ワクチン | AHn007のブログ

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免疫系の働きにより、未知の異物が体に侵入すると、非特異的な自然免疫が働き、次いでその異物に特異的な、その異物だけに働く抗体がつくられる。抗体をつくる免疫細胞のDNAは、異物に適合した蛋白質(抗体)を産生するため、一部再構成される。免疫系があらかじめどのような異物が侵入してくるかすべてを知ることは困難であり、あらゆる異物を産生する遺伝子をはじめから用意することは不可能だからである。この再構成は、原則的にランダムに行われ、多様な外敵に対して多様に応戦し、たまたま異物に適合した抗体ができると、適合したことを抗体産生細胞等に知らせ、場合によってはその抗体を産生できるようにDNAが再構成済みの免疫細胞のみ、記憶細胞として生涯生き残るようなメカニズムが備わっている。

ワクチンの成分は病原性を有する異物そのものではなく病原性はない。異物であると免疫系が認識するような異物の一部、たとえばスパイク蛋白であって、この病原性のない<非自己>成分に対して免疫系は、外的の侵入であると誤認する。この”誤認”、いわば脊髄反射のような免疫系の自然な反応を利用して、免疫が賦活される。思慮深い免疫系といったものがあったとすれば、そのような偽物の、病原性のない<非自己>成分には反応しないであろう。ワクチンは、病原性のないワクチンを打つことで、多様な外敵の侵入に対して柔軟に対応する一方で、シンプルに自然な反応をする免疫系をうまくコントロールしてくれる。