【8015】豊田通商/トヨタの不正認証問題やアフリカ減速気味が気掛かりだが、業績は概ね順調。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8015】豊田通商(東証プライム) OP

現在値   2,521円/100株  P/E 7.6 P/B 1.03  3月配当 9月配当 株主優待なし

トヨタ系の総合商社。06年にトーメン合併。自動車事業で営業利益の7割を稼ぐ。


今期予想配当金は年2回・合計100円のため、配当利回りは約3.97%となります。

豊田通商は株主優待制度を導入していません。

業績を確認していきます。IFRSとなります。

■2022年3月期 営業収益 80,280億円、最終利益 2,222億円 EPS 209円

■2023年3月期 営業収益 98,485億円、最終利益 2,841億円 EPS 269円 

■2024年3月期 営業収益 101,889億円、最終利益 3,314億円 EPS 316円 

■2025年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 3,500億円 EPS 331円ce 

□2024年6月1Q 営業収益 25,414億円、最終利益 958億円 EPS 90.7円(7/31)

□2024年9月2Q 営業収益 53,000億円、最終利益 1,850億円 EPS 175円 四e

 

2024年3月期の営業収益はYoY+3.5%の10兆1,889億円、最終利益はYoY+16.6%の3,314億円となり、中間時点の増額見通し並みの水準で着地しました。金属事業こそリチウム、アルミ等の市況軟化で減益となったものの、欧州販売数量増の自動車事業が増益となったほか、尻すぼみ気味だったアフリカ事業(の自動車販売)も西アフリカ域の好調で大幅増益を確保しました。このほかグローバル部品事業、エレキ事業も増益となり、期末の減損計上を軽く飲み込んでいます。

 

進行期である2025年3月期の予算については、最終利益がYoY+5.6%の3,500億円を予想しており、予算諸元の為替前提は145円/$、155円/€と実績横引きしています。カテゴリー変更のため実態がやや見えにくいものの、リチウム市況の改善が見込まれる金属事業の浮上が見込まれる一方、自動車関連(自動車事業、アフリカ事業、グローバル部品事業他)はトヨタの不正認証問題もあって横ばい圏とみられます。7月31日開示済の1Q最終益は958億円と順調に進捗しているものの、アフリカが減速気味となっています。

 

当社はローリング方式で3年中計を公表しており、終わった期を計画終期とするタームの中計については、設定した全7項目ともに大きく上振れして着地しています。今次策定の2027年3月期までの新3年中計については、最終利益4,000億円(実績:3,314億円)、ネットD/E1.0倍以内(実績0.48倍)、3ヵ年累計営業CF13,000億円を目指す計画です。重点戦略分野としては、①重点分野投資、②2030年CN目標達成、③人的資本経営確立、④安全&Co.強化、4点を挙げています。

 

①の投資額は向こう3年で1兆円を想定しており、注力分野の再エネ・エネマネ分野については、2022年に完全子会社化した再エネ最大手・ユーラスエナジーや旧ソフトバンク系のSBエナジーを核に、陸上風力や太陽光のパイプラインが積み上がっており、旧中計期間に投資した道北の風力発電は既に収益化が始まっています。

 

➁のCNについては、豪資源大手のオロコブレと合弁でリチウム開発を進めており、車載向けの北米電池工場は2025年に商用生産開始を予定しています。リチウム電池を通じたトヨタのEV普及でCNを推進するだけでなく、生産に利用する物流機器についてもEV化やバイオディーゼル燃料導入を図り、生産施設に関しても再エネ・蓄電池の利用を推進します。なお、この2025年3月期までに石油・重油発電事業から完全撤退する方針です。

 

株主還元については、昨年「配当性向30%以上+機動的な自社株買い」に改めており、此方は現中計期間より手前の2026年3月期までに達成することとしています。かような方針から、年7円増配の年100円配当(配当性向30.2%)を見込んでいます。

 

*参考記事① 2023-09-27 3,027円(分割遡及修正済) NT

【8015】豊田通商/1Qで通期見通し増額も依然強含み、見劣りする株主還元の強化が論点。

 

*参考記事② 2023-02-01 1,820円(分割遡及修正済) OP

【8015】豊田通商/東電からのユーラス買収は中長期で大きな一手、リチウムも伸長。

 

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