【1911】住友林業(東証プライム) OP
現在値 4,187円/100株 P/E 9.20 P/B 1.14 12月配当優待 6月配当
別子銅山の植林事業が源流。木材建材卸、注文住宅、米豪など海外住宅の三本柱。
今期予想配当金は年2回・合計125円のため、配当利回りは約2.99%となります。
住友林業は株主優待を実施しておりません。
業績を確認していきます。
■2020年12月期 売上高 8,398億円、経常利益 512億円 EPS 167.5円 9m変則
■2021年12月期 売上高 1兆3,859億円、経常利益 1,377億円 EPS 457.7円
■2022年12月期 売上高 1兆6,697億円、経常利益 1,949億円 EPS 543.8円
■2023年12月期 売上高 1兆7,260億円、経常利益 1,500億円 EPS 449.5円ce修正
□2023年6月2Q 売上高 8,164億円、経常利益 673億円 EPS 223.1円
□2023年9月3Q 売上高 1兆2,328億円、経常利益 995億円 EPS 315.7円(10/31)
2023年6月中間期の売上高はYoY+4.3%の8,164億円、経常利益はYoY▲28.0%の673億円となり、大幅減益ながらも非公表の予算比で上振れた模様です。主力の海外住宅/不動産は足許受注自体は想定超だったものの、金利上昇によるアフォーダビリティ低下と期初受注減影響で販売戸数はYoY▲7.3%の4,739戸に留まりました。また木材建材も数量と単価下落で減収減益となったものの、国内住宅に関しては値上げと建築コスト上昇一服で増収増益を確保しました。
なお2023年12月期の通期見通しも増額しており、売上高はYoY+3.4%の1兆7,260億円(期予:1兆5,980億円)、経常利益はYoY▲23.1%の1,500億円(期予:1,200億円)に修正しています。海外住宅/不動産は米国金利上昇余波で中古流通量が激減しているほか、小規模戸建事業者の事業停滞もあり、当社受注は既に回復基調入りしています。木材建材は戸数減で低調も、国内住宅は値上げとコスト減で好調継続となります。なお、4月27日開示の1Qは売上高1兆2,328億円&経常利益995億円と修正予想比で低進捗も、4Q期間の物件売却で計画線を確保する見通しです。
進行期は2024年12月期を最終年度とする中計の中間年度であり、向こう3年で売上高を13,859億円→17,700億円、経常利益を548億円→1,730億円(CAGR8.8%)を伸長させる計画です。利益は既に過達状態でしたが、米国の金利本格上昇前の受注残や為替影響による“追い風参考”のため実際の実力値はもっと下となり、現時点での達成はやや難しいものと見ます。尚、より長期の目標として、2023年12月期の経常利益2,500億円(CAGR7.1%)を掲げています。
今次中計期間での取組事項は、①グローバル展開加速、②木材資源での脱炭素化、③収益基盤強化、④経営基盤強化、⑤ESGの5点を挙げています。①は米国・豪州でここ十数年の間に8社の住宅建築会社を買収してきた経緯がありますが、昨年末にはFL州の戸建賃貸業者であるサザン・インプレッション・ホームズ(年商158億円/税前34億円)を112億円で買収したほか、9月にはTX州・CA州の開発業者であるJPIグループを322億円の9割持分を取得しています。
②・⑤は、国内保有分だけで4.8万htaの社有林を有していることから、森林投資ファンドを組成すべく米国で運用会社を設立し、既に600億円の資金拠出を確保しています。2号案件移行は日本や豪州でも展開するほか、2030年を目途にAUM1,000億円を目指す方針であり、出資者にCO2排出量を相殺するカーボンクレジット(排出枠)を付与するなど、ESGを志向した新領域ビジネスの創出に取り組みます。
株主還元方針については、財務改善:投資:株主還元の割合を1:1:1とする方針としており、今次中計期間では安定配当をポリシーとしています。2018年には2023年満期のユーロCBを100億円分刷ったこともあり、目下の自己資本比率は43.0%まで改善していることから、減益ながらも年125円配当を維持します。なお会社側では“余程のことが無い限り減配しない”と累進配当の明文化を匂わせており、現行水準が事実上の配当金のフロアと解されます。
*参考記事① 2023-05-01 2,682円 OP
【1911】住友林業/金利逆風下の米国住宅の実態は意外に力強く、年125円配は維持されよう。
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