【8591】オリックス/投資案件売却鈍いが計画線とみられる、優待廃止で配当性向引き上げも検討。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8591】オリックス(東証プライム) OP

現在値 2,618円/100株  P/E 9.2 P/B 0.84  3月配当優待 9月配当

総合リース首位。事業多角化、海外展開は業界では突出。MA積極的。
配当は年2回・合計94.0円のため、配当利回りは約3.59%となります。

オリックスは株主優待制度を実施しており(廃止予定)、3月末に単元以上を保有する株主に対して、5,000円分のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.50%となります。なお、3年以上保有の場合は進呈額が倍になりますので、同利回りは約7.41%となります。また別途、当社施設等でのサービスが受けられる株主優待カードも進呈しています。

業績を確認していきます。

■2021年3月期 売上高 22,927億円、最終利益 1,923億円 EPS 155円

■2022年3月期 売上高 25,203億円、最終利益 3,121億円 EPS 259円

■2023年3月期 売上高 26,663億円、最終利益 2,730億円 EPS 231円

■2024年3月期 売上高 (未定)億円、最終利益 3,300億円 EPS 281円 ce

■2024年3月期 売上高 28,211億円、最終利益 3,305億円 EPS 286円con(8/2)

□2023年6月1Q 売上高 6,769億円、最終利益 629億円 EPS 53.8円(8/4)

□2023年9月2Q 売上高 14,800億円、最終利益 1,650億円 EPS 140円 四e


2023年3月期の売上高はYoY+5.8%の26,663億円、最終利益はYoY▲12.5%の2,703億円となり、2桁減益も中間時点の見通し比で上振れました。新型肺炎禍の生保保険給付金支払いが一巡したほか、輸送機セグで航空機のAvolonの回復が顕著となったほか、船舶売却益も寄与しました。また、環境エネルギー事業でOrmatの株式の7.8%持分の売却により150億円を計上したほか、コンセッション/関空事業の急回復もあり、弥生売却益剥落(▲1,682億円)影響を除けば実質大幅増益となりました。


進行期である2024年3月期の予算については、最終利益のみYoY+20.8%の3,300億円を予想しています。平常化進展で輸送機セグの航空機、コンセッション/関空事業の一段の回復を、給付金が剥落する保険セグは最高益奪回を予想しています。金融引き締め基調の米国事業にのみやや不透明があるものの、終わった期で買収したDHCが通期寄与(営業益170億円/y)するほか、不動産やPE・再エネ等の豊富な含み益案件の都度売却により想定通りの利益計上が進むとみられます。8月4日開示の1Q最終益は629億円と低調ながら、売却益計上のタイミングの問題と解されます。

 

当社は2025年3月期を最終年度とする3年中計を策定しており、進行期はその2年度目としての位置付けであり、最終利益を3,121億円→4,400億円、ROEを9.9%→11.7%、(弥生除き)海外売上比率を47%→51%へ引き上げるほか、財務健全性のA格維持を目指します。セグメント別では、輸送機器・不動産コンセッション(+820億円)、事業・投資(▲357億円、弥生剥落影響除き+1,273億円)、AM(+300億円)、金融・保険(+325億円)でそれぞれ積み上げる計画です。

 

注力分野は、①PE投資、②環境エネルギー、③AMの3分野であり、①は本年1月に化粧品大手のDHCに3,000億円を投じて買収しています。DHCは大規模リゾート物件を複数保有しているため不動産事業とのシナジーが多少期待出来るものの、当社のPE投資の目標IRRハードル(15%+)超過が期待される純投資案件と解されます。また、当初は3,000億円規模の出資が報道されていた東芝については、JIPとの調整の結果LP1,000億円+メザニンローン1,000億円の投融資で決着しています。

 

投資パイプラインについては、現状3兆円程(うち高確度案件は1.5兆円)保有しており、環境エネルギー分野においては2021年に1,000億円を投じて持分の80%を取得した欧州のElawanや、Greenkoの追加取得など、総額2兆円超(同0.6兆円)の規模を有しています。既に国内企業としては屈指のエクスポージャーを保有する再エネについては、既に3.7GW弱の発電能力を持っており、今次中計期間で6GW(売却前7GW)まで増強するほか、2030年3月期には10GW規模を目指す計画ですが、Elawanだけで7GWの開発案件があり、可視性が高い状況です。

 

米MGMや地元企業とのJVとなる大阪のMICE-IRについては、2021年9月に当社グループが選定されており、延べ1兆円が投資される計画となっています。当社持分は関空等と同様に40%、2,120億円程度の出資が目されており、巡航後の純利益寄与額は年300~500億円程度と試算されますが、最速でも2029年以降となっています。

 

今次中計における株主還元方針については、前期実績配当もしくは配当性向33%のいずれか高い方としており、進行期は8円40銭増配の年94円配(配当性向33.4%)を見込んでいますが、別途自社株買いについても機動的に実施することとしており、株主優待廃止との見合いで配当性向引き上げも検討されている模様です。
 

*参考記事① 2023-03-20 2,157円 NT

【8591】オリックス/DHC買収後は東芝へ出資検討、中計純益4,400億円の達成も射程圏。

 

*参考記事② 2022-03-22  2,333円 NT

【8591】オリックス/弥生会計売却で最終益3,000億円超へ、配当は年85円+まで増配の公算。

 

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