【9251】AB&Company/正常化で業績回復基調も、CLSAの追加売り出しリスク残る。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9251】AB&Company(東証グロース) OP

現在値 1,041円/100株  P/E 15.3  P/B 2.03  10月配当・株主優待

美容室「Agu.」運営。FC柱で内装工事も展開。スタイリストと業務委託契約。
配当金(実績)は10月末の年1回28円7銭配当のため、配当利回りは約2.69%となります。

 

AB&Companyは株主優待制度を導入しており、10月に単元株以上を保有する株主に対し、シャンプーやコンディショナー等の自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約10.38%となります。

業績を確認していきます。  

■2020年10月期 売上高 96.3億円、営業利益 11.0億円 EPS 39.7円 

■2021年10月期 売上高 109.1億円、営業利益 15.1億円 EPS 63.9円

■2022年10月期 売上高 125.9億円、営業利益 13.6億円 EPS 56.1円

■2023年10月期 売上高 167.6億円、営業利益 17.0億円 EPS 67.9円ce

□2023年1月1Q 売上高 38.9億円、営業利益 3.9億円 EPS 16.1円(3/17) 

□2023年4月2Q 売上高 76.0億円、営業利益 6.0億円 EPS 24.5円 四e

 

2022年10月期の売上高はYoY+15.4%の125.9億円、営業利益はYoY▲9.8%の▲13.6億円となり、2Q時点の減額見通し並みを若干上回って着地しました。新型肺炎禍で入客が想定以下だったほか、美容師(及び家族)の感染影響もあり、直営店美容師あたり月客数が前提119人→実績109人に留まったため、既存店の回復が緩慢となりました。尚、出店については純増132店(直営+11/FC+121)と大幅増となりました。


2023年10月期の予算については、売上高がYoY+33.1%の167.6億円、営業利益はYoY+24.7%の17.0億円と増収増益を予想しています。予算諸元は直営店美容師あたり月客数は108人と微減を見込む一方、客単価は同+126円の5,639円と上昇を見込みます。引き続き大量出店を継続する予定であり、FC店を中心に純増135店を出店する計画です。3月17日に開示済の1Qは売上高38.9億円&営業利益6.0億円と順調な進捗が確認されます。

 

当社は2021年11月にマザーズ市場に上場した際の中計において、最終年度である翌2023年10月期までに売上高CAGR14%~16%、営業利益17%~19%、調整後EBITDAは20%~22%をそれぞれ数値目標として掲げた経緯がありますが、新型肺炎禍の影響が大きく昨年末に数値目標を取り下げています。但し、別途KPIとして掲げていた店舗数目標950店については、足許でも高速出店を進めていることから、目標に近い930店弱まで届く公算です。

 

取組事項は①Agu.出店、②CRM戦略、③新業態出店の3軸が挙げられています。①は大量出店戦略であり、TAM自体は2兆円で横ばい状態が続いているものの、個人事業主が9割弱、経営者の半数が60歳以上と高齢化が進んでいることから、各地域の既存FCオーナーによる事業承継や直営化による店舗拡大を図ります。③はメンズラインのFADE&LINE、ヘッドマッサージのChill Dry Head Spaといった主力のAgu.と競合しない新業態を手頃な価格で展開する一方、SOYONという8~9千円の高級業態も開発しています。

 

現状、成長可視性が不透明であるものの、当面の投資論点は現状の店舗数の拡大モメンタムの維持と、これに対応する美容師確保の可否と考えられます。特に当社美容師の大宗は個人事業主で占められており、本年10月から施行されるインボイス制度で手取りが最大で1割弱減少することから、思うように採用が進まない可能性があります。また当社固有のリスク要因として、2018年より香港の投資会社であるCLSAのサンライズ・キャピタルとの資本提携後に子会社のメガFC等を大量買収しており、85億円の巨額なのれんがB/Sに横たわっているので、業績悪化時には減損留意が必要です。また、サンライズ残り持分(35%)の追加売り出しリスクも存在します。

 

財務面については、自己資本比率33.1%と一定の水準を維持しているものの、上記の85億円ののれんの存在や長短合わせて74億円もの借入金を考慮すると、実態は見えがかりよりも脆弱な状況と言えます。他方で配当については、配当性向50%基準により実績28円7銭を配当しており、これ以外にも株主優待制度の費用負担(実績35百万円)もあるため、体力比で過剰な還元姿勢という印象を受けます。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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