【3244】サムティ(東証プライム) OP
現在値 2,339円/100株 P/E 10.6 P/B 1.14 11月配当優待 5月配当
関西軸に投資用マンション開発、不動産再生販売等を行う。賃貸が安定収益柱。
配当金は5月・11月の年2回、合計90円のため、配当利回りは3.85%となります。
サムティは株主優待制度を実施しており、11月時点の2単元保有株主に対して、当社が運営(運営予定含む)12ホテルの共通宿泊券を1枚進呈しておりますので、1枚5千円として換算した場合の、2単元保有時想定配当優待利回りは約5.98%となります。
業績を確認していきます。
■2019年11月期 売上高 855億円、営業利益 153億円、EPS 247円
■2020年11月期 売上高 1,012億円、営業利益 173億円、EPS 261円
■2021年11月期 売上高 904億円、営業利益 94.6億円、EPS 242円
■2022年11月期 売上高 1,230億円、営業利益 130億円、EPS 219円 ce修正
□2022年5月2Q 売上高 362億円、営業利益 27.5億円、EPS 35.8円
□2022年8月3Q 売上高 633億円、営業利益 51.3億円、EPS 102.1円(10/17)
2022年5月中間期の売上高はYoY+49.7%の362億円、営業利益はYoY▲23.5%の27.5億円となり、予算比は無いものの増収減益となりました。不動産事業の再生転売については、2月末に住宅REITに32億円(北千住/12億円、千里丘/10億円、大正/10億円)を拠出したほか、再開発した岩本町などを外資ファンドに外販するなど結果、計16物件/146億円分を売却しました。他方、一般向けも計14物件/142億円を分譲したほか、賃貸事業も固定資産仕入増で増収したものの、ホテル事業は増収確保も原価高騰や開業費用の発生で赤字幅が拡大しました。
なお2022年11月期の通期見通しは減額しており、売上高はYoY+36.0%の1,230億円(期予:1,400億円)、営業利益はYoY+37.4%の130億円(期予:180億円)に修正しています。これは今期中に上場予定だったホテルREITが、市況悪化を理由に上場延期となったため、拠出が先送りになったことに由ります。他方、この“埋め合わせ”のために住宅REITには3Qに計18物件/143億円を追加拠出したほか、最終利益段階では期初予想を据え置いたため、棚振りしていない固定資産の売却により辻褄を合わせる可能性もありそうです。
昨年当社は従来中計の「サムティ強靭化計画」を“アフターコロナ版”の現中計にロールしています。修正中計の期間は5ヵ年で、最終年度の2025年11月期に売上高2,200億円(CAGR17%)、営業利益350億円(CAGR15%)を目指します。今次中計では、物件売却による譲渡益に依存したP/L重視のフロー型から、アセット品質の確保や賃貸売上の増加、財務余力維持のB/S温存のストック型に切り替えます。
成長のドライバーとなる傘下の住宅REITは、独力でのAUM残高の積み上げを目指すものの、当社はからの拠出は抑制し、当初17%(足許12%)のインカム比率を50%まで引き上げる方針です。また、上場が延期となったホテルREITについても、依然ホットなホテル売買市場を背景にCAPレートが維持されていることから、物件価格は特段棄損しておらず、当社保有分を含むパイプラインには既に3,400億円規模の物件が積み上がっています。
これら両REIT以外の動きとしては、昨年5月にホテル開発・運営のウェルス・マネジメント(3772)の32%持分を39億円で取得して持分法適用会社に収めたほか、本年7月には大和証券Gが120億円をマイナー出資する森岡毅氏のマーケティング会社「刀」と協業し、ネスタリゾート神戸の経営権を取得しています。今後は向こう5年で同施設に100億円を投じ、賃貸マンションやホテルに次ぐ“第三の柱”として、テーマパークを事業化する方針です。
財務面については、2018年に149億円(RO)を資本調達したほか、2019年に大和証券Gが当社の自社株処分と転換社債(CB)を引き受ける形で127億円を出資したほか、2021年10月にも120億円分のCBを追加発行しており、目下の自己資本比率は23.1%と一定水準を維持しています。傘下REITに関しても、2019年に大和証券が三者割当増資を親引け分除きで一手引受したほか、2021年・2022年のPOでも当社とともに親引けに応じており、REITの持分の4割強を握るなど、関与を深めています(LTVは49.8%)。
株主還元については、配当性向を30%水準まで切り上げているものの、総合的判断から年90円配当(配当性向41%)の据置を予想しています。なお前期はホテルSPCへの持分出資で発生した負ののれんの営業外利益、特別利益といった非現金収益が多かったことから、営業増益ながらもEPS自体はほぼ横ばいとなります。
*参考記事① 2022-04-08 2,246円 OP
【3244】サムティ/公募のホテルREITがいよいよ今期上場へ、パイプラインは3,400億円。
*参考記事② 2021-10-14 2,340円 OP
【3244】サムティ/ウェルス・マネジメントを持分法適用化、ホテル事業に改めて注力。
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