【6183】ベルシステム24HD/ワクチン業務が想定超に続伸、AmiVoiceの活用も進む。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6183】ベルシステム24ホールディングス(東証プライム) BY

現在値 1,354円/100株  P/E 10.8 
 P/B 1.60 2月・8月配当 株主優待なし

コールセンター(CRE)事業大手。伊藤忠が筆頭株主に。凸版印刷と資本業務提携。


配当は2月・8月の年2回・合計60円のため、配当利回りは4.43%となります。
ベルシステム24ホールディングスは株主優待制度を導入していません。

業績を確認していきます。 IFRS採用企業となります。

■2019年2月期 売上収益 1,211億円、営業利益 85.8億円、EPS 73.4円 

■2020年2月期 売上収益1,266億円、営業利益 111億円、EPS 95.3円 

■2021年2月期 売上収益 1,357億円、営業利益 117億円、EPS 98.6円  

■2022年2月期 売上収益 1,464億円、営業利益 132億円、EPS 119.6円  

■2023年2月期 売上収益 1,480億円、営業利益 140億円、EPS 125.0円 ce 
□2022年8月2Q 売上収益 782億円、営業利益 81.8億円、EPS 71.0円

□2022年11月3Q 売上収益 1,175億円、営業利益 118億円、EPS 104.2円(1/11)  

2022年8月中間期の売上収益はYoY+7.1%の782億円、営業利益はYoY+13.6%の81.8億円となり、期初計画線を上回って推移しました。継続業務は人材関連、EC、通販等拡大で微増程度に留まったものの、好採算の新型肺炎関連のワクチンや給付金関連のスポット業務がYoY+51.2%と想定超で続伸しました。利益面については、広告宣伝費・ITシステム費用が嵩んだものの、本社移転費用剥落と売上ミックスの改善により2桁増益となりました。


なお2023年2月期の通期見通しは期初のものを据え置いており、売上収益はYoY+1.0%の1,480億円、営業利益はYoY+5.8%の140億円を予想しています。継続業務はサービス、運輸・通信系(最大顧客は旧BBコールのソフトバンク)の人材採用大型案件やBPO需要増加、好調なEC・キャッシュレス関連が期を通じて堅調な推移が見込まれるほか、スポット業務のワクチン関連も想定超で推移しているため、上振れるものとみられます。

 

進行期は2020年10月公表の中計最終年度となっており、この3ヵ年で売上収益を1,267億円→1,480億円(CAGR5.3%)、営業利益を111億円→140億円(CAGR8.0%)に其々引き上げるとともに、NetD/Eを1.23倍→0.91倍へ改善し、ROE14.8%水準の維持を計数目標に掲げています。進行期予算はこの中計にほぼ完全にサヤ寄せされている形となりますが、上述のとおり達成となる公算が高い状況です。

 

今次中計の重点取組事項として、①在宅業務増強、②DX付加価値向上、③アライアンス強化、の3点を掲げるほか、先行投資に100億円(音声基盤と周辺サービス、データ活用、在宅コンタクトセンター海外事業)を投じます。①の在宅業務は1千席→4千席に大幅拡充させる方針であり、在宅割合増加により業容拡大の最大のネック点だった人材採用が容易化するほか、センターの新設・拡張費用抑制が期待されます。

 

②のDXは、ユーザーの音声データの解析とCRMデータベースを連携させ、高付加価値サービスの提供を図ります。アドバンスト・メディア(3773)の音声認識技術“AmiVoice”の活用により、通話品質向上目的だけでなく、言語解析や感情分析といった高度分析により、シナリオチューニングやスクリプトの最適化を行い、(例えば携帯電話の)解約阻止に繋げる目論見です。当社は音声を言語化させたFAQ検索を搭載した音声認識システムの導入も進めており、従業者負荷が大きく軽減されることから、離職率低減が期待されます。

 

③は親会社の伊藤忠商事(40.7%)、2位株主の凸版印刷(14.3%)との連携を増やす方針であり、特に伊藤忠については直近の売上寄与が151億円と年々増加しており、子会社で合弁会社を運営するSIerのCTCだけでなく、伊藤忠系のAI企業であるブレインパッドや、帳票処理のウイングアーク1st、戦略コンサルのシグマクシスらと組んで伊藤忠グループで推進するDX戦略の一翼を担うとみられ、当社としてはBPO関連の受注増が中長期的に期待されます(なお、前述のAmiVoiceの導入はCTCが手掛けた)。

 

株主還元については配当性向を50%目標としており、6円増配の年60円(配当性向48.0%)を予想しています。積極的な増配路線を還元ポリシーとしているほか、配当性向50%基準の厳密な適用開始により、配当は更に積み増しされ、年62~63円+となる可能性が高いものと解されます。

 

*参考記事① 2022-07-12 1,413円 BY

【6183】ベルシステム24HD/好採算のワクチン特需剥落も、中長期的には伊藤忠シナジーが発現。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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