【2980】SREホールディングス(東証プライム) OP
現在値 4,530円/100株 P/E 39.3 P/B 5.19 3月無配 株主優待なし
グループ内に不動産など実業を内包し、その取引データを活用してAIアルゴを開発。
配当基準日は3月末ながら無配予想となっています。
業績を確認します。
■2022年3月期 売上高 135.7億円、営業利益 13.9億円 EPS 57.4円
■2023年3月期 売上高 185.4億円、営業利益 16.8億円 EPS 71.1円
■2024年3月期 売上高 242.1億円、営業利益 22.1億円 EPS 85.8円
■2025年3月期 売上高 270.0億円、営業利益 30.5億円 EPS 114.5円 ce
□2024年6月1Q 売上高 50.6億円、営業利益 8.5億円 EPS 30.9円(8/6)
□2024年9月2Q 売上高 99.0億円、営業利益 10.0億円 EPS 42.9円 四e
2024年3月期の売上収益はYoY+30.6%の242.1億円、営業利益はYoY+31.2%の22.1
億円で着地し、期初予想を大幅に上振れました。AIクラウド&コンサル(AICC)事業のうち、CSセグの課金仲介事業者数が3,054社→4,045社に拡大したほか、ヘルスケア/IT領域の伸長と値上げ効果でARRはYoY+50%の42.8億円に急成長したほか、A&Tセグも既存顧客のアップセルでYoY+45%の増益となりました。生活不動産事業についても、傘下のAM会社で大型案件の受託があり、AUMが648億円まで拡大しました。
進行期である2025年3月期の予算については、売上高はYoY+11.5%の2,700億円、営業利益はYoY+37.9%の30.5億円を予想しています。AICC事業の生活健康(LH)セグの拡販を推進し、新規増に伴う顧客ミックスの悪化(ARPU550千円/月)を見込むものの、課金契約者数を360社に倍増させる計画であり、ARRはYoY+45%の62.0億円を見込みます。なお、8月6日開示済の1Qは売上高50.6億円&営業益8.5億円で進捗しており、特に生活不動産事業のAUM拡大が寄与しています。
当社は特に中計等を公表していないものの、会社側開示資料によれば2028年3月期に進行期の倍程度の利益水準を目指しているものと解され、向こう3年は年率3割程度の利益成長が継目されます。源流がソニー不動産のため、生活不動産事業に利益の大半を依存していたものの、既にAICC事業の利益が逆転しています。不動産向けAIプロダクト(査定・営業・重説ほか)は、値上げ後も解約率が改善(0.7%→0.4%)しており、既に40億円を超えるARRの堅牢度は極めて高いレベルが維持出来ています。
そしてこの不動産で培った堅牢度の高いAIモジュールをIT/ヘルスケア業界(TAM3兆円)、金融業界(TAM3.9兆円)といったより市場の大きい業界への横展開を急速に推進しています。各業界でのプロダクト拡充のため、本年4月に約2,200院の顧客基盤を持つクリニック向けレセプト業務支援のメディックスを28億円で買収したほか、霞ヶ関キャピタルとは冷凍保管倉庫の庫内管理システム(WHM)で提携、双日・ロイヤルHDとは飲食店開業プラットフォームを開発し、既にローンチしています。
生活不動産事業については、傘下のAM会社が2022年にAUM400億円の私募ファンドを組成しており、早期に1,000億円を目指す計画です。この1Qで大型物件であるダブルツリーbyヒルトン東京有明を新規受託しており、年度末までにAUMは実績648億円から1,100億円まで大きく膨れ上がる見通しです。これにより、AICC事業のARR同様にAM事業のAUMがストック収益として手厚く下支えするため、高成長と安定成長が両立する構図となります。
財務状況については、2022年のZHDの株式売り出しに合わせて、公募増資で約14億円(@2,473円)を調達しています。依然としてオンバランスの生活不動産事業のウエイトが大きいため借入金が少なくないものの、自己資本比率は50%強と盤石な水準を維持しています。そのため、既に配当開始可能な水準にあるものの、会社側では当面の無配をガイドしているため、株主還元は株価低迷時の散発的な自社株買い程度に留まるものとみられます。
*参考記事① 2023-10-03 2,980円 BY
【2980】SREホールディングス/ZHDと提携解消も、ARRは年率6割超の高成長が継続。
*参考記事② 2022-09-12 3,335円 OP
【2980】SREホールディングス/ソニー不動産が源流、クラウドARRは当面高成長が続こう。
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