【2980】SREホールディングス/ソニー不動産が源流、クラウドARRは当面高成長が続こう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2980】SREホールディングス(東証プライム) OP

現在値 3,335円/100株 P/E 57.7 P/B 5.44  3月配当 株主優待なし

不動産仲介と取引データを分析したAIアルゴリズム機能の提供が柱。

配当基準日は3月末ですが配当実績はなく、無配予想となっています。


業績を確認します。 

■2020年3月期 売上高 38.5億円、営業利益 7.4億円 EPS 33.5円 

■2021年3月期 売上高 73.3億円、営業利益 10.5億円 EPS 43.8円

■2022年3月期 売上高 135.7億円、営業利益 13.9億円 EPS 57.3円 

■2023年3月期 売上高 163.0億円、営業利益 16.5億円 EPS 58.3円 ce

□2022年6月1Q 売上高 29.2億円、営業利益 2.3億円 EPS 4.1円(7/29)

□2022年9月2Q 売上高 40.0億円、営業利益 4.0億円 EPS 15.5円 ce

2022年3月期の売上高はYoY+84.9%の135.7億円、営業利益はYoY+31.7%の13.9億円となり、期初予想を上回って着地しました。AI_C&C事業は、セールス体制の強化の奏功や不動産業界におけるDX潮流の進展により、仲介事業者の課金契約者数が1,026件→1,971件に大幅増となり、クラウドARRは8.4億円→16.7億円へ倍増したほか、解約率も0.5%と非常に低位に留まりました。他方、不動産事業については、自社開発の駒込一丁目レジ等の売却も寄与し、想定超の値幅が出たものとみられます。

 

進行期である2023年3月期の予算については、売上高がYoY+20.1%の163.0億円、営業利益YoY+18.5%の16.5億円を予想しています。AI_C&C事業は、協力業者を含めた営業体制拡充効果の発現が続いているため、課金契約者数をYoY+1,029件の3,000件まで積み上げ、クラウドARRは7割成長となる28.5億円を目指します。不動産事業は3月に竣工した自社開発の西浅草レジを1Qで売却しているものの下期偏重計画であり、AM事業開始に伴う1億円の先行投資費用を飲み込んで増益を予想しています。

 

当社は中計等非公表ながらも、クラウドのARRは当面CAGR50%成長を志向しているものの、年5棟程度を販売する不動産事業はヒトケタ成長とみられるため、向こう数年の全社CAGRは20%程度が目されます。AI_C&C事業におけるクラウド提供商品4分野(査定・営業・契約重説・査定API)の推計SAMは1,000~2,000億円とされ、宅建業者の1割にあたる1.2万社への普及を前提に、ARRで100億円分の獲得を目指す計画です。特に本年5月の法改正により売契・重説ともに電子交付可能となったので、宅建業者のデジタル化が進展しやすい状況にあり、足許CAGRは70%と非常に高いモメンタムを確保しています。

 

当社は元ソニー不動産であり、ソニーが依然として発行済株式数の4割弱を保有しているものの、2015年から第2位株主となって「おうちダイレクト」という不動産のセルフ売却サービスの運営を共同で手掛けていたZHD(Yahoo!)については、本年3月に持分の殆どに当たる18%(約3百万株)を放出して、当社との業務提携を終了させています。ZHDの株式放出はグローバル(北米除きReg.S)で行われ、当初想定を上回る半分を海外配分するとともに、同時に実施した公募増資で8億円程度を追加的に調達しています。

 

今後の展開としては、当面はAIよりクラウドにシフトする方針であり、まずは宅建業者のパイを押さえてスケール化と取引実績データの収集を進め、その後にAI活用による付加価値の高いコンサルを本格展開する意図と解されます。また、汎用性の高いAIモジュールの開発により、不動産だけでなく周辺の物流・銀行・証券・保険等分野への展開も志向しており、その“横展開”の可視性が上がった場合は、当社株も別途プレミアム評価が可能になるものと考えています。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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