【8233】髙島屋/新中計での営業益目標は575億円、訪日客一段増で1Qからはや通期増額。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8233】髙島屋(東証プライム)  OP


現在値 2,949円  P/E 12.2  P/B 1.00  2月配当優待 8月配当優待

東京、大阪など全国展開する老舗百貨店。シンガポールSC店と東神開発寄与大。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計40円で、配当利回りは1.36%となります。

髙島屋は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末・8月末の株主に対して、10%割引優待カードを進呈しております。このカードの持参により、有料催事が3人まで無料となるため、仮に入場料1,000円の催事に、2人で年1回行った場合を想定した場合における配当優待利回りは、およそ約2.03%となります。

業績を確認していきます。

■2022年2月期 売上高 7,611億円、営業利益 41億円 EPS 32円 

■2023年2月期 売上高 4,434億円、営業利益 325億円 EPS 169円 

■2024年2月期 売上高 4,661億円、営業利益 453億円 EPS 200円

■2025年2月期 売上高 5,114億円、営業利益 550億円 EPS 163円 ce修正(6/28)

□2024年5月1Q 売上高 1,201億円、営業利益 172億円 EPS 81円(6/28)  

□2024年8月2Q 売上高 2,549億円、営業利益 277億円 EPS 112円 ce修正(6/28)

2024年2月期は売上高はYoY+5.1%の4,661億円、営業利益はYoY+41.3%の459億円となり、3Qの通期再増額見通し並みの着地となりました。国内百貨店売上高は、法人の一過性大口剥落や暖冬影響を受けたものの、アパレル需要回復や訪日客売上の好調で軽く打ち返し、新型肺炎禍前をも上回る水準を確保しました。また、高額品伸長によるミックス改善や正価品割合増で利幅が改善し、人件費等の増加を飲み込んで利益も一段増となりました。傘下・東神開発のSCの受取賃料も上伸したほか、海外事業も家賃減免明けの上海を除き、旗艦のSG、ベトナム、サイアムが収増益となりました。


進行期である2025年2月期の通期見通しは1Q時点で早くも増額しており、売上高はYoY+9.7%の5,114億円(期予:4,970億円)、営業利益はYoY+19.7%の550億円(期予:500億円)に修正しています。足許の訪日客の急激な戻りを織り込み、訪日客売上を850億円→1,250億円に引き上げたほか、国内客売上も増額する一方、ラグジュアリー構成比増により、利益改善はやや抑制的な見立てをしています。海外については、SGで中国元安の影響を受けるほか、上海の景気低迷、サイアムの工事影響を反映して減額しています。


当社はこのたび新3年中計を公表しており、最終年度の2027年2月期を目途に営業利益を459億円→575億円に引き上げる目標としています。終わった前中計期間で構造改革が大きく進展(販管費率25.1%→21.1%、経費▲100億円/年)したことから、更なる経費改善は見込みにくいものの、取組事項としては①まちづくり戦略とブランド価値向上(従来事業)、②ESG経営、③人的資本経営の3軸を挙げているものの、海外事業(特にベトナム)の拡大と訪日客増といった“追い風”要因による本業拡大が基本シナリオと解されます。

 

投資額については2,200億円を予定しており、国内外の商業開発に890億円、百貨店に310億円、金融その他に270億円、人的資本投資に120億円を投じます。本業の百貨店については、自主編集売り場の改装のほか、資料館や美術スペースの拡充により、プロパー販売割合増や実店舗魅力度向上による次世代の来店促進を目指します。人的投資については、処遇改善のほか教育・育成、バックヤード改善、休業日設定等にリソースを割く方針です。

 

東神開発を中心とした不動産開発事業については、国内では次世代型SCの開発・転換を推進するほか、バリューアップ前提の不動産取得、事業エリアの拡大にくわえ、成功事例である流山に続く地域連携事業の発掘を狙います。海外事業については、ハノイ北西に位置する都市開発PJ「スターレイク」でA・B地区の土地所有権と学校運営事業持分(25%)を保有しているほか、後継PJと合わせて今次中計期間で延べ510億円を投じ、配当金と営業益で倍増の44億円を見込みます。

 

財務状況については、2018年に発行した600億円のユーロCBが全て負債で認識されているものの、行使価格の@2,177円(一部行使不可)を上回ってきているため行使可能な水準にあり、目下の自己資本比率(35.7%)を考慮すれば耐えられる見通しです。他方で株主還元は配当は3円増配の年40円配を予定しており、2割以下の配当性向には不足感が感じられるものの、このユーロCBの存在と不動産投資余力温存のためという見方が出来そうです。


*参考記事①  2024-01-12  1,997円 OP

【8233】髙島屋/訪日客好調で3Qでも再増額、PBR1.0倍志向で株主還元の再拡充もあろう。

 

*参考記事② 2023-07-07  2,007円 NT

【8233】髙島屋/インバウンド回復も効き業績回復は想定超、会社側はPBR1.0倍回復を志向。

 

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