【2768】双日(東証プライム) OP
現在値 3,237円/100株 P/E 7.7 P/B 0.85 3月配当 9月配当 株主優待なし
03年に日商岩井とニチメンが統合。自動車、航空、肥料に強み。持分で鉄鋼・LNG。
今期予想配当金は年2回・合計130円のため、配当利回りは約4.02%となります。
双日は株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。IFRSとなります。
■2021年3月期 営業収益 16,024億円、最終利益 270億円 EPS 112円
■2022年3月期 営業収益 21,007億円、最終利益 823億円 EPS 352円
■2023年3月期 営業収益 23,798億円、最終利益 1,158億円 EPS 481円
■2024年3月期 営業収益 (非公表)億円、最終利益 950億円 EPS 425円 ce
□2023年6月1Q 営業収益 5,560億円、最終利益 221億円 EPS 96.8円(8/1)
□2023年9月2Q 営業収益 11,000億円、最終利益 440億円 EPS 193円 四e
2023年3月期の営業収益はYoY+18.0%の2兆3,798億円、最終利益はYoY+35.1%の1,158億円となり、中間の増額見通しを上振れました。資源価格をはじめとする諸元(予想→実績)については、原料炭価格が317$→328$/t、一般炭が181$→356$/tまで高騰したほか、原油価格高止まりや為替の有利影響もあり、資源事業が業績を大きく牽引しました。非資源分野についても、市況高騰で化学事業が好伸したほかなお、SBIへREIT運用会社を売却した一方、銅鉱山権益整理や海外洋上風力・システム周りで損失を計上し、一過性損益はネット▲221億円となりました。
進行期である2024年3月期の予算については、最終利益はYoY▲14.6%の950億円を見込んでいます。前提諸元(実績→予想)は、為替136円→125円/$、原料炭328$→230$/t、一般炭356$→160$/t、のためMtoMでやや保守的ではあるものの、高騰一服の資源事業が大幅に反落します。他方、インフラやリテール、アグリで増益を見込むものの、インフラのLNG受取配当が4Qで遅いほか、アグリはタイ飼料事業が渇水影響を受けており、資源以外の積み上げも甘い状況です。なお、8月1日開示済の1Qの最終益は▲51.0%の221億円とビハインド気味で進捗しています。
進行期は3年中計の最終年度であり、この2024年3月期までの年平均最終利益を650億円(当初:270億円)、ROE10%+(当初:4.5%)、ROA3%(当初:1.2%)を目標としてきましたが、別途掲げていたPBR1.0倍を除き、各指標とも既に前倒達成しているような状況です。そのため、今次中計での総投資額を当初想定の3,300億円から5,000億円まで積み増し、進行期(単年)で2,550億円を投じる計画です。
今次中計では、既にインフラ分野として米国の省エネESCO、中東の天然ガス火力・淡水化、スペイン電力小売り等に約700億円を投じたほか、水産加工を手掛けるマリンフーズの全株取得、ベトナムでのビナミルク合弁、JALUXへのTOB等で約2,000億円程の投資枠を消化しています。増枠した最終年度では、台湾洋上風力に代表される上流の再エネ発電事業から、川下の小売事業までエネルギーをフルラインで拡充するほか、成長領域は水産系ラインの増強に取り組みます。なお会社側では、2,550億円のうち5~6割程度を“高確度”としてアナウンスしており、投資額自体は計画通りとなる公算が高そうです。
なお既存事業については、石炭価格の沈静化後でも資源分野で約300億円/y、化学事業で約100億円/y、自動車事業等で約200億円/yを積み上げる前提としているものの、既に目標合計額の650億円/yを大きく超過しているような状況です。一応、会社側では翌期から始まる次期中計の発射台を1,000億円としてコメントしているため、その水準でスタート出来るかどうかが当面の投資論点と解されます。
他方、株主還元については、今次中計期間では引き続き配当性向30%を基準としつつも、PBR1.0倍に至るまでは時価ベースDOE4%、PBR1.0倍超の場合は簿価ベースDOE4%(※配当利回り4%以上が下限保証)という還元フォーミュラを定めています。進行期の配当は横ばいの年130円配を見込んでいるものの、別途300億円(4.3%)の自社株買いを実施中のため、計算上される総還元性向は6割強に上ります。
*参考記事① 2023-01-30 2,605円 OP
【2768】双日/石炭価格は依然高水準にあり、再増額・再増配が期待されよう。
*参考記事② 2022-09-01 2,350円 OP
【2768】双日/石炭価格の高騰恩恵を満喫、追加的な増配確度がかなり高まった印象。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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