【9602】東宝/宮崎駿・マリオ・コナンなど自社配給作品が絶好調、1Qで通期増額もなお保守的。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9602】東宝(東証プライム) OP

現在値  5,730円/100株  P/E 32.2  P/B 2.38  2月配当株主優待 8月配当株主優待

阪急系。発祥は映画興行。邦画配給、興行収入で断トツ。映画跡地利用の不動産事業も。
配当は年2回・合計60円配当のため、配当利回りは約1.05%となります。


東宝は株主優待制度を実施しており、2月末・8月末の単元株主に対して、年2回2,000円相当の映画観賞券を進呈していますので、配当優待利回りは約1.74%となります。

 

■2021年2月期 売上高 1,919億円、営業利益 241億円 EPS 82.5円

■2022年2月期 売上高 2,283億円、営業利益 427億円 EPS 167.2円  

■2023年2月期 売上高 2,442億円、営業利益 448億円 EPS 190.3円

■2024年2月期 売上高 2,600億円、営業利益 450億円 EPS 177.5円 ce修正(7/13) 

□2023年5月1Q 売上高 741億円、営業利益 183億円 EPS 70.4円(7/13)

□2023年8月2Q 売上高 1,430億円、営業利益 259億円 EPS 106.5円 四e

 

2023年2月期の売上高はYoY+7.0%の2,442億円、営業利益はYoY+12.3%の448億円となり、中間時点の増額見通しを更に上振れました。営業事業は“すずめの戸締り”、“トップガン(続編)”、“名探偵コナン(ハロウィン)”が寄与したほか、興行事業も東映配給の“ONE PIECE FILM RED”、“スラムダンク”といったヒット作にも恵まれました。他方、不動産事業については、保有物件の稼働率が高水準で推移したほか、傘下スバル興業の道路工事好調により増益を確保しています。


進行期である2024年2月期の見通しについては、1Q時点ではや増額しており、売上高がYoY+6.4%の2,600億円(期予:2,530億円)、営業利益はYoY+0.3%の450億円(期予:400億円)に修正しています。期初から“名探偵コナン(黒徹の魚影)”や“スーパーマリオ”といった自社配給映画のヒットがあったほか、今後は宮﨑駿の“君たちはどう生きるか”や“キングダム”、“ゴジラ”が控えているほか、興行事業についてもTOHOシネマズの値上げ(2,000円)が寄与します。また、不動産事業も2月竣工の日比谷プロムナードビルがフル貢献します。上期偏重型とみられるものの、なお保守的な見通しと解されます。


当社は2022年4月に長計を公表しており、創立100周年となる2032年2月期までの都合10年間で、営業利益を750~1,000億円水準に引き上げるほか、ROE8~10%を目指すこととし、重点事項として①成長投資、②人材確保・育成、③アニメを第4の収益源とすること、の3点が挙げられています。中計的なマイルストン目標として、翌2025年2月期に営業利益528億円(最高益)の更新&ROE8%を目指すこととしており、翌期のTOHOシネマズ値上げ通期寄与だけでなく、“ポケモン”のような大型作のネームアップで達成可視性が上昇します。

 

①の投資は、向こう3年で延べ1,100億円(コンテンツ:500億円、不動産:500億円、新規シネコン&海外展開:100億円)を投じる計画です。コンテンツの中でも③でも掲げるアニメ育成が最大の注力事項となっており、“呪術廻戦”、“SPY×FAMILY”、“僕らのヒーローアカデミア”、に代表されるジャンプ系アニメIPの取得(制作委員会出資)を推進しており、この7月から待望の“呪術廻戦”の2期の放映が開始されます。他にも“Dr.STONE”“BLUE GIANT”、“ハイキューー!!”といったIPを保有しており、着実にアニメIPの保有が進んでいま。す

 

500億円を投じる不動産事業は、旧東宝不動産物件を中心に約120もの潤沢な物件を抱えているものの、築年数の古い物件が多いことから順次建替・再開発を推進しています。ツインタワービル建替の“日比谷プロムナードビル”が開業したほか、渋谷東宝ビル建替の“渋谷二丁目17地区”も来年竣工予定となっており、建替による最有効使用化と稼働率回復により、全社収益を厚く下支えすることが期待されます。

 

財務面については、有利子負債がほぼゼロのため、自己資本比率は76.8%と盤石な状態です。また、政策保有株およそ500億円にくわえ、潜在化している賃貸不動産の含み益はおよそ4,000億円に上るため、見えがかり以上に好財務体質となります。その一方、株主還元が渋い状態が続いていましたが、今次中計では「配当性向30%+機動的な自社株買い」という還元ポリシーが示されただけでなく、足許では1Qから年20円増配の年60円(配当性向33.8%)をガイドしており、この辺の会社側の姿勢が一変したような印象もあります。

 

*参考記事① 2023-01-19  4,810円 OP

【9602】東宝/有力アニメ版権の獲得進むが、今期は“すずめの戸締り”でどこまで。

 

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