【4194】ビジョナル(東証プライム) OP
現在値 10,110円/100株 P/E 46.5 P/B 13.5 7月配当(無配) 株主優待なし
クラウド活用の会員制転職サービス「BizReach」、人材管理「HRMOS」展開。
配当基準日は7月末ですが、配当実績はなく無配予想となっています。
ビズリーチは株主優待制度を導入していません。
業績を確認していきます。2019年7月まではビズリーチ社の単体業績となります。
■2019年7月期 売上高 214億円、営業利益 5.1億円 EPS 12.1円 単
■2020年7月期 売上高 258億円、営業利益 21.8億円 EPS 163.0円
■2021年7月期 売上高 286億円、営業利益 23.8億円 EPS 43.3円
■2022年7月期 売上高 439億円、営業利益 83.2億円 EPS 160.3円
■2023年7月期 売上高 560億円、営業利益 125億円 EPS 217.2円 ce
□2023年1月2Q 売上高 220億円、営業利益 45.0億円 EPS 78.2円 四e
2022年7月期の売上高はYoY+53.2%の439億円、営業利益はYoY+251.3%の83.2億円となり、対前・対計画ともに大幅な増収増益となりました。主力のBizReachが新型肺炎禍の反動増と中途採用の趨勢増で大きく伸長し、会員数を1,380千人→1,700千人に、導入企業数を171千社→211千社まで積み増した一方で、アクティブ利用社数割合の増加でリカーリング性も向上しました。SaaS型モデルのHAMOSは先行投資で赤字拡大したものの、ARRは28.2%増の16.2億円(ARPU+1.1%、Churn0.6%)に成長しました。
進行期である2023年7月期の予算については、売上高がYoY+27.4%の560億円、営業利益はYoY+50.2%の125億円とトップライン段階から3割弱の高成長維持を見込みます。主力のBizReachについては、直近4Qで一部企業で採用自粛の動きがみられたものの、高単価のプロ人材ニーズは期を通して堅調に推移する見通しです。HAMOSについても、主力の「HRMOS採用」の解約率が極めて低位で安定しているものの、拡販のための広告宣伝やプロダクト開発を優先するため、セグメント赤字が継続します。
当社は中長期の経営計画を開示していないものの、収益柱のBizReachについても向こう2年程は年率15%~20%程の成長が予想されるほか、育成中のHRMOSや周辺事業とのクロスセルにより、当面の間の“出来上がり”のトップライン成長率は年率2割超が見込まれます。BizReachは徐々に成熟フェーズに入りつつあるものの、長期雇用者割合比率の低下傾向や、生産年齢人口の減少、企業寿命の短命化といった労働市場のファンダメンタルズ変化により、新卒から中途プロ人材へのシフトが継続する見通しです(会社側の想定TAMは現アクティブ利用社数の5倍の約5万社)。
第二の柱として育成中の人材管理SaaSであるHRMOSのARRは足許で16.2億円程度となっており、現状では採用管理とタレントマネジメントが主となってるものの、勤怠管理や経費精算といった周辺モジュールの開発・拡充によりクロスセル拡大を図ります。当社としては中途採用では圧倒的なBizReachを切り口とした“HRエコシステム”を構築する青写真ですが、HRSaaSにはSmartHRやプラスアルファコンサルティング、カオナビといったカテゴリーキラーの競合が多く存在するため、顧客獲得のためにプロダクト開発と広告宣伝に継続的な投資が必要になるものと目されます(例えばHRMOS勤怠は無料提供している)。
その他育成中のプロダクトとしては、事業承継プラットフォームのビズリーチ・サクシードや、傭車仲介(水屋)のトラボックスといった事業がありますが、これらも年率3割成長しているものの、全事業合算しても全社売上高の5%弱(20億円程)に過ぎない状況です。特に本年7月に傘下事業会社であるBizReach社長の多田氏が急逝されたことから、持株会社で育成事業を手掛けているとみられる創業者の南氏のリソースが“分散”されることとなり、当面は本業以外の成長が鈍化する可能性もありそうです。
*参考記事① 2021-12-03 7,850円 OP
【4194】ビジョナル/BizReach軸に、向こう3年は年率2割超の成長が期待されよう。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。