【2980】SREホールディングス/ZHDと提携解消も、ARRは年率6割超の高成長が継続。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2980】SREホールディングス(東証プライム) BY

現在値 2,980円/100株 P/E 33.3 P/B 4.28  3月無配 株主優待なし

グループ内に不動産など実業を内包し、その取引データを活用してAIアルゴを開発。

配当基準日は3月末ながら無配予想となっています。


業績を確認します。 

■2021年3月期 売上高 73.3億円、営業利益 10.5億円 EPS 43.8円

■2022年3月期 売上高 135.7億円、営業利益 13.9億円 EPS 57.4円 

■2023年3月期 売上高 185.4億円、営業利益 16.8億円 EPS 71.1円 

■2024年3月期 売上高 223.0億円、営業利益 21.5億円 EPS 88.4円 ce

□2023年6月1Q 売上高 42.9億円、営業利益 2.0億円 EPS 8.2円(7/31)

□2023年9月2Q 売上高 66.0億円、営業利益 6.5億円 EPS 26.6円 四e

2023年3月期の売上収益はYoY+36.6%の185.4億円、営業利益はYoY+21.1%の16.8 

億円で着地し、期初予想を上振れました。AIクラウド&コンサル(AICC)事業のうち、CSセグの課金仲介事業者数が1,971社→3,054社に拡大したほか、値上げ効果でARRはYoY+69%の18.9億円に急成長したほか、産業横断のA&Tセグも案件数増加でYoY+26%の11.2億円となりました。他方、不動産テック事業も傘下のAM会社が稼働開始し、期末にファンド拠出を行って物件売却が進みました。

 

進行期である2024年3月期の予算については、売上高YoY+20.3%の223.0億円、営業利益YoY+27.5%の21.5億円を予想しています。AICC事業のCSセグについては、機能拡充による課金仲介事業者数の拡大や値上げの通期効果により、ARRはYoY+69%の32.0億円と高成長が持続するほか、A&Tセグも新規案件数の増加(53件→60件)を見込みます。なお、7月31日開示された1Qについては、売上高42.9億円&営業益2.0億円と人材採用先行による経費先行がみられるものの、計画線推移が確認されます。

 

当社は2014年にソニー不動産(SRE)として誕生し、エージェント制による不動産売買の“片手仲介”や、「おうちダイレクト」という個人向け売買PF、仲介業者向けの物件査定や契約書作成ツールのSaaSの提供の3本柱で事業拡大を進めてきました。その後、第2位の大株主であるヤフー(ZHD)の「Yahoo!不動産」からの送客シナジーも活用して成長してきましたが、ZHDとは昨年3月に資本提携を解消し、同社は持分の殆どである20%程の当社株を売出しています。

 

特に中計等は開示していないものの、軸足を不動産テック事業からAICC事業(CS/A&T)に移行しているものの、内製化されている不動産の実業から得た知見をSaaSプロダクトやAIソリューションの開発・改良に活かす特異なモデルで高成長を維持しています。特に不動産業界向けで広く活用が進んでいるクラウド型のAI査定プロダクトが、値上げ後も低解約率(0.5%→0.7%)を維持しているため、目下28億円のクラウドARRの堅牢度は非常に高いものと解されます。

 

また、汎用化可能なAIモジュールを不動産業界(TAM1.2兆円)だけでなく、今後はIT/ヘルスケア業界(TAM3兆円)、金融業界(TAM3.9兆円)へ横展開し、売上拡大だけでなく一段の好採算化を見込みます。このほか、自前の事業である不動産テック領域では、傘下のAM会社が本年3月にAUM400億円の私募ファンドを組成しており、早期に1,000億円を目指すこととしています。このファンド拠出の活用により、採用等で投資が継続するAI・クラウド事業の業績を中長期的に補完していことが期待されます。

 

財務状況については、上述の2022年3月のZHDの株式売り出しに合わせて、公募増資で約14億円(@2,473円)を調達しています。そのため、依然としてオンバランスの不動産事業のウエイトが大きいものの、ネット無借金で自己資本比率は45%程となっており、既に配当も開始可能な水準にあるものと解されます。

 

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