思ったからです。
私は、ベッドに近寄って本人にご挨拶しますと、本人からか細い声ではありますが、「このたびはお世話になります。私は3日前に退院してきて体力がないのでご迷惑をおかけします。」と
これを聞きまして、本人には判断能力があるとわかりました。
早速奥さんと弟を交えて本人の意思を確認しました。
本人はしっかりと言いました。「財産をすべて家内に残したい。」と。それを聞いて、奥さんは、目に涙をためながら頷いていらっしゃいました。
私は、本人に「わかりました。あなたの意思を遺言に残しましょう。任せてください。」と答えました。
弟の方もそれで満足している様子で、弟から「ほかの兄弟姉妹には何も言わせない。責任を持って説明する。」と言ってくれました。
本人の財産の明細や本人の相続人を確認するための戸籍謄本などの資料は、奥さんと弟の方で準備してもらうことにしました。
各種資料や書類が準備している間に、遺言の案文の案を作ることにしました。その内容を説明するため、そして本人の気持ちを聞きに本人を尋ねました。
本人が家に帰ってきてからは、奥さんが本人の食べたいおかずを作って本人に食べさせてたり、薬を医師の処方通りに与えていたお蔭で、本人に元気が戻ってきていました。私が訪問するたびにどんどん元気になっているのです。
そこで私はあることを本人に頼んでみました。奥さんや兄弟姉妹に残していく言葉がありましたらメモに書いておいてくださいと。いわゆる「付言事項」です。
本人から「わかりました。」と。
資料等がそろい、遺言案文最終打ち合わせに伺ったとき「付言事項」を書いた1通のメモを預かりました。内容は妻への感謝の言葉が並んでいました。たいへん感動しました。これを遺言につけることにしました。
本人は元気になってきたとはいえ、歩いて公証役場には伺うことができません。そこで公証人に自宅へ出張してもらうことにしました。
公証人・立会証人と一緒に本人がいる部屋に入りました。
そうしますと、本人はベッドの上で正座して待っていました。「本日は遠いところありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。」と。
部屋から奥さんや弟は退出していただき、公証人からの遺言案文読み上げが始まりました。
条項ごとに「それで結構です。」とはっきりとした口調で本人は応えました。
すべての条文を読み上げたあと、本人が書いた「付言事項」を公証人が読み上げました。公証人は少し言葉が詰まってしまったように聞こえるくらい公証人も感動するものでした。
最後に本人は弱々しい手つきではありましたがしっかりとした署名をされました。
そして「ありがとうございました。」と正座したまま頭を下げて公証人にお礼を言いました。ホッとした安堵の顔の目から涙があふれていました。
その後3か月余りしたころ、奥さんから電話が入りました。
「昨日夫は亡くなりました。遺言を書いたお蔭で、夫は心にあった心配が無くなり、毎日食欲もあって私の作った料理をおいしそうに食べてくれました。また主人といろいろなことをお話しすることができました。余命1か月はないと言われていたのに、半年近く長生きをしてくれました。本当にありがとうございました。」と涙声が受話器から聞こえてきました。
遺言執行で奥さんとたびたびお会いして、ご主人との思い出などをいろいろお聞きすることができました。
奥さんから、ご主人との最後の数か月が、長い結婚生活の中で一番充実した時間だったとお聞きしました。
ご夫婦のお役に立てられたことがうれしく思いました。
その後奥さんから、今度は自分の財産とご主人から引き継いだ財産をどのようにしていくかという相談がありました。
奥さんには、遠方に住む姉妹がいるが特に世話になっていないし、相続人となる姉妹も自分から財産をもらおうなどと思っていないと。ご主人が亡くなるときいろいろお世話になった弟に少し残し、預貯金などの多くを市役所に寄附したいという考えでした。
奥さんの意思に沿った遺言の作成のお手伝いをしました。
このご夫婦の遺言のお手伝いで、「遺言」に目には見えない力があることを感じました。