【9513】電源開発 (東証プライム) OP
現在値 2,326円/100株 P/E 5.60 P/B 0.39 3月配当 9月配当
04年に政府が民営化で株放出。電力卸が主。電源は石炭火力と水力中心。
配当は3月末・9月末合計年90円予想のため、配当利回りは約3.87%となります。
電源開発は株主優待制度を導入しておりません。
業績を確認していきます。
■2021年3月期 売上高 9,091億円、経常利益 609億円、EPS 121円
■2022年3月期 売上高 10,846億円、経常利益 728億円、EPS 380円
■2023年3月期 売上高 18,419億円、経常利益 1,707億円、EPS 621円
■2024年3月期 売上高 15,130億円、経常利益 1,100億円、EPS 415円 ce
□2023年6月1Q 売上高 2,813億円、経常利益 274億円、EPS 96.3円(7/31)
□2023年9月2Q 売上高 7,500億円、経常利益 660億円、EPS 251円 四e
2023年3月期の売上高はYoY+69.8%の18,419億円、経常利益はYoY*2.3倍の1,707億円となり、3Q時点の再増額見通し並みで着地しました。火力発電の稼働率低下や、水力発電も出水率低下の影響を受けたほか、JPEXからの調達量も減少したため、国内電気事業全体の販売量はYoY▲8.5%の684億kHhとなりました。他方で、資源価格上昇に伴う単価効果の発現、持分法の豪州炭鉱会社の取込利益増加、米ジャクソン火力の稼働開始も寄与し、利益は一段増となりました。
進行期である2024年3月期通期予算については、売上高がYoY▲17.9%の15,130億円、経常利益がYoY▲35.6%の1,100億円を見込んでいます。電気事業全体の販売量前提については、火力発電の稼働率安定化や水力発電の出水率回復を見込むほか、米ジャクソン火力の通期稼働化により714億kHhに増加する見通しとしているものの、エネルギー単価の一服で卸単価や豪州石炭価格が下落することから、大幅な減収減益想定です。なお、7月31日に開示済の1Qは売上高2,813億円&経常益274億円と強含みで推移しています。
当社はこの2024年3月期を最終年度とする3年中計で、経常利益を609億円→900億円に引き上げる計画でしたが、既に大幅な過達状態となっています。尚、この中計とは別にカーボンニュートラルを志向した「BLUE MISSION2050」という超長計を走らせており、2030年までに再エネ開発等に7,000億円を投じる計画です。取組事項としては、①再生可能エネルギーや原子力によるCo2フリー電源の拡大、②Co2フリー水素の製造と発電等による排出ゼロ化、③電力ネットワークの安定化と増強の3点を掲げています。
当社は石炭火力(約10GW)への依存度が高く、非効率石炭火力(約3.5GW/高砂1・2号機0.5GW、竹原3号機0.7GW、松浦1号機と松島1・2号機2.0GW他)を2030年までに廃止・建替を計画しています。中国電力と合弁の「大崎クールジェンプロジェクト」という超高効率の次世代石炭火力発電(0.1GW)に取り組んでいます。なお、Co2フリーの本命である大間原発(1.3GW)の安全強化対策工事の見込み終期は2029年後半であり、周辺自治体・住民との“摩擦”も解消されていないため、稼働開始は早くても2030年頃となる見通しです。
他の再エネとしては、国内事業者2位となる風力発電の出力は内外合計715MWであり、予定を含めた建設中の拠点が339MW、事前調査中の拠点が800MW存在することから、現行規模の2倍弱のパイプラインを有しています。他方、太陽光については、現状の出力は内外合計59MWに過ぎず、本年稼働開始予定の米レヒュージオも持分換算100MWに過ぎないことから、再エネは水力と風力以外はスケール化にかなりの時間を要する見込みです。
財務状況については、足許の急激な利益の積み上がりで自己資本比率は32.3%まで改善しており、中計目標の30%水準を超過しています。そのため、株主還元については「配当性向30%、かつ安定的・継続的」とする配当ポリシーを掲げているものの、年90円で計算される配当性向は21.7%に過ぎず、2Q決算公表時に更なる株主還元の強化が期待されます。
*参考記事① 2023-02-27 2,144円 NT
【9513】電源開発/豪州石炭事業と米ジャクソン火力が牽引、予想配当性向13%で再増配の公算。
*参考記事② 2022-09-17 2,097円 NT
【9513】電源開発/石炭急騰で豪州での取込利益が増加。中計前倒し達成濃厚で、悲願の増配予想。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。