【4375】セーフィー/ARRは年率3割で順調成長も、中計は実質一年遅れの進捗。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4375】セーフィー(東証グロース) BY

現在値 880円/100株 P/E --.-  P/B 4.22  12月配当(無配) 株主優待なし

クラウド録画型映像プラットフォームを開発・運営。パートナー経由でのOEMで6割。

配当基準日は12月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。


業績を確認します。

■2019年12月期 売上高 19.5億円、営業利益▲4.8億円 EPS▲11.9円 

■2020年12月期 売上高 50.4億円、営業利益▲0.9億円 EPS▲2.2円 

■2021年12月期 売上高 84.5億円、営業利益▲1.5億円 EPS▲3.7円

■2022年12月期 売上高 92.5億円、営業利益▲12.8億円 EPS▲27.0円

■2023年12月期 売上高 116億円、営業利益▲10.0億円 EPS▲18.5円 ce

□2023年6月2Q 売上高 50.0億円、営業利益▲3.0億円 EPS▲5.6円 四e

2022年12月期の売上高はYoY+9.4%の92.5億円、営業利益はYoY▲11.3億円の▲12.8億円となり、中間時点の減額後見通し並みで着地しました。ハウスメーカーや製造業向けが想定以下だったほか、一部商潮流で解約があったものの、KPI
の課金カメラ台数はYoY+32.8%の186千台へと伸長し、ARRはYoY+32.5%の75億円となりました。利益面については、売上総利益率が+6.9ppt.の47.1%に改善した一方、積極採用による人件費増と広告費増で営業損失(▲12億円)を計上し、赤字が膨らんでいます。

 

進行期である2023年12月期の予算については、売上高がYoY+25.5%の116億円、営業利益はYoY+2.8億円の▲10.0億円(※レンジ中央値)と増収増益を見込んでいます。営業人員の積極採用継続により人件費・広告費が継続増となり、販管費の収支悪化は▲12億円(S&M▲6億円/R&D▲3億円/G&A▲3億円)を見込む一方、トップラインは15%強の増収を見込みます。なお7月に本社を五反田から住友不動産の大崎ガーデンタワーに増床移転予定のため、このためのコスト増が嵩みます。

 

当社は中期計画等を開示していないものの、向こう3~5年間は年率3割超の成長が目されます。当社の推定TAMについては、①グローバルの監視カメラの台数が約4億台、その内数の②日本国内の潜在ネットワークカメラ台数が2,863万台、更にその内数③内国の監視カメラ台数は660万台であり、目下の当社の導入台数が18.6万台のため、一旦②をターゲットTAMとすれば35倍の成長余地が計算されます。当初会社側では早期の100万台到達と、2025年12月迄にARR200~250億円達成(CAGR37~45%)を目標としてきましたが、実質一年遅れペースとなっているため、この目標感は一旦取り下げる意向のようです。

 

クラウド型監視カメラは、専用端末を要するネットワーク方式や、レコーダーに保存する従来型防犯カメラと一線を画する商品であり、この一年で当社が更にシェアを拡大(47.5%→56.4%)を進めています。国内ではパナの”みえますネット”、アクセンチュアやNEC等の“チャオカメラ”、海外ではCISCOやgoogleの競合品が存在するものの、当社はNTT東日本(依存度12.3%)、オリックス、キャノンMJ、セコム、USEN、関電といった販売ルートが強いため、導入拡大が進んでいます。

 

課金モデルは初期導入費用で21千円/台、7日間映像保存可能な月額利用料が1.3千円/台、となっており、この月額利用料の積み上げでARRを構成します。現状では飲食、小売、建設業の顧客が多く、今後はメーカーやスマートシティ関連の公共・警備、金融などにサービスを広げる目論見です。この取組の一環として、旧パナ系ベンチャーのi-PROと協業して“Safie GO PTZ Plus”というLTE・GPS搭載の新商材や、“Safie Entrance2”という顔認証式入退館システムといった新商材を開発・リリースしています。

 

当社は2021年9月に東証マザーズ市場に上場しており、104億円(@1,938円)を調達しており、その資金使途を人件費、オフィス拡張費用、広告宣伝費等としていました。上述のとおり、大崎への本社拡張移転で資金需要が発生したものの、ネット現金は85億円超&自己資本比率は88.3%と高水準を維持しています。創業来赤字が継続しているほか、累損(▲22億円)もあるため、少なくとも向こう5年程は無配を継続するものと考えられます。

 

*参考記事① 2022-06-13 636円 BY

【4375】セーフィー/当面は年率3割超の高成長期待も、画像解析等の高付加価値化が必要だろう。

 

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