【8892】日本エスコン/進行期は期末偏重型、新中計でも営業益CAGR10%程度を目指す。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8892】日本エスコン(東証プライム)   BY

現在値 1,046円/100株  P/E 9.99  P/B 1.43 3月配当 9月株主優待 

京阪神を中心に分譲マンションを展開。09年に事業再生ADRを終結。
配当金は3月末一括の48円の配当で、配当利回りは4.59%となります。

日本エスコンは株主優待制度を導入しており、10単元以上を1年以上保有する6月末株主に対して、1,000円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当と合計した配当優待利回りは約4.68%となります。また2年以上の継続保有で進呈額が3,000円となる長期優遇制度も導入しており、その場合の同利回りは約4.87%となります(いずれも10単元保有時)。

業績を確認していきます。

■2021年12月期 売上高 790億円、経常利益 91億円 EPS 67.4円 

■2022年12月期 売上高 994億円、経常利益 140億円 EPS 76.0円

■2024年3月期変 売上高 1,186億円、経常利益 165億円 EPS 105.4円

■2025年3月期 売上高 1,180億円、経常利益 150億円 EPS 104.7円 ce

□2024年6月1Q 売上高 190億円、経常利益 28.0億円 EPS 19.0円(7/26) 

□2024年9月2Q 売上高 300億円、経常利益 21.0億円 EPS 14.6円 ce

 

2024年3月期(15ヶ月変則決算)の売上高はYoY+192億円の479億円、経常利益はYoY+25億円の165億円となり、修正予算を上回る水準で着地しました。主力の分譲事業は北広島(全118戸)、大橋(全140戸)、本川越(全102戸)、高槻(全81戸)、伏見桃山(全73戸)などYoY+31戸の全1,216戸を引渡しました。大型案件が剥落した非分譲についても、岐阜羽島物流・吹田老健用地等の売却で増益となったほか、賃貸事業も商業施設のリーシングが好転したほか、期中買収した四条大宮ビル(※後述)の上乗せが寄与しました。

 

12ヵ月決算に復帰する2025年3月期の予算については、売上高がYoY▲6億円の1,180億円&経常利益▲15億円の150億円を見込んでおり、補正ベースでは増収増益となります。柱の分譲事業は、千里藤白台(全244戸)北広島(全197戸)、札幌大通り(全80戸)などYoY+2.8%の1,250戸程を引渡す計画です。他方、非分譲については好採算案件が剥落するものの、四条大宮ビルが通期貢献する賃貸事業は堅調に推移します。7月26日公表の1Qは売上高190億円&経常益28.4億円で推移しており、計画どおりの期末偏重型となる見通しです。


当社は2020年の中部電力への三割増資で204億円の追加出資を受け、連結子会社(50.3%)成りしています。また、中電被連結時点で公表された中計目標は、決算期変更等で途中増額した経緯があるものの、終わった期の目標額である営業益180億円は10億円程の過達となって終了しています。また、今般公表された新中計については、最終年度である2027年3月期に売上高を1,188億円→1,570億円に、営業益を190億円→220億円(実質CAGR10%程度)に引き上げる計画としています。

 

取組事項は、①年間1,200戸の安定供給体制確立、②投資循環型モデル強化、③ストック収益割合引き上げ、④海外事業強化等となっています。①については既に今次中計期間の用地仕入を概ね完了しているものの、素地や原材料価格が高騰しているため、今後は戸数を追わずに厳選仕入・厳選供給とする方針です。②は傘下REITから老朽化物件、訳アリ物件を再取得し、再開発やリノベによる循環を推進しており、実際本年6月には傘下REITから、ヨシズヤYストア西春・TSUTAYA堺南底地・ライフ大仙店底地等の買い戻しを行っています。

 

③は現行27.6%の賃貸事業比率を30%程度まで引き上げる方針としており、今次中計期間においては収益物件開発に1,000億円、稼働中物件取得に650億円を投じます(分譲開発を含めた期間中の総投資額は2,500億円)。②で循環型を志向するほか、資産効率に基づく入替を推進するだけでなく、賃貸マンション“TOPAZ”シリーズを拡大させるほか、傘下REIT・私募ファンドへの拠出を通じて関与資産とAM報酬報酬の積み上げを志向します。

 

財務面については、中電被連結化による信用力強化等もあり、JCR「A+」・R&I「A」を獲得していることから、本年7月に無担保社債で74億円(1.488%)を調達するなどしており、自己資本比率は17.3%まで悪化しています。株主還元に関しては、今次中計で「減配しない」累進的配当政策としており、進行期は決算期修正により年48円配当(配当性向45.8%)を見込んでいます。
 

*参考記事①  2023-11-23  897円 BY

【8892】日本エスコン/京都の賃貸大手・四条大宮ビルを買収、ストック賃貸収入が着実増。

 

*参考記事②  2023-05-13 876円 BY

【8892】日本エスコン/REIT業務改善命令も、好調な分譲事業の牽引で中計は無事達成圏。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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