【1911】住友林業(東証プライム) OP
現在値 2,682円/100株 P/E 7.43 P/B 0.91 12月配当優待 6月配当
別子銅山の植林事業が源流。木材建材卸、注文住宅、米豪など海外住宅の三本柱。
今期予想配当金は年2回・合計125円のため、配当利回りは約4.37%となります。
住友林業は株主優待を実施しておりません。
業績を確認していきます。
■2020年3月期 売上高 1兆1,040億円、経常利益 588億円 EPS 153.5円
■2020年12月期 売上高 8,398億円、経常利益 512億円 EPS 167.5円 9m変則
■2021年12月期 売上高 1兆3,859億円、経常利益 1,377億円 EPS 457.7円
■2022年12月期 売上高 1兆6,697億円、経常利益 1,949億円 EPS 543.8円
■2023年12月期 売上高 1兆5,980億円、経常利益 1,200億円 EPS 385.3円 ce
□2023年3月1Q 売上高 3,763億円、経常利益 255億円 EPS 72.0円(4/27)
□2023年6月2Q 売上高 7,300億円、経常利益 600億円 EPS 190.2円 四e
2022年12月期の売上高はYoY+20.5%の1兆6,697億円、経常利益はYoY+41.6%の1,949億円となり、対前・対計画で大幅な増収増益となりました。主力の海外住宅/不動産は金利上昇影響で販売戸数はYoY▲986戸の10,244戸に減少したものの、値上げによる単価増でカバーし、5割強の増益となり全社業績を大きく牽引しました。また、木材建材についても、輸入木材・国産材の高値圏推移で増益を確保したものの、他方で国内住宅は“巣ごもり需要”の一巡や、建築コスト上昇で減益となりました。
進行期である2023年12月期の通期予算については、売上高はYoY▲4.3%の1兆5,980億円、経常利益はYoY▲38.5%の1,200億円と減収減益の想定です。海外住宅/不動産は米国金利上昇によるアフォーダビリティ低下で期初受注残がYoY▲4,906戸の6,056戸に急減しており、単価増でカバーしきれない見通しです。他方、木材建材はバイオマス貢献もあり横這い、国内住宅はコスト増一服で増益を見込みます。なお、4月27日開示の1Qは売上高3,763億円&経常利益255億円と減益ながらも、海外の回復が早いため計画超の推移と判断されます。
進行期は2024年12月期を最終年度とする中計の中間年度であり、向こう3年で売上高を13,859億円→17,700億円、経常利益を548億円→1,730億円(CAGR8.8%)を伸長させる計画です。利益面については終わった期で既に過達状態となっていますが、米国の金利本格上昇前の受注残や為替影響による“追い風参考”記録のため、最終年度時点では未達となる公算が高い状況です。なお、より長い期間の目標として2023年12月期の経常利益2,500億円(CAGR7.1%)を掲げています。
今次中計期間における取組事項として、①グローバル展開加速、②木材資源での脱炭素化、③収益基盤強化、④経営基盤強化、⑤ESGの5点を挙げています。①は米国・豪州でここ十数年の間に8社の住宅建築会社を買収してきた経緯がありますが、昨年末にはフロリダ州の戸建賃貸業者であるサザン・インプレッション・ホームズ(年商158億円/税前34億円)を112億円で買収しており、引き続き積極的なM&Aによる外部成長を志向しています。
②・⑤については、国内保有分だけでも4.8万htaの社有林を有していることから、森林投資ファンドを組成すべく、昨年末に米国で運用会社の設立を済ませています。2030年を目途にAUM1,000億円を目指す方針であり、木材を販売して儲けるだけでなく、出資者にCO2排出量を相殺するカーボンクレジット(排出枠)を付与するなど、ESGを志向した新領域ビジネスを創出します。
なお株主還元方針については、財務改善:投資:株主還元の割合を1:1:1とする方針としており、今次中計期間では安定配当をポリシーとしています。2018年には2023年満期のユーロCBを100億円分刷ったこともあり、目下の自己資本比率は40.8%まで改善していることから、減益ながらも年125円配当は守られる公算が高いとみます。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。