【2664】カワチ薬品/累進配当導入&年80円配に切り上げ、DgS業界再編に備え時価総額確保か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2664】カワチ薬品(東証プライム) OP

現在値 2,723円/100株  P/E 10.6 P/B 0.55  3月配当 株主優待あり 

栃木・北関東が地盤のドラッグ。売り場面積1,300㎡以上の超大型店が特徴。
配当金は3月末一括の年80円のため、配当利回りは約2.94%となります。

 

カワチ薬品は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、自社商品券5,000円分を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.77%となります。

業績を確認していきます。2023年3月期より新収益認識基準に移行しています。

■2022年3月期 売上高 2,794億円、営業利益 77.0億円 EPS 216円 

■2023年3月期 売上高 2,818億円、営業利益 66.1億円 EPS 187円 新収益

■2024年3月期 売上高 2,859億円、営業利益 76.0億円 EPS 211円 

■2025年3月期 売上高 2,920億円、営業利益 80.0億円 EPS 255円 ce
□2024年6月1Q 売上高 713億円、営業利益 16.0億円 EPS 52.8円(7/26) 

□2024年9月2Q 売上高 1,490億円、営業利益 45.0億円 EPS 143.2円 ce

2024年3月期は売上高はYoY+1.5%の2,859億円、営業利益は同+15.0%の76.0億円となり、対前・対予算で増益となりました。新型肺炎禍の衛生消耗品特需が剥落したほか、インフレによる節約志向が影響したものの、客単価の上昇等もあり既存店売上高(SSS)は100.4%と横ばい圏を確保しました。他方で利益面については、新物流施設の稼働による効率化や光熱費の高騰一服で計画超となり、約2億円の決算賞与で潰して増益となりました。なお、出退店については、出店13・退店2の純増11となり、期末の店舗数は375店となりました。

 

進行期である2025年3月期の予算については、売上高はYoY+2.1%の2,920億円、営業利益は同+5.2%の80.0億円と増収増益を予想しています。既存店は生活防衛意識の高まりやガソリン価格の高止まりから事業環境が芳しくないものの、外出需要の回復に対応した化粧品の取扱強化やヘルスケア系商材の拡充を図ります。8月分までの5ヶ月分が開示済のSSSは100.8%と前年超で推移しており、7月26日に開示済の1Qは売上高713億円&営業益16.0億円とまずまずの進捗となっています。

 

当社は終わった2024年3月期を最終年度とする3年中計で、売上高3,000億円とROE6.0%を目標としていましたが、終期を2026年3月期に2年先送りした上で、ROE目標を5.0%(実績ROE4.3%)に減額ロールしています。今次中計の取組事項は、①出店強化、②物流&システム改革、③DX推進の3点を挙げています。①の出店については店舗数400店をKPIとし、地盤の北関東を中心としたドミナント出店を強化するほか、既存店も調剤薬局の併設率の向上により(目標40%+)、“買い回り”の取込を強化します。

 

②は物流システム刷新を契機に、POSの改良や自動発注、AI活用による稼働計画の精度向上、間接部門の効率化を推進しています。昨年、従来比2倍の対応能力を有する新物流センター(7.5千坪弱)を栃木県野木町に開設しており、モダン化による生産性向上だけでなく、中長期の出店増に耐えうるDC能力を拡充しています。③のDX推進は、省力化した新型POSレジの導入や、ポイントカードを軸とした会員アプリをリリースしており、顧客エンゲージメントを強化しています。

 

財務状況については、実質無借金経営でネット200億円程の現金同等物を丸抱えしており、自己資本比率は56.7%と高水準を維持しています。他方、株主還元については長らく年50円配当を据え置いていたものの、本年4月に累進配当政策を導入するともに、年80円(配当性向31.3%)まで配当水準を一気に切り上げています。これはツルハHDとウエルシアHDの統合を契機としたDgS業界大再編に備えた時価総額確保の対応とも解され、株主還元施策もこれまでと一変させる可能性があるものと考えられます。

 

*参考記事① 2023-10-14 2,493円 OP

【2664】カワチ薬品/物流センター拡充で出店能力は強化も、ドミナント圏の消費意欲は低調。

 

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