【7354】ダイレクトマーケティングミックス/特需剥落で成長鈍化も、総還元性向は7割程度に改善。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7354】ダイレクトマーケティングミックス(東証プライム)  OP

現在値 955円/100株  P/E 11.7   P/B 3.1 12月配当 株主優待なし

電話を軸とした営業・マーケティングの代行、支援、コンサル。ドコモ、NTT比率高い。

 

配当は12月末一括の18円配で、配当利回りは約1.88%となります。

ダイレクトマーケティングミックスは株主優待制度を実施しておりません。

業績を確認していきます。

■2020年12月期 売上収益 224億円、営業利益 35.8億円 EPS 60.5円 

■2021年12月期 売上収益 302億円、営業利益 47.8億円 EPS 78.3円 

■2022年12月期 売上収益 346億円、営業利益 57.7億円 EPS 85.0円

■2023年12月期 売上収益 360億円、営業利益 58.0億円 EPS 80.2円 ce

□2023年3月1Q 売上収益 86.6億円、営業利益 16.2億円 EPS 23.1円(5/10)
□2023年6月2Q 売上収益 190億円、営業利益 42.0億円 EPS 57.9円 四e

2022年12月期の売上収益はYoY+14.5%の346億円、営業利益はYoY+20.7%の57.7億円となり2桁成長を維持したほか、対予算でも上振れました。柱の営業代行業については、通信機器需要増で主要取引先のNTT及びドコモ向けが堅調に推移したほか、電力・ガスといったインフラ向け、キャッシュレスが拡大したWeb/IT向けが拡大しました。また、好採算のワクチン接種に関するスポット業務も想定超に持続し、利益は一段増となりました。


進行期である2023年12月期の予算については、売上収益がYoY+3.8%の360億円、営業利益はYoY+0.5%の58.0億円を見込んでいます。営業代行業はショップの統廃合など再編を進めるドコモ向けが足踏みとなるほか、好採算のワクチン接種案件がほぼ完全に喪失する見通しです。そのため、終わった期の先行投資(▲7億円)が剥落するものの、ミックスの悪化で増益幅が鈍化します。5月10日開示済の1Qは売上収益は86.8億円、営業利益は16.3億円で推移しており、想定線ながら前年ハードルの高さにより低進捗となっています。

 

当社は2020年に東証一部に直接上場したため、成長可能性に関する説明資料(中長期経営計画)はないものの、直近14年間の売上収益CAGRは26%と高い成長モメンタムを実現していました。ところが、最重要顧客であるNTTドコモの直販(ahamo)シフトによりショップの閉店を進めており、同社への売上依存度は1年で20.9%→7.9%に急低下しています。他方、NTTグループ再編によるコンタクトセンター(BPO)ニーズは増加しており、NTTマーケティングアクトProCXへの売上依存度は同15.0%→18.5%に拡大するなど、ミックスに大きな変化がみられます。

 

今後は強みを持つ通信関連顧客だけでなく、今後は不動産や金融といった営業外注が進んでおらず、かつ高単価が期待出来る顧客を深耕していく方針です。業容拡大リソースである営業員応募数も2年前比で75千人→150千人と高水準を維持出来ているほか、成約に結び付いた会話履歴等をビッグデータで解析し、配置営業員をAIで最適化することで採算性向上を図る方針です。当面はかようなAI等システム投資を進めるほか、eKYCといった新領域開拓を急ぎます。

 

当社は2020年のIPO時に投資ファンドのインテグラル等が230億円分の株式売出しを実施しています。このインテグラルが当社をLBOで買収した時と、その前にもアドバンテッジパートナーズが同様にLBOで買収した時ののれんが110億円程度BSに乗っています。IFRSのため償却はないものの、低確率ながらも減損リスクが潜在するほか、株式需給的な観点ではインテグラル保有分(39%)の追加売出しのリスクが存在します。

 

他方、株主還元については、自社株買いを含めた総還元性向を40%程度を志向しています。配当は1円増配となる年18円配当(配当性向22.4%)を予想していますが、これとは別に2月に20億円規模(2.5%)の自社株買いを実施しており、便宜上期末配当と通算した場合の配当性向は73.6%と高水準ですが、これはインテグラルのための買い支えと解釈されます。

 

*参考記事① 2021-04-30 1,755円 *分割遡及修正済 OP 

【7354】ダイレクトマーケティングミックス/新型肺炎禍での営業代行ニーズは強く、高成長持続。

 

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