ビタミンDは実はホルモンです

 

ビタミンDは、

100年近く前に発見されました。

 

長く、微量で体の物質代謝を正常にし、

生命の維持や成長に必要な有機物で、

食物から取り入れられる、

 

つまりビタミンの一つと考えられていました。

 

 

1975年に、

ヒトのからだのなかで合成され、

ビタミンD受容体が細胞の核内に存在し、

 

構造もステロイドホルモンの一種

であることが確定しました。

 

 

ですから、ビタミンDは

ビタミンという名前がついてはいますが、

 

実は、女性ホルモンや男性ホルモンと同じ

ステロイドホルモンです。

 

 

 

 

私たち陸上動物はビタミンD

を使って血中カルシウムを維持


ヒトを含め脊椎動物の

血中のカルシウム濃度は

厳密に一定に保たれています。

 

 

骨の代謝だけでなく、

血液凝固、細胞膜の興奮などに

カルシウムが必須だからです。

 

 

 

進化の過程で、海から上陸した際に、

体液を海水のカルシウムの濃度と

同じに維持するために、

 

「骨」

 

という場所を

カルシウムの貯蔵場所にし、

 

ビタミンDと

上皮小体(副甲状腺)ホルモン

による調節系を作り上げました。

 

 

血中のカルシウム濃度を

この2つのホルモンの働きで調節します。

 

 

 

ビタミンDはどのように合成されるのか


肝臓がコレステロールを合成しています。

 

食事で摂取している

3〜5倍の量を肝臓で合成しています。

 

それを抹消組織に運んでいる形態が

LDLコレステロールです。

 

 

悪玉ではありません。

 

 

 

皮膚に運ばれてきたコレステロールから

紫外線でビタミンD

(厳密にはビタミンD3)

が作られます。

 

 

ビタミンDは日光の充分な地方では、

十分な量が体内で合成されますが、

 

日光の乏しい地方では

経口摂取が必要となります。

 

 

 

 

皮膚から血中に入ったビタミンDは、

まず肝臓で貯蔵型ビタミンD

(25(OH)ビタミンD3)

になり、

 

次に腎臓で活性型ビタミンDになります。

(1,25(OH)ビタミンD3)

 

 

 

ビタミンDは体内でどのように作用するのか


活性型のビタミンDは

腸でのカルシウムとリンの吸収を高めます。

 

また骨からカルシウムとリンを遊離させます。

 

 

ビタミンDはステロイドホルモンで、

 

卵巣ホルモン、精巣ホルモン、

ストレス緩和ホルモンである

副腎皮質ホルモン

(糖質コルチコイド)

などと同様に、

 

細胞の核内にある受容体に結合して

特定の遺伝子の発現を制御します。

 

 

活性型ビタミンDは、

ヒトのもつ2万個以上の遺伝子のうち、

少なくとも200以上の発現を増加させる

ことが知られるようになりました。

 

 

ビタミンD欠乏症


2000年代になってから、たくさんの研究が進み、

ビタミンD欠乏症は、

骨粗しょう症、筋力低下、骨関節炎などだけではなく、

躁うつ病や認知症、

免疫力低下や老化発がんにも

関わっていることがわかってきました。

 

 

ビタミンDが多く含まれている食材

 

身だと鮭、

魚の皮と皮の下の脂に一番多く含まれています。

 

 

ビタミンDだけではなく、

EPA、DHAが豊富に入っています。

 

α-リノレン酸を摂取しても

体内では

10〜15%しかEPA、DHAに変換されません。

 

 

 

私はサバ缶やイワシ缶、サケ缶を勧めています。

 

皮・骨ごと入っているサバ缶、サケ缶

オイルサーディンをお勧めしています。

 

 

 

ビタミンD摂取はホルモン補充療法


皮膚に運ばれてきたコレステロールが

羊では皮脂腺から分泌されていて

紫外線によって、ビタミンD3に変化します。

 

羊は毛をなめることで

ビタミンDを摂取しています。

 

 

刈った羊毛に紫外線を照射して

洗い流したビタミンDを製剤化したものが

アメリカやオーストラリアから

購入できるサプリメントです。

 

 

 

しかし、単独で販売されずに

付加価値をつけるためか

くっつけなくても良いものを

混ぜて販売しているケースが多いので

あまり勧められません。

 

 

代表的なものは

α-リノレン酸

アマニ油やエゴマ油です。

 

精製の過程で加熱されてしまうと

有害な油に変わってしまいます。

 

魚油もそうです。

 

 

 

保健収載されている

お薬は信用できるわけですが、

 

健康食品やサプリとして

売られているものの製造過程も

長期間摂取したときの

副作用も明らかにされていません。

 

 

 

骨粗しょう症予防、感染、老化

 

DXAという機械で

背骨と大腿骨の付け根の

骨密度を測定することで

骨粗しょう症を診断します。

 

その予防は

ひとえにビタミンD、カルシウムの摂取、

タンパク質をじかに食べ物から

摂取することに尽きます。

 

 

 

国民皆保険制度を有効利用するために

かかりつけ医をそうそうに

見つけてください。

 

 

 

サプリメントより

健康被害のない

お薬を手頃な値段で手に入れた方が

賢いと思います。

 

 

【引用文献】

田中冨久子のホルモン学講座

第11回:ビタミンDは実はホルモンです

https://www.tanakafukuko-clinic.jp/study/study11.html