ビタミンDが心不全リスクを抑制
”ビタミン”という名前がついていますが、
ビタミンDはホルモンです。
ビタミンの定義:
『微量で動物の栄養を支配し
正常な生理機能を調節し、
完全な物質代謝をなせる有機化合物で、
ヒトの体内では生成されず、
それ自体としてはエネルギー源にならない必須栄養物質』
ビタミンDは
皮膚で紫外線を浴びると
体内で作れるので、
本当は
「ビタミン」
ではありません。
本当の本当は
「ホルモン」
です。
皮膚で作られたビタミンDも
食べ物から吸収されたビタミンDも
肝臓に運ばれて、最初の炭素から数えて
15番目の炭素に水酸基-OHをくっつけると
貯蔵型のビタミンDになります。
(25(OH)ビタミンD)
これが、血液の流れに乗って
腎臓に運ばれ、1番目の炭素にOHがくっつくと
活性型ビタミンDになります。
(1,25(OH)2ビタミンD)
生理作用:
ビタミンDは
腸管からのカルシウムの吸収を促進し、
適切な血清カルシウムの濃度を維持。
骨の石灰化(カルシウム沈着)を起こし、
骨の成長や再構築に必要。
ビタミンDは骨の成長や再生だけでなく、
細胞増殖、神経筋、免疫機能、
炎症にも絡んでいます。
全ての細胞に
ビタミンD受容体があります。
ビタミンDの欠乏は、
呼吸器感染症や呼吸器疾患、
自己免疫疾患、
各種がん、
糖尿病、痴ほう症、うつ病、
妊娠結果に関連1)。
新たに
2型糖尿病患者における
ビタミンDと心不全リスク
との関連性を調査した結果、
血清25(OH)D値が高いほど
心不全リスクが低くなる
と報告2)。
英国バイオバンクに登録された
40~72歳の2型糖尿病患者
1万5,226例を対象に調査。
追跡した期間の短い順番に並べて
7613番目の人の追跡期間は11.3年
血清25(OH)ビタミンDの平均値は17.36ng/mL※
836件の心不全が発生
※20未満は欠乏、20ー30が不足
血清25(OH)ビタミンD値が高いほど
心不全リスクが少なかった。
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血清25(OH)ビタミンD値
30ng/mL以上が正常範囲。
日本女性のほぼ全員が
30ng/mL未満と言われています。
私は患者さんに
サバ缶、シャケを皮ごと、オイルサーディンを
意識して食べるように指導すると同時に
薬を処方します。
羊毛由来のビタミンDサプリもありますが、
売りたいために、
α-リノレン酸(多くは亜麻仁油)を付加したり
他のビタミンを足しているものが多く、
羊毛由来だけのサプリがないので
安心して勧められません。
魚油とα-リノレン酸は
高温で処理すると
からだを酸化させる
極めて危険な油に化けます。
サプリの原材料の産地
製造過程はわかりませんし、
薬と違って、人体に投与した後の
長期におよぶ有害事象を届出
する必要はありません。
茶のしずく石鹸や紅麹サプリ
のように数年経ってから
健康被害が出てから有害性、危険性が
また、健康効果が実証されず
個人の感想しか出てこないのが現状です。
【引用文献】
1)Pilz et al. Rationale and Plan for Vitamin D Food Fortification: A Review and Guidance Paper. Front. Endocrinol., 17 July 2018 | https://doi.org/10.3389/fendo.2018.00373.
2)Chen X, et al. Am J Clin Nutr. 2024 Jul 23. [Epub ahead of print]
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