【4194】ビジョナル/BizReach軸に、向こう3年は年率2割超の成長が期待されよう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4194】ビジョナル(東証一部)  OP

現在値  7,850円/100株  P/E 159.9  P/B 12.4 7月配当(無配) 株主優待なし

クラウド活用の会員制転職サービス「BizReach」、人材管理「HRMOS」展開。


配当基準日は7月末ですが、配当実績はなく無配予想となっています。
ビズリーチは株主優待制度を導入していません。

業績を確認していきます。2019年7月まではビズリーチ社の単体業績となります。

■2018年7月期 売上高 157億円、営業利益 6.2億円 EPS 2,132.6円 単

■2019年7月期 売上高 214億円、営業利益 5.1億円 EPS 12.1円 単

■2020年7月期 売上高 258億円、営業利益 21.8億円 EPS 163.0円 

■2021年7月期 売上高 286億円、営業利益 23.8億円 EPS 43.3円

■2022年7月期 売上高 377億円、営業利益 26.7億円 EPS 49.0円 ce

□2022年1月2Q 売上高 144億円、営業利益 11.0億円 EPS 15.3円 四e 

 

2021年7月期の売上高は前期比10.9%増の286億円、営業利益は同8.3%増の23.6億円となり、4月のIPO時に公表した予算を上回って着地しました。主力のBizReachにおいて、新型肺炎禍以前の水準を上回るまで急回復をみせたことが主な要因であり、特に3Q以降から好採算のプロ求人が増加しました。予算超の広告費投入により、導入企業数は138千社→171千社、会員数は1,100千人→1,380千人へと積み増した一方、力強いトップライン成長で原価増を飲み込んでいます。なお、SaaS型モデルのHAMOSもクロスセルが進み、ARRは22.9%増の12.6億円(ARPU+4.1%、Churn1.23%)と順調増となりました。


進行期である2022年7月期の見通しについては、売上高が31.4%増の377億円、営業利益は同12.7%増の26.7億円とトップラインから3割成長を予想しています。主力のBizReachについては、直近2四半期(3Q・4Q)で急回復していることを背景に、回復基調が継続する前提での予算組みとなっており、新型肺炎禍から定常状態への戻り分もあって成長率が高くなります。なおHAMOSについても、売上の大部分を占める「HRMOS採用」が新型肺炎禍での採用抑制により解約率が上昇しましたが、既に一服しており、ARRの成長モメンタムも改善する見通しとなっています。


当社は中期的な成長目標として、収益柱のBizReachで年率15%~20%程度(向こう3年間)の成長を見込んでおり、これと育成中のHRMOSや周辺事業の組み合わせにより、当面は全社ベースで年率2割超の売上高成長が想定されます。BizReachは終身雇用の終焉や新型肺炎禍による働き方の激変による雇用流動化により、依然として高い成長が見込まれることから、トップライン成長を最優先に“湯水のごとく”宣伝広告費を投じる方針であり、当面は利益率の改善は期待薄となります。

 

そして第二のBizReachとして成長が目されているのが、人材管理SaaSのHRMOSであり、現状のARRは12.6億円程度に過ぎないものの、BizReachの伸長によりコバンザメ的な成長が期待されます。今後は(中途)採用だけでなく、新卒採用向けや労務管理、タレントマネジメント、給料管理といった周辺モジュールを拡充させ、モメンタムを加速させる方針ですが、既にSmartHRに代表される有力なSaaS競合も存在するため、成長可視性はまだあまり高くありません。

 

当社は2021年4月にマザーズ市場に上場し、公開価格@5,000円で110億円強を調達しています。マザーズ上場ながらグローバルオファリング(144A)で海外トランシェが9割弱という度肝を抜く内容となっており、大株主のジャフコが全量放出する一方で、ZVC(ヤフー系VC)が親引けを受けるという珍しいスキームとなりました。ZVCは母体のソフトバンク・ZHDとともに当社をバックアップしていく方針であり、こうした“後ろ盾”が今後の業容拡大に寄与すると期待されます。実際に求人検索サイトのスタンバイは当社が持分の60%をZHDに譲渡し、2社合弁事業とするなど協業を進めています。

 

これら以外の取り組みとして、事業承継プラットフォームのビズリーチ・サクシードや、傭車仲介(水屋)のトラボックスといった事業がありますが、まだシード段階にあることから、当面はBizReachの安定高成長と、HRMOSの巡行化(解約率低下)の確認が主な投資論点になると思われます。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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