相続おじさんのブログ

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<習い事>

平成25年から始まった「教育資金一括贈与」制度を利用する方が増えていると聞きました。さらに加えて、今年の税制改正で「結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度」の創設が予定されています。

私の子供のころ、いまから50年前は、現在のように習い事が多くありませんでした。せいぜいそろばん塾、書道塾くらい。裕福な家はピアノ教室やバイオリン教室。今は当然となっているスイミングなどは、家の近くの川で上級生から習ったものでした。今は、ありとあらゆるジャンルの習い事があります。

また、学習塾は、英語と数学くらいで、国語、理科や社会科など教えるところなどありませんでした。いまは全教科があるようです。

さらに、大学の学費も月3000円でした。入学金も18000円と今とはけた違いでした。ですから、「教育資金一括贈与」制度など無関係でした。

しかし、現在は、教育費がかかりますから、こどもにとってありがたい制度ですね。

<相続こぼれ話>「遺言 なかったため編1」

ある日の朝、一人の女性から電話が入りました。

「先日主人が亡くなり、相続手続きをどのようにすればいいか教えてほしいので、伺いたい。」と。

2日後にその女性が来所されました。

早速ご相談の内容をお聞きしました。

お電話を受けたときは、相続手続きの事務的な内容のご相談と思っておりましたが、そのような簡単なことではありませんでした。

お話によりますと、

ご主人が2週間ほど前に亡くなった。その葬儀の後の食事の時に、ご主人の妹のひとりから、ご主人の相続について後日ゆっくりお話ししましょうと言われたそうで、自分としてはご主人の財産は全部自分のものだと思っていたところ、そのように言われてびっくりした。

どこに相談すればいいかわからないので、知人に相談したら私を紹介してくれたというものでした。

詳しくお話を伺うと、彼女ご夫婦には、子供がなく、ご主人には妹3人と弟ひとりがいる。みな健在で、近隣に住んでいる。つまり、法定相続人は奥さんと兄弟姉妹の5人。

ご主人はその兄弟姉妹とは、冠婚葬祭の付き合い程度で、そんなに深い親戚付き合いはしていなかった。彼女は、ほとんど付き合いはなかった。

ご主人は、地元の小さな工場に勤めていたが、定年退職後は家でのんびり年金生活を過ごしていた。生活は少ない年金で、贅沢なことはできなかったが夫婦二人幸せに生活してきたとのこと。

ご主人が遺していかれた財産についてお聞きすると、自宅である古いマンション1室と預貯金が1000万円に満たない金額。

彼女としては、これから一人で生活していく上では、これで生活できるかどうか不安な様子で、自分が全部相続しないと生きていけないのではないかと心配で眠れないと。

来月ご主人の49日法要をセレモニーホールで行う予定である。その法要のあと食事をするので、その時兄弟姉妹に時間を取ってもらい相続の話をするので一緒についてきてほしいと頼まれました。

彼女には藁をもつかむ思いで私に頼んでいるのが、顔の表情からわかりました。私は、付添人的な立場で行くことにしました。

当日は、青空の広がる快晴。しかし、心は重い気持ちで、セレモニーホールに着きました。

会場には、親戚の方々20人くらいが着席されていました。私は、法要が終わるまでロビーで待つことにしました。

30分ほどして読経が終わり、参列者が出てこられ、食事の会場に移られるところで、彼女から私を兄弟姉妹に紹介してくれました。

妹3人は、笑顔を見せることなくお辞儀をするだけで、弟からは一言二言ご挨拶の言葉がありました。なんとなく嫌な雰囲気。

会場横の和室で、今回の相続について彼女から口火を切りました。

「主人が遺していった財産を、私が全部相続させてほしい。是非お願いします。」

そうしますと、一番上の妹から澄ました顔で、驚く言葉、しかし予想していた言葉が発せられました。「兄は、自分が亡くなったら、財産をきょうだいに分ける。」と言っていたという言葉です。

奥さんは、それを聞いて愕然とした表情。彼女は、涙ながらに、畳に額をこすりつけながらお願いしました。「財産らしきものはない。分けると私は生活していけません。何とかお願いします。」

そうすると別の妹が、「遺産分けは、法律で決まっているのでしょ。私たちももらう権利があるのですから。」と。

もう一人の妹も同調するような顔で頷いています。弟は、自分には関係ないという顔で、離れたところに座っていて、何も言いません。

妹3人の顔は、まさに鬼の顔に見えてきました。

その日は、話がまとまるはずもなく、私はその場を後にし、重い足取りで帰路につきました。しかし、奥さんは、食事の場はまさに針の上のムシロに座らされている状態。奥さんの心中を察するとより気持ちが落ち込んでしまいます。

それから何度か奥さんと一緒に妹たち説明に行きました。しかし、いい返事がもらえません。行くたびにご主人との子供のころからの思い出話を聞かされ、もううんざりするくらいです。

妹の生活ぶりを自宅を見る限り、奥さんの生活状況よりずっと裕福に見えます。それなのになぜ遺産を欲しがるのか分かりません。

それからしばらくしたある日、相続の相談の場に49日法要の以来初めて弟が出席しました。弟は、興味がなかった様子で、相談のはじめは何も言いませんでしたが、途中で我慢できなかった様子で言い放ちました。

「もういい加減にしろ。お義姉さんは困っているやないか。財産もそんなに多くないのに、なんで財産なんかをもらおうなんか考えるんや。人の心を持ってるのか。」と一喝してくれました。

これで話は決着しました。ご主人の財産はすべて奥さんが相続することになりました。

弟の顔が仏様に見えてきました。奥さんは涙を流しながら、弟そして妹にお礼を言っていました。

しかし、この話、誰が一番悪いのでしょうか。鬼のような妹でしょうか。いいえ違います。一番悪いのは、奥さんのために何もしていかなかったご主人です。

ご主人が遺言書を遺しておけば、このように奥さんに苦労を掛け、心配・不安を持たせなかったのです。

つまり、“私は、全財産を妻○○に相続させる。”という内容の遺言書を遺しておけば、何も起こらなかったのです。

なぜなら、兄弟姉妹には遺留分がないからです。妻である奥さんがすべての財産を安心して相続できるのです。

あらためて遺言の重要性を再確認できた案件でした。