【9251】AB&Company/高水準の出店進むが、インボイスによる仕入税額控除影響は痛い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9251】AB&Company(東証グロース) OP

現在値 907円/100株  P/E 10.8  P/B 1.69  10月配当・株主優待

美容室「Agu.」運営。FC柱で内装工事も展開。スタイリストと業務委託契約。
配当金は10月末の年1回28円7銭配当のため、配当利回りは約3.09%となります。

 

AB&Companyは株主優待制度を導入しており、10月に単元株以上を保有する株主に対し、シャンプーやコンディショナー等の自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約11.97%となります。

業績を確認していきます。  

■2021年10月期 売上高 109.1億円、営業利益 15.1億円 EPS 63.9円

■2022年10月期 売上高 125.9億円、営業利益 13.6億円 EPS 56.1円

■2023年10月期 売上高 167.9億円、営業利益 18.0億円 EPS 73.5円

■2024年10月期 売上高 182.4億円、営業利益 20.0億円 EPS 80.4円 ce

□2024年1月1Q 売上高 41.9億円、営業利益 3.3億円 EPS 14.7円(3/15) 

□2024年4月2Q 売上高 88.0億円、営業利益 9.6億円 EPS 41.7円 四e

 

2023年10月期の売上高はYoY+33.1%の167.9億円、営業利益はYoY+32.0%の18.0億円となり、概ね計画線ながら3割超の増収増益となりました。新型肺炎禍からの回復で直営店美容師あたり月客数は前提108人→実績109人と計画をやや上振れたほか、施術内容の見直しによる単価の上昇(YoY+4.5%)もあり、美容師への支払報酬料率アップをこなして順調に推移しました。尚、出店については計画135店→実績132店(直営+41/FC+91)となりました。


進行期である2024年10月期の予算については、売上高がYoY+8.6%の182.4億円、営業利益はYoY+10.8%の20.0億円と増収増益を予想しています。予算諸元は出店店舗の郊外化により直営店美容師あたり月客数は減少を見込む一方、客単価にはリピート客割合の増加により微増する前提です。引き続き大量出店を継続する予定であり、FC店を中心に純増140店を純増させる計画です。3月15日に開示済の1Qは売上高41.9億円&営業益3.3億円で進捗しており、期末集中出店による初期立ち上げ負担で、低進捗となっています。

 

当社は今次公表の新中計において、3年後の2026年10月期までに売上高を167.9億円→211.7億円、営業利益18.0億円→26.5億円まで引き上げる計数としています。前提となる店舗数については、前中計で目標としていた950店に近い水準を達成(924店)したほか、引き続き年140店~150店のの出店を継続し、1,360店体制の構築を目指します。

 

取組事項は①出店拡大、②他ブランド展開、③物販拡充等が挙げられています。①は大量出店戦略であり、美容室業界の高齢化(個人事業主9割弱、経営者の半数が60歳以上)が進んでいることから、廃業による残存者利益の獲得のほか、既存FC会社の買収による直営化に取り組みます。②はメンズラインのFADE&LINE、ヘッドマッサージのChill Dry Head SpaといったAgu.と競合しない廉価業態のほか、客単価8~9千円の高級業態(SOYON)も開発しています。

 

③物販については、主力のヘアケア商品だけでなく、ボディーケア商材や美容商材を拡充する方針です。特に足許の出店エリアの郊外化が顕著であり、施術客数と単価が低いことから、物販で穴埋めしていく方針と解されます。なお、当社美容師の多くは個人事業主で占められており、仕入税額控除が満額取れなくなることから、向こう3年間の経過措置期間(80%軽減)は▲1.4億円のインパクトがあるほか、その先の3年間(4~6年先)は▲3.5億円(50%軽減)ともう一段押し下げられます。

 

また当社固有のリスク要因として、2018年より香港の投資会社であるCLSAのサンライズ・キャピタルとの資本提携後に子会社のメガFC等を大量買収しており、85億円の巨額なのれんがB/Sに横たわっているので、業績悪化時には減損留意が必要です。他方、サンライズ残り持分については、昨年15%程度の売り出しを実施したことから、需給悪化リスクは後退しています。

 

財務面については、上述の売り出し時に自社株買いで対応した経緯があるものの、自己資本比率は31.2%となお一定の水準を維持しています。但し、のれん85億円の存在や長短合わせて82億円もの借入金を考慮すると、見えがかりよりも脆弱な状況です。他方で配当については、配当性向30%基準で年28円7銭の据置を見込んでいるものの、株主優待制度の費用負担(60百万円)も重いことから、現水準でも還元過多と解されます。

 

*参考記事① 2023-04-04 1,041円 OP

【9251】AB&Company/正常化で業績回復基調も、CLSAの追加売り出しリスク残る。

 

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